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2月8日に投開票が予定されている衆議院総選挙に向け、各党が選挙戦を本格化させる中、新興政党・参政党が180人超の候補者を擁立する大規模な選挙戦略で存在感を強めていると国内メディアが報じている。
報道によれば、参政党は今回の衆院選で全国の選挙区に幅広く候補者を立て、「自民党と正面から戦う」姿勢を明確にしている。従来は比例代表を中心に支持を伸ばしてきた同党だが、今回は候補者数そのものを武器に、野党再編が進む中で独自の第三極としての立ち位置を強調している。
主要政党同士の争いが続く中で、180人超という異例の擁立規模は選挙戦の構図にも影響を与えつつあり、参政党がどこまで議席を伸ばすのかが注目されている。
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補足説明 参政党はなぜここまで存在感を強めているのか
今回の衆院選では、参政党が180人超の候補者を擁立し、全国規模で選挙戦に臨んでいます。既成政党と比べても異例の規模であり、この動き自体が同党の勢いを象徴しています。
この大量擁立は単なる話題作りではなく、参政党がここ数年かけて進めてきた勢力拡大の延長線上にあるものです。
参政党とはどのような政党か
参政党は2020年に結党された新興政党で、「投票したい政党がないなら、自分たちでつくる」というスローガンを掲げてきました。既存政党や既存メディアへの不信感を背景に、草の根型・DIY型の政党運営を特徴としています。
政策面では、教育改革、食と健康・環境、国防・危機管理を主要な柱とし、積極財政や反グローバリズム的な立場を打ち出してきました。近年は、外国資本による土地取得への警戒や、文化・価値観を巡る論点など、自民党に不満を持つ保守層が関心を寄せやすいテーマにも軸足を移しています。
2025年参院選での躍進と、その背景
参政党が「泡沫」とは言えない存在として広く認識されるようになった転機は、2025年の参議院選挙でした。この選挙で同党は議席を伸ばし、国政における発言力を明確に高めました。
背景として挙げられるのは、主に次の点です。
まず、SNSや動画配信を軸にした情報発信です。YouTubeやX、TikTokなどを通じて、テレビでは扱われにくいテーマを積極的に取り上げ、「既存メディアが伝えない事実を知った」という感覚を共有する支持層を組織化していきました。
次に、コロナ禍を経た社会不安の受け皿となった点です。ワクチン接種や行動制限を巡る議論の中で、同調圧力や政策への違和感を覚えた層が一定数存在し、参政党はそうした不満を強い言葉で代弁してきました。
実際、勢力拡大の過程では、反ワクチン的な主張や、科学的・医学的コンセンサスと距離のある、いわゆる陰謀論的な言説も積極的に用いられてきました。これらは支持層の結集という点では一定の効果を持った一方、党のイメージを限定的なものにしていた側面もあります。
最近の路線変化と「なりふり構わぬ拡大戦略」
注目すべき点として、参政党はここ最近、反ワクチンなどの主張を前面に出す頻度を明らかに下げています。代わりに、減税、物価高対策、外国人政策、文化的価値観といった、より広い層に訴求しやすいテーマを強調する傾向が見られます。
これは、党が「特定の思想を強く共有する集団」から、より大きな票田を狙う段階に入ったことを示しているとも言えます。一方で、見方によっては、勢力拡大のために主張のトーンや重点を柔軟に変え、なりふり構わず支持を取りに行っているようにも映る動きです。
今回の衆院選における立ち位置と不安要素
今回の衆院選での180人超という大量擁立は、小選挙区での全員当選を狙ったものではなく、比例代表での得票最大化を目的とした戦略と考えられます。小選挙区に候補者を立てることで、ポスター掲示や選挙公報を通じた露出を増やし、比例票につなげるという、制度上は合理的な手法です。
ただし、急拡大にはリスクも伴います。
候補者の質や党内統制は最大の不安要素です。短期間で多数の候補者を公認する以上、過去の言動や発信内容の管理は難しくなります。実際、過去には公認候補の発言が問題視された例や、選挙後に離党者が相次いだケースもありました。
また、保守票の分散という点も見逃せません。自民党、維新、日本保守党などと支持層が重なる中で、参政党の躍進が結果的に選挙全体の構図を揺さぶる可能性があります。
こうした参政党の動きは、日本国内だけでなく、海外からも注視されています。ただし、海外の議論では、参政党そのものよりも、外国人排斥的な言説や、排他的な政策を訴える勢力が存在感を強めていること自体への危機感が語られる場面が目立ちます。
以下では、そうした海外ユーザーの反応を通じて、日本の衆院選がどのように受け止められているのかを見ていきます。
海外の反応
以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。
(スレ主)
今回は参政党だけじゃない。維新や自民党、さらに泡沫的な極右政党まで含めて、総がかりで来ている。
東京の衆議院選挙区の候補者をざっと見てみただけでも分かる。
https://go2senkyo.com/shugiin/28030/prefecture/13
人口や経済規模という意味で、特に重要な選挙区を中心に見てみると、参政党は、ほぼすべての選挙区に候補者を乱立させている。正直、立憲民主党や自民党ですら、ここまでやっていない。
しかも参政党の候補者は、若い、あるいは若く見える女性がほとんどだ。
(中略)
ここまでにしておく。書き始めたらキリがない。
だが衝撃的なのは、ほぼすべての選挙区に参政党が候補者をばら撒いているという事実だ。おそらく比例代表で議席を取る狙いなんだろう。
正直、この抜け道はクソだ。
公明党や共産党が比例代表なしでは成り立たないのは理解できる。
だが参政党は、国を良くする気も人々の生活を良くする気もなく、ただ手っ取り早く名前を売りたいだけに見える若い候補者を使って、この制度を露骨に悪用している。もう終わりだ。
こんな形で民主主義が踏みにじられるなんて……。
法律を守って、税金や年金を払っている限り、どの政党が勝とうと心配することなんてない。
ネットの恐怖煽りに振り回されすぎない方がいい。
結局のところ、良くも悪くも日本は「ジャパン株式会社」、つまり選挙で選ばれない官僚機構が運営している国だ。
大きな変化は期待しない方がいい。
私自身、強制送還される心配はしていない。
問題にしているのは、社会の変化だ。
この憎悪が続けば、10年後、外国人人口が5%になった時に、これらの有権者はこう言い出すだろう。
「外国人が仕事を奪っている」と。 しかも、求人が埋まらない現実があっても、「外国人は安い労働力として雇われている」という西側由来のプロパガンダを輸入してくる。
同時に、「電車でうるさい外国人を見た」「日本のルールを守らない外国人を見た」「体臭が強い外国人がいた」といった話を持ち出し、
すべての外国人を一括りにする。
正直、文句を言う意味が分からない。
政策が影響するのは確かだけど、結局ここは自分の国じゃない。
市民でもないし、意図的にそう選んできた。
だから不満を言う権利が自分にあるとは思わない。
参考までに言うと、世論調査を見る限り、参政党は去年ほど伸びない可能性が高い。
いつから「文句を言う」ことに権利が必要になったんだ?
