日本版DOGEは成功するのか?海外の反応と失敗例から見る行方

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日本政府は、行政の無駄を見直すための新組織「政府効率化局(日本版DOGE)」を設置する方針を発表した。補助金、税制優遇、各種基金を対象に、効果の乏しい支出を重点的に点検する。

財務相は、省庁再編ではなく既存制度の検証が目的だと説明し、国民から意見を募る可能性にも触れた。政府はソーシャルメディアを通じて、無駄とされる制度への提案を受け付ける形を検討している。

この取り組みは米国のDoGE(Department of Government Efficiency)を参考にしたとされるが、日本側は独自運用を強調している。担当チームは近く内閣官房に設置され、予算編成と並行して点検を進める予定だ。

出典: Reuters


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海外の反応

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。


まずは政治献金の廃止を法律で決めて、裏金問題に関わった自民党議員を全員追放するところから始めたら?


DOGEはアメリカではすでに前倒しで解散済み。主張されていた「節約額」は疑問視されてる。
DOGEのウェブサイトは連邦政府レベルで2,140億ドルを節約したと書いていたけど、複数の報告書が「数字の水増し」や「書き換え」を指摘している。
イギリスの改革党や地方議会でも同じ問題が起きてるよ。


あいつらみたいに何も分かってない政治家は、必要なところを切って、いらないところを残すに決まってる。


で、自分らの給料だけは上げるんだよ。


海外の反応の続きはnoteで読むことが出来ます。


考察・分析

日本版DOGEが生まれた政治的タイミング

日本版DOGEが立ち上がったのは、総額21.3兆円規模の景気対策を決めた直後でした。高市政権は物価高対策と景気てこ入れのために大型の財政出動を選び、その一方で「放漫財政ではない」「無駄はちゃんと削る」というメッセージを内外に示す必要に迫られていました。

そこで持ち出されたのが、アメリカの「政府効率省(DOGE)」を参照した日本版DOGEです。補助金、優遇税制、各種基金などを横断的に点検し、時代に合わない制度を削ることで「歳出の効率化」をアピールする狙いがあります。組織再編ありきではなく、既存制度の中身を継続的に見直す仕組みだと説明されている点が特徴です。

同時に、連立相手に維新が加わったことも背景にあります。維新は以前から企業・団体献金の禁止や補助金カット、行政のスリム化を掲げており、今回の日本版DOGEはそうした路線とも親和的です。財政規律への不満を抱える有権者に向けて、「自民も本気で無駄削減に取り組んでいる」と示す政治的パフォーマンスの側面も否定はできません。


米国DOGEはなぜ「失敗例」と見なされているのか

モデルとされる米国のDOGEは、トランプ政権下でイーロン・マスク氏が主導したコストカット組織でした。連邦赤字を1兆ドル削減するという野心的な目標を掲げ、大量の公務員削減、補助金の打ち切り、契約の見直しなどを進めたものの、目標達成には程遠く、任期を8か月残して事実上の解体に追い込まれています。

DOGEは「連邦レベルで2,140億ドルを節約した」と主張しましたが、その数字は後に複数の報道で疑問視されました。既に終了していた事業を「削減」として計上していたり、複数の年次を合算して水増ししていたりと、節約効果を誇大に見せていた疑いが指摘されています。実際にどれだけ財政が改善したのか検証するのは難しく、「派手なリストラの割に、はっきりした成果が見えない」というのが専門家やメディアの共通した評価です。

さらに問題となったのはその手法です。米国のDOGEは、監査機関や規制当局など、自身や政権をチェックする役割を持つ部署の予算や人員を優先的に削減したと報じられています。そのため「無駄削減というより、自分たちへの監視を弱めるための組織だったのではないか」「官僚組織を混乱させただけ」という厳しい批判も根強く残っています。


英国Reform党の「Doge型コストカット」が示すもの

イギリスでも、Reform UKという政党が「Doge型コストカット部隊」を名乗るチームを立ち上げ、地方自治体の無駄探しを掲げました。しかし地方側の内部財務データにアクセスできないこともあり、実際にはほとんど節約を見つけられていないと報じられています。自治体の側からは「政治的なパフォーマンスに終始している」「現場の実情を理解しないまま、派手な言葉だけが先行している」といった声も上がりました。

米国DOGEと英国Reform党の「Doge型部隊」に共通しているのは、「無駄を一掃する」と大きく打ち上げたわりに、実際の削減額や中長期の改革効果が見えにくいことです。行政の現場からすると、短期的な人員削減や予算カットの負担だけが残った、という印象になりがちです。


民主党政権の「事業仕分け」とどこが違うのか

日本国内の文脈で外せないのが、民主党政権(2009〜2012年)の「事業仕分け」です。行政刷新会議の下で約450事業を対象に公開の場で予算を精査し、「廃止」「縮減」「見直し」などの判定を下したこの仕組みは、インターネット中継も含めて大きな注目を集めました。

一方で、仕分け結果は法的拘束力が弱く、最終的な予算編成の中で復活した事業も少なくありませんでした。海外の研究者からは、「透明性向上や政治主導のアピールにはなったが、財政改革としての実効性は限定的だった」「大規模なキャンペーンとしては話題性の割に、制度として根付かなかった」という評価も出ています。

今回の日本版DOGEは、こうした「一回こっきりの公開イベント」ではなく、補助金や優遇税制、基金を継続的に点検する枠組みとして設計されている点が異なります。表舞台での劇場型政治ではなく、内閣官房の中で淡々と積み上げる作業に重心が置かれているとも言えます。


「予算のオープン化」と民意反映の可能性とリスク

今回の日本版DOGEの大きな特徴として、政府が「ソーシャルメディアなどを通じて国民から意見を募る」方針に触れている点があります。どの補助金や税制優遇が「無駄」に見えるのか、生活者側からの声を集めることで、予算編成の透明性を高めようという発想です。

