日本はなぜキャッシュレス後進国なのか?ホリエモン炎上発言と現金信頼文化・中国リープフロッグ現象から考える

ホリエモン発言と炎上の背景

堀江貴文氏(ホリエモン)がXにて「中国なんて奥地の青空屋台までキャッシュレスだぞ。だから負けるんだよ。」と発言し、SNS上で炎上した。
挑発的な物言いではあるが、この一言は「日本はなぜキャッシュレス化が遅れているのか」という根本的な問いを突きつけている。

▼ 該当ポスト(Xより)

日本のキャッシュレス化は本当に遅れているのか

日本:現金依存が根強いが徐々に進展

“Once seen as a society favouring physical currency, Japan saw the ratio of cashless payments rise to 42.8% in 2024, up from 13.2% in 2010.”
→ 「かつては現金を重視する社会と見なされていた日本だが、キャッシュレス決済の比率は2010年の13.2%から2024年には42.8%へと上昇した。」

出典:Reuters

中国:農村部でも普及するQRコード決済

“In China, which has been the leading force in cashless payment for many years now, the adoption of mobile payment has been so prevalent that even a vegetable market in a rural township wants you to scan the QR code.”
→ 「中国では、長年キャッシュレス決済を先導しており、過疎地の野菜市場でさえQRコードをスキャンして決済するほど普及している。」

出典:Daishinsha


海外SNS(Redditなど)での反応

“Japan is super convenient for tourists, but once you live there, the reliance on cash is shocking.”
「観光客には便利でも、住んでみると現金社会の不便さを実感する」


“Even though more shops accept cards now, a lot of small restaurants are still cash only.”
「日本ではカードが使える店が増えたとはいえ、小さなレストランなんかは現金だけってこともあるよ」


“I always need coins because I have to charge my Suica/PASMO with cash.”
「Suicaに現金チャージするから、小銭は必須だよね」


“Everyone just prefers Alipay (Zhifubao)… people look confused when you try to pay with cash.”
「中国ではみんなAlipayを使いたがる。現金出すと驚かれるくらいだよ」


“Legally all businesses should accept cash in China, but in practice they sometimes give you a hard time.”
「法律では現金使えるはずなんだけど、レジで嫌な顔されたことあるわ」


“Alipay can even work offline. Just show your payment code, no internet needed.”
「オフラインでも使えるように、Alipayは支払いコードだけ見せればOKらしい」


“What happens in other countries when a blackout or disaster knocks out cashless payments?”
「災害時にキャッシュレスが止まった時、他国ではどうしてるんだろ…?」


“Cash is the safety net during disasters. Going fully cashless is risky.”
「現金は災害時のセーフティーネット。完全にキャッシュレスは怖い」


“Cashless will never become the norm in Japan. This is a disaster-prone country—when power goes down for days, cash still works, cashless doesn’t.”
「災害多い日本でキャッシュレスが当たり前になるなんて無理。数日停電になったら現金だけが頼りでしょ」


“Sure, cashless is growing in Japan, but tons of small shops are still cash-only.”
「確かにキャッシュレス化は進んでるけど、小さな店では今も現金オンリーのところ多いよね」


“Even in Sweden, where cashless is everywhere, people worry it could be chaos during a blackout.”
「スウェーデンもキャッシュレス進みすぎて、災害時に混乱しそうって話あるよね」


“For older people, cash just feels safer and easier than any digital payment.”
「高齢者は電子マネーより現金のほうが安心って感じる人、多いと思う」


“If a disaster stops electronic payments, you’re screwed without cash.”
「災害で電子決済止まったら、現金ないとホント困るよね」


“Even rural villages in China use QR codes daily—that leapfrogging is crazy.”
「中国の農村でもQR決済が普通って、リープフロッグすごすぎる」


“Small shops avoid cards because of the fees, so of course they stick to cash.”
「小さな店はカード手数料高いから、現金派が多いよね」


日本はなぜキャッシュレス化が遅れるのか?現金信頼文化の背景

  • 日本では現金が「目に見えて安心できるもの」「セキュリティ面の信頼性が高い」とされる文化性が根強い。
  • また、小規模事業者を思い、「手数料を避けるために現金を選ぶ消費者」が多いという文化的配慮も見られる。
  • 高齢化社会かつ現金への安心感や慣習が強く、スマホやQR決済への心理的障壁が根強い。
  • インフラ面でも、地方の店舗やATM網は現金主義を前提としており、キャッシュレスへの投資が進みにくい。

中国が示したリープフロッグ現象と日本の違い

  • 中国では、クレジットカード決済が普及する前にモバイル決済が急速に広まったことで、カード社会を迂回してデジタル社会へ跳躍(リープフロッグ)した構造がある 。
  • このような「飛び越し」は発展途上国や都市部と地方の格差解消にも繋がる点で注目される。
  • 日本は既存の現金インフラが強固で、同じジャンプは起きにくい。

災害大国・日本における現金の役割

  • 東日本大震災や熊本地震では停電で電子決済が停止、現金のみが機能した。
  • アメリカのハリケーン時もカード端末がダウンし、現金が必須となった。
  • 中国やインドは「オフライン決済」機能を整備中だが、完全停電が長引けば結局は現金が必要。
  • スウェーデンのようなキャッシュレス先進国でも、政府が「一定の現金保持」を推奨。

➡ 日本が現金を手放せない背景には、この「災害リスク」が大きい。


デジタル決済の利点とリスク:家計から政治資金まで

  • 家計管理のしやすさ:生活費をすべてデジタル決済にすれば家計簿アプリと連動し、自動で記録・分析できる。
  • 脱税防止:現金のように裏金や帳簿外収入を隠しにくく、脱税防止につながる。
  • 政治資金の透明化:政治家の裏金問題も、もし資金授受がデジタル限定なら一目瞭然で把握できる。
  • リスク:監視社会化:資産状況や消費履歴が“国や企業に筒抜け”になる可能性もあり、透明性とプライバシーのバランスが問われる。

観光立国としての課題

  • 海外旅行者は「カード・スマホ決済が当然」と考える。
  • 現金中心の日本は、観光客に「不便な国」という印象を与えかねない。
  • 今後より推進されるであろう観光立国戦略を見据えれば、国際水準のキャッシュレス環境が求められる。

総括:ホリエモン発言が突きつけた現実


堀江氏の発言は過激ではあるが、日本社会の現金依存と、その背後にある文化・高齢化・災害リスクを浮き彫りにした。
さらにデジタル決済には「家計管理や透明性の強化」という利点がある一方で、監視社会化というリスクも伴う。

今後の課題は、「災害に強い現金」と「透明性・利便性の高いデジタル」をどう共存させるかだろう。


それではまた、次の記事でお会いしましょう。

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