日本代表、ブラジルに史上初勝利 85年ぶりの逆転劇が示した新時代のサッカー

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日本は10月14日、東京・味の素スタジアムで行われた親善試合で、前半に2点を先行された後、後半の猛烈な反撃で 3-2 の逆転勝利を収め、ブラジル戦での初勝利を成し遂げた。

ブラジルは前半、パウロ・エンリケとガブリエウ・マルティネッリのゴールで2-0とリード。だが後半、ファブリシオ・ブルーノのクリアミスを突いた南野拓実が52分に得点を挙げると、62分には中村敬斗のシュートがブルーノの足に当たってこぼれ、同点に追いつかれた。71分には、伊東純也の精密なコーナーキックから、上田綾世が強烈なヘディングで勝ち越しゴールを決めた。

この勝利は、日本にとってブラジルに対する通算14試合目での初勝利。ブラジルはこれまで日本に11勝2分けと優位を保ってきたが、その歴史がついに崩れた。


出典:Reuters「Japan fight back to earn first ever win over Brazil」


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補足説明

日本の評価が高まっている背景

ここ数年、日本代表は欧州クラブでプレーする選手が増え、戦術理解や試合運びの巧さで確実に進化を遂げています。
2018年ロシア大会ではベルギー相手に死闘を演じ、2022年カタール大会ではスペインとドイツを連破。「もはやアジアのチームではない」と海外メディアからも高い評価を受けました。

今回のブラジル戦では、前半に2点を失いながら後半に3点を奪い返して逆転勝利。ブラジルが2点リードから敗れたのは1940年のウルグアイ戦以来、約85年ぶりとされます。この勝利は、日本の育成力と戦術改革の成果を裏付けるものとなりました。

ブラジルの世代交代と課題

一方のブラジルは、長らくチームを支えたネイマール、マルセロ、ダニエウ・アウベス、チアゴ・シウバらが代表から離れ、再構築の途上にあります。
守備の要エデル・ミリトンも長期離脱から復帰して間もなく、チーム全体の成熟には時間が必要です。タレントは豊富ながら、経験と組織のバランスを模索している段階です。

「ブルーロック現象」と日本の象徴化

海外SNSでは「ブルーロックが現実になった」との声が相次ぎました。サッカー漫画『ブルーロック』は欧米でも人気が高く、「日本代表=創造的で個性あるチーム」というイメージを広げています。文化とスポーツが一体化した“日本のソフトパワー”が、今回の快挙を象徴する形となりました。


海外の反応

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。

W杯で一番楽しみなのは日本とノルウェーだな。


死の組に入っても日本は突破してくるよ、見てなって。


もう「死の組」なんて存在しないよ。48チーム中32チームが決勝トーナメント進出できるんだから、グループステージは退屈になる。


今度こそベスト16でコケないでほしいな…。


この試合から何かを読み取るのは無理だよ。
ほとんど控え組だったし、ラフィーニャもロドリゴもネイマールもいない。
主要メンバーは誰も出てなかった。


いや、日本も8人くらい主力抜きだったからね。
三笘、遠藤、板倉、伊藤洋輝、守田、髙井、前田、冨安——このあたり全員欠場だよ。


日本って親善試合では最強クラスなのに、アジア杯で毎回ズッコケるよな(笑)


日本サッカーの時代が来たな。


日本サッカー協会がやったことは、研究対象にすべきレベルだわ。


これが「ブルーロック現象」か(笑)


まず人気スポーツ漫画・アニメを作る。
10〜15年待つ。
そして結果が出る。


今のブラジル代表、史上最弱じゃね?
ネイマールもいないし、チームとしてバラバラだわ。


まあ、守備陣が壊滅的なのは確か。
ファブリシオ・ブルーノとか、なぜ呼ばれたのか謎。


それでも、ブラジルが負けるとはな…。
日本、よくやったよ。


これで日本がブラジルに史上初勝利。
11敗2分けのあとに、ついに1勝目だ。


日本がブラジルに勝つなんて20年前なら考えられなかったけど、
今では「驚きではない」って言えるくらい成長してるのがすごい。


いやいや、ブラジルが今年ずっと低調だったのに対して、日本は安定してる。
もはや昔みたいな弱小国じゃないよ。


考察・分析

日本の勝利が示した変化の兆し

今回の日本代表の逆転劇は、単なる親善試合の勝利を超えた意味を持ちます。ここ数年、日本サッカーは育成年代から欧州志向を強め、戦術・フィジカル・メンタルの三要素を着実に底上げしてきました。スペインやドイツを破った2022年ワールドカップに続き、今回ブラジルに競り勝ったことで、世界的にも「偶然ではない強さ」を印象づけたといえます。
特に森保一監督のチームは、前半を分析と耐久に充て、後半で一気にギアを上げる“計算されたリズム”を武器にしています。このスタイルは、欧州の強豪にも通用するレベルに到達しつつあります。

