石破政権の奇妙な安定性とは?
石破茂首相の政権は、国内の支持率低迷や自民党の分裂を背景に「短命」と見られていました。しかし、従来の岩盤保守層が自民党を離れたことで党内基盤はむしろ安定し、野党からも部分的に支持を受けるという奇妙な状況が生まれています。極めつけは「石破辞めるなデモ」の出現。これは日本政治において異例であり、国内外の注目を集めています。
岩盤保守層が離れたことで逆に強まった党内基盤
本来なら政権の支えであるべき保守層が離脱したことで、逆説的に石破首相への党内支持率が上昇しました。政敵が去ったことで、議会内での立場はむしろ安定する結果となっています。
「石破辞めるなデモ」という異例の現象
日本では通常、首相に対するデモは「辞めろ」という批判が中心です。しかし石破首相に対しては「辞めるな」という異例のデモが発生しました。これは与野党をまたいだ奇妙な政治現象といえます。
海外報道が伝える石破政権の評価
CNN「保守派の離脱が逆に追い風」
“Ishiba’s position, once thought precarious, has proven surprisingly resilient in the Diet. The departure of conservative hardliners has ironically strengthened his hand, making party control easier.”
(「石破茂首相の地位は揺らいでいると見られていたが、意外にも議会内では安定を保っている。保守派強硬派の離脱が皮肉にも石破氏にとって追い風となり、党内掌握を容易にしている。」)
出典:CNN
フィナンシャル・タイムズ「敵の敵は味方という構図」
“Ishiba’s government survives under a paradoxical logic: the enemy of my enemy is my friend. With staunch anti-Ishiba conservatives leaving the LDP, his position has paradoxically been strengthened.”
(「石破氏の政権は“敵の敵は味方”という逆説的な論理の下で存続している。石破に強く反対していた保守派が自民党を離れたことで、彼の立場は逆説的に強化された。」)
出典:Financial Times
ガーディアン「辞めるなデモは日本政治の特異性」
“A demonstration not to oust a prime minister but to keep him in office is extraordinary in Japanese politics. Even opposition supporters rallied to support the sitting PM, reflecting a strange twist in democracy.”
(「首相を辞めさせるためではなく、辞めさせないためのデモが行われたことは、日本政治において極めて異例だ。野党支持者でさえ現職首相を支えるために集まったのは、民主主義における奇妙なねじれを映し出している。」)
出典:The Guardian
海外の反応
“They said the Japanese don’t know sarcasm. But surely, this is sarcasm, right? I think they are playing reverse psychology.”
「日本人は皮肉が分からないと言われている。でもこれは皮肉でしょ?逆効果を狙っているんじゃないかな。」
“Good thing it was only about 200 people. Funny that there’s no mention of what he did to the economy and Ishiba still trying to cringe on to power even after most of the Japanese citizens voted against him.”
「たった200人のデモで本当によかった。経済に何をしたのかも報じられてないのに、国民の大半が反対した後でも石破がしがみつこうとしているのは笑える。」
“The ones supporting Ishiba are actually left-wingers who usually criticize the Liberal Democratic Party. The reason they’re backing him is because there’s a chance Takaichi might be next in line—and she’s extremely far-right. So from their perspective, Ishiba seems like the lesser evil.”
「石破を支持しているのは、普段は自民党を批判する左派の人たちだよ。彼らが支持する理由は、次は高市がくるかもしれないから—彼女は極右だから。その視点では、石破は“よりマシな悪”に見えるわけ。」
“Absolutely disgraceful from the media when they never covered the massive protests to dissolve the Ministry of Finance, but proceed to cover this tiny protest spewing nonsense.”
「財務省解体を求める大規模デモを報じずに、このちっぽけでナンセンスなデモだけを報道するマスコミって本当に屈辱的だよね。」
“Hundreds gathered for the ‘Don’t Resign, Ishiba’ demonstration outside LDP HQ despite an approaching typhoon. Many participants aren’t traditional LDP supporters.”
「台風が近づく中、数百人が自民党本部前で「辞めるな、石破」のデモに集まった。参加者の多くは、伝統的な自民支持者ではない。」
日本と海外の評価の違い
石破政権をめぐる最大の特徴は、日本国内と海外で評価が真逆に近い点です。
- 海外メディア・研究者の視点
→ 法制度や防衛論議への関心の強さから「現実主義的で防衛的なリーダー」として映る。政権交代が頻発する日本政治の不安定さを緩和する存在として好意的に評価される。 - 日本国内の視点
→ 国民にとって最優先の課題は経済や生活。外交・防衛で評価されても、物価や雇用への成果がなければ「現実的」とは感じられない。石破首相の発言は軽く響き、「空回りする政治家」との印象が強まる。
このギャップは、国内外の「何を政治の安定要因とみなすか」の違いに起因しています。海外は地政学的な抑止力と制度的安定性を重視する一方、日本国民は生活への直結度を重視しているため、評価が食い違うのです。
総括:奇妙な安定はどこまで続くのか
石破政権は、国内外で評価軸が大きく異なります。海外は「現実的・防衛的なリーダー」として見る一方、国内では経済失策や理想論に対する冷笑が目立ちます。それでも政敵の離脱と野党の支えによって政権は存続し、結果として「辞めるなデモ」という異例の現象が起きました。
さらに最近では、立憲民主党の野田党首と石破首相の波長が合うことから、大連立の可能性まで取り沙汰されています。もし実現すれば、日本政治の勢力図は大きく変わり、石破政権の「奇妙な安定」はさらに長期化するかもしれません。
この矛盾を内包した安定が、果たしてどこまで続くのか。日本政治の行方を占う試金石となりそうです。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。
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