事故概要と消えない陰謀論
1985年8月12日、羽田発大阪行きの日本航空123便が群馬県御巣鷹の尾根に墜落し、乗員乗客524人のうち520人が犠牲となりました。単独機による航空事故としては世界最悪の犠牲者数を記録し、日本社会に深い衝撃を与えました。
公式の事故調査では、過去の尾翼修理の不備による構造破壊が原因と結論づけられています。
しかし、この結論が示されてから40年近くが経った今もなお、「自衛隊の関与」「ミサイル撃墜説」など証拠のない陰謀論が国内外で語り継がれています。こうした説が消えない背景には、事故の詳細が専門的で理解しづらいこと、未公開資料や証言への興味、そしてメディアやネットで繰り返し再生産される物語性があります。そのため、この事故は単なる過去の悲劇にとどまらず、今も議論と憶測を呼び続ける存在となっています。
海外報道
Controversial theories continue to swirl around 1985 JAL jet crash
英字紙『The Japan Times』は、事故から40年を迎えるにあたり、日本政府の公式調査でボーイング社の不適切な修理が原因と結論づけられたことを紹介しつつ、近年では陰謀論が再び取り沙汰されていると報じています。
出典：https://www.japantimes.co.jp/news/2025/08/12/japan/history/jal-crash-sdf/
海外SNSの反応
「日航123便がミサイルに撃たれた可能性を指摘する声もあるが、証拠は何もない。」
「なぜ123便には陰謀論がつきまとうのか、どんな内容なのか？」
「事故調査の内容は技術的すぎて、一般人には理解が難しい。それが陰謀論を生む。」
「未公開資料がある限り、人々は“真相”を求め続ける。」
「海外でも、この事故はミステリーとして語られることが多い。」
出典：https://hoodcp.wordpress.com/2023/04/11/discussing-jl123-with-google-bard/
陰謀論の検証と反論
1. 自衛隊ミサイル誤射説
主張：自衛隊が誤ってミサイルを発射し命中。
反論：破片や焼損跡は見つからず、損傷は修理不備による内部破壊と一致。公式調査に矛盾なし。
2. 自衛隊戦闘機との接触事故説
主張：戦闘機との接触で尾翼が損傷。
反論：外板に摩擦や衝突跡はなく、レーダー記録にも他機との接近データはない。
3. 坂本九暗殺説
主張：搭乗していた坂本九氏が標的。
反論：搭乗は偶然であり、個人暗殺に航空事故を利用する合理性はない。
4. 墜落後の救助遅延説
主張：現場到着後に政治的理由で救助を遅らせた。
反論：悪天候・夜間で着陸困難。即死者が多数で遅延の影響は限定的。
5. 原因隠蔽説（ボーイング・政府による圧力）
主張：本当の原因を隠した。
反論：日米両機関の調査が一致し、修理不備を明確に指摘。外的攻撃の証拠はなし。
国際的視点と背景分析
日航123便事故は、航空史の中でも特異な規模と影響を持つ出来事です。公式調査結果は工学的に一貫していますが、事故の規模、未公開情報への関心、そしてメディアによる再構成が陰謀論を生みやすくしています。
海外では特に「何か隠されているのでは」という好奇心が強く、陰謀論は事実よりも物語性で拡散される傾向があります。これは現代のSNS環境とも親和性が高く、今後も完全には消えないでしょう。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。
出典リンク一覧
研究文献プレビュー（Dealing with Disaster in Japan）：https://api.pageplace.de/preview/DT0400.9781136641091_A23860238/preview-9781136641091_A23860238.pdf
The Japan Times：https://www.japantimes.co.jp/news/2025/08/12/japan/history/jal-crash-sdf/
Christopher P. Hoodブログ：https://hoodcp.wordpress.com/2023/04/11/discussing-jl123-with-google-bard/
Cardiff大学論文（Narratives on JL123）：https://hoodcp.wordpress.com/2009/12/14/narratives-on-the-worlds-worst-plane-crash-flight-jl123-in-print-and-on-screen/
研究文献プレビュー（Dealing with Disaster in Japan）：https://api.pageplace.de/preview/DT0400.9781136641091_A23860238/preview-9781136641091_A23860238.pdf