このアイデアは、理屈の上では二つの利点があります。

  • 現場の感覚に合わない「聖域化した支出」を可視化しやすくなること。
  • 予算に対する国民の当事者意識を高めるきっかけになること。

ただし、リスクも同時に存在します。

  • 結局は声の大きい層の不満が優先され、社会的弱者向けの支出や長期投資(研究開発、気候変動対策、文化支援など)が削られやすいこと。
  • SNSで集めたデータが、政治マーケティングや支持層固めのために利用される「データ収集・囲い込み」に傾く危険性。
  • 行政側の説明能力が不足すれば、「なぜこの支出は必要なのか」がきちんと理解されないまま不信だけが募ること。

米国DOGEをめぐっても、「本当に無駄を削ったのか」「むしろ監視やデータ収集の口実だったのではないか」という疑念が最後まで拭えませんでした。日本版DOGEが同じ轍を踏まないためには、削減対象だけでなく「守るべき支出」についても、説明と対話のプロセスをセットで用意できるかどうかが鍵になってきます。


日本の財政と地方の現実の中で何が起きうるか

海外メディアやSNSのコメントで目立つのは、「日本にはまだ官僚的な無駄もあるが、それを削ると地方の公共サービスがさらに痩せ細るのではないか」という懸念です。すでに人口減少と税収減で厳しい地方自治体にとって、補助金カットはインフラ維持や福祉サービスに直結します。

また、日本は高齢化に伴う社会保障費の自然増と、巨額の政府債務という構造問題を抱えています。こうした中で「無駄削減」を掲げると、どうしても高齢者向け医療・介護や教育・子育て支援、さらには科学技術や安全保障関連の支出まで、政治的に反発が弱そうなところから削られていきがちです。

日本版DOGEが本当に「痛みの少ない無駄」から手をつけるのか、それとも「切りやすいところ」から切り込むのかによって、評価は大きく変わってくるでしょう。ここは、今後の具体的な洗い出しや削減項目を継続的に追いかける必要があります。



総括

日本版DOGEをめぐる海外の反応は、総じて懐疑的です。アメリカやイギリスでのDOGE型改革が十分な成果を出せなかったことから、「日本も同じ失敗パターンに入るのではないか」という見方が強くなっています。

ただ、日本版DOGEは、民主党時代の事業仕分けのような一回限りのショーではなく、補助金や優遇税制、基金を継続的に点検する枠組みとして設計されている点で、過去の試みとは異なる部分もあります。また、ソーシャルメディアを通じた意見募集など、予算のオープン化と民意反映の要素を取り入れようとしている点も、うまく機能すれば透明性向上につながる余地があります。

結局のところ、日本版DOGEが「第二の事業仕分け」になるのか、「ポピュリズム的なコストカットキャンペーン」で終わるのか、それとも地味でも実務的な制度改革として定着するのかは、これからの運用次第です。どの分野にどれだけメスが入るのか、そしてそのプロセスがどれだけ説明可能で、検証可能なものになるのかを、国内外のメディアと有権者が冷静に見ていく必要があると思います。



関連書籍紹介

『常識保守』のすすめ

片山さつき 著(2025年6月6日刊)

日本版DOGEを考える上で、財務大臣・片山さつき氏の政策観も重要です。片山氏は著書『常識保守のすすめ』で、日本が守るべき制度や社会保障、治安、家族制度など、国家運営の基盤となるテーマを整理し、「守るべき部分は守りつつ、制度の無駄は確実に正すべきだ」という一貫した姿勢を示しています。

これは、日本版DOGEが目指す“補助金や税制優遇の筋を検証し、非効率を改善する”方向性とも重なります。単なる予算カットではなく、制度の合理性を見直すという点で、片山氏の問題意識と財務省の効率化方針は一致しています。

『常識保守のすすめ』では、社会保障や在留資格、家族制度など「何を優先し、どこを守るか」という軸がわかりやすく語られており、日本版DOGEの背景を理解する上でも有用です。政治思想書でありながら、制度の裏側や財政の現実を噛み砕いて説明しており、今回のテーマに関心がある読者にも読みやすい内容となっています。


給与倍増 名目GDP1000兆円計画!

片山さつき 著(2023年12月19日刊)

片山さつき氏は『給与倍増 名目GDP1000兆円計画!』で、日本経済を再成長させるための政策パッケージを提示しています。ゼロゼロ融資の活用、金融立国としての発想転換、GX投資、経済安全保障、女性の働き方改革など、幅広いテーマを「どう成長へつなげるか」という視点で体系化した内容です。

この本で特徴的なのは、名目GDP1000兆円という大胆な目標を掲げつつ、賃上げや投資促進を“数字と制度”の両面から説明している点です。また、国の成長戦略を支えるためには「制度の合理化」や「予算措置の見直し」が不可欠だという考えも示されており、今回の日本版DOGEが掲げる“効率化”の流れとも重なる部分があります。

政治色の強い主張だけでなく、具体的な賃上げの仕組みや税制、複利効果などを解説しているため、経済政策の背景を把握したい読者にも読みやすい内容です。日本経済の方向性を大きなスケールで捉える上で、今回の議論と合わせて参照しやすい一冊になっています。


参考リンク

Japan unveils its version of DOGE aimed at cutting wasteful spending

Exclusive: DOGE ‘doesn’t exist’ with eight months left on its charter

DOGE disbanded: Elon Musk’s Cost-Cutting Project Quietly Ended Ahead of Schedule

Reform’s Doge-style cost-cutting units ‘haven’t found any waste’, say councils

Japan Sets Up Own Version of DOGE to Cut Waste

Program Review: The First Step to Budgetary Reform

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