ブラジル代表の低迷と世代交代

一方のブラジルは、かつて「サッカー王国」と呼ばれた時代から確実に過渡期を迎えています。主要大会での取りこぼしが続き、チームの安定感が揺らぐ中、長年の主力であったネイマール、マルセロ、ダニエウ・アウベス、チアゴ・シウバ、ロベルト・フィルミーノ、フィリペ・コウチーニョらが代表を離れました。
守備の要であるエデル・ミリトンも、左右両膝の前十字靭帯損傷による長期離脱を経て復帰して間もなく、依然として万全の状態とは言えません。タレント自体は豊富ながら、世代交代の途上にあり、組織的な成熟にはもう少し時間を要する状況です。
2025年5月にブラジル代表監督に就任したカルロ・アンチェロッティは、ユヴェントス、ACミラン、チェルシー、パリ・サンジェルマン、バイエルン・ミュンヘン、そしてレアル・マドリードなどで数々のタイトルを獲得した名将として知られています。現在はその経験を生かし、チームの再構築と新世代の融合に取り組んでいます。

文化が後押しする日本サッカーの存在感

今回の日本の勝利を受け、海外のSNSでは「ブルーロックが現実になった」「アニメがサッカーを変えた」といった投稿が相次ぎました。これは単なる冗談ではなく、日本サッカーが文化的なブランドとして世界に認知されつつある証です。
『ブルーロック』や『キャプテン翼』といった作品が作り出した“創造的な日本サッカー”のイメージは、現実の選手たちにも重なっています。イングランド・プレミアリーグの三笘薫(ブライトン)や遠藤航(リヴァプール)、ドイツ・ブンデスリーガの伊藤洋輝(バイエルン)など、欧州トップリーグで存在感を放つ選手たちは、その象徴的な存在です。
こうした文化と実績の両輪が「日本サッカー=創造性と規律を兼ね備えた新勢力」という印象を世界に浸透させています。スポーツとカルチャーの融合が、いまや日本代表の強さを語るうえで欠かせない要素となりました。

総括

今回の試合は、日本が世界のトップレベルに実力で食い込めることを改めて示した一方、ブラジルにとっても新たな再出発のきっかけとなりました。伝統と革新が交差する今、両国の歩みはサッカーの進化そのものを映し出しています。
次なるワールドカップでは、この流れがどのような形で実を結ぶのか。日本の勝利は、その未来を占う象徴的な一戦となりました。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。



関連書籍紹介

『俺しかいない』堂安律(著)

“有言実行”で日本サッカーを背負う堂安律、待望の初書籍。
カタールW杯でドイツ・スペインを撃破し、日本をベスト16へ導いた彼が語るのは、成功ではなく「挑戦の哲学」です。

先日のブラジル戦では得点こそなかったものの、攻守にわたり存在感を発揮し、試合の流れを変える起点として躍動。
その闘志とメンタリティは、まさにこの本で語られる“堂安律の原点”そのものといえます。

批判を恐れず、逆境を楽しみ、自分を信じ抜く——。
「俺が決める。俺しかいない。」という信念のもとで戦い続ける堂安の姿勢は、スポーツだけでなく人生の指針にもなるはずです。

2018年の日本代表デビューからW杯までの軌跡、そして選手としての覚悟を率直に綴った一冊。


『ブルーロック』金城宗幸・ノ村優介(著)

「日本に足りないのは、エゴだ。」
サッカー漫画の常識を覆した話題作『ブルーロック』は、W杯優勝を目指すために“最強のストライカー”を生み出す異端の育成プロジェクト。

300人の高校生FWたちが、己のエゴとプライドを賭けて競い合う——。
無名の少年・潔世一が「エース」として覚醒していく姿は、現実の日本代表の進化とも重なり、世界でも注目されています。


参考リンク

出典:Reuters – Ancelotti calls for mental resilience after Brazil’s first loss to Japan (2025年10月14日)

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