市民権は権利を伴う。
我々非市民は、権利ではなく「特権」として日本に住んでいる。
投票もできない。
だから、自分は不満を言う立場にないと感じている。
帰化して市民になれば話は別だが、そこまでコミットしない限り、これは自分の戦いじゃない。
それは戦うとか投票とか市民権の話じゃない。
「文句を言うには権利が必要だ」という、あなたの主張が荒唐無稽だという話だ。
もっとひどいのは、「どうせ何もできないんだから、黙って拷問されよう」みたいな擁護論者だ。
誰も特別扱いを求めているわけじゃない。
求めているのは、基本的な人間の尊厳だ。
日本を壊しに来た悪者みたいに見られたくないだけだ。
まず住宅の話。
外国人と聞いただけで、大家の半分が即断ってくる。
若者の半分が外国人という東京のような都市ですらだ。
次に雇用差別。
私たちは、事前に説明された職務をするために来ている。
「英語練習」や「会社の国際化要員」として使われるためじゃない。
ソフトウェアエンジニアは、社内英会話講師にはならない。
それは専任で雇え。
次に電車の空席問題。
体臭が強くないアジア人の私ですら、日常的に避けられる。
日本語を話し、できる限り礼儀正しくしていても、日本人側が私たちを「得体の知れない存在」と見る。
そして人質司法。
警察や検察による人種プロファイリングが存在するのは否定できない。
外国人は扱いやすい獲物と見なされ、99%という有罪率を維持するために、無実の人間が自白に追い込まれる。
2014年頃、東京の大企業で働いていたアメリカ人が、痴漢の冤罪で逮捕された事件があった。
彼は罪を認め、罰金を支払って釈放された。
企業弁護士から「23日間の勾留に耐えるのは無理だ」と助言されたためだ。
検察に送致されれば、人生とキャリアが破壊される可能性が極めて高かった。
こうした構造は、決して珍しい話ではない。
日本の刑事司法における冤罪問題を描いた映画は、すでに2006年に公開されている。
タイトルは「それでもボクはやってない」。
で、結局あなたの言いたいことは何なんだ?
「もう終わりだ」という感覚なのかもしれない。
そこまで悲観的には思わないし、外国人コミュニティの反応はやや過剰だとも思う。
ただ、高市が「日本は取り戻された」的なアメリカ式ポピュリズムをやり始めたのを見て、日本も例外じゃないと感じた。
本当に重要な問題より、ポピュリズムに寄っていく候補者を見るのは、正直悲しい。
奇妙な見方だな。
嫌ならいつでも出て行けるだろ。
じゃあ自由がまだあるアメリカに帰るか……あっ。
考察分析 保守票分裂が生む歪みと、参政党が見据える次の一手
本記事では、参政党の存在が保守票をどのように分断し、その結果として選挙区ごとの勝敗構造や政権構成にどのような影響を及ぼしているのかという角度から整理していきます。
政党DIY運動から続く反既存政治の系譜
参政党の出発点は、最初から国政進出を前提とした政党活動ではありません。
その源流には、2010年代後半に広がった「政党DIY」と呼ばれる運動があります。
既存政党に期待できない
投票したい政党が見当たらない
ならば自分たちで政治運動を立ち上げる
こうした発想に基づく動きで、当初は保守・リベラルという軸よりも、既存政治への不信そのものが原動力でした。
参政党は、その流れを組織化し、選挙に持ち込む形で誕生した政党です。
勝利の前にあった戦略調整
参政党は、党勢拡大の過程で一貫して路線調整を行ってきました。
反ワクチンをはじめとする陰謀論的と受け取られやすい言説は、初期には支持層を固める役割を果たしましたが、同時に拡張性の限界も抱えていました。
そこで参政党は、
生活不安
教育
治安
外国人政策
といった、より幅広い層に共有されやすいテーマへと重心を移していきます。
これは理念の放棄ではなく、勢力拡大を優先した選挙戦略上の判断だったと言えるでしょう。
この調整があったからこそ、2025年の参院選で一定の存在感を示し、「抗議運動」ではなく選挙で票を取れる政党として位置づけられるようになりました。
高市政権下でも薄れなかった存在感
高市総理の誕生によって、参政党の影が薄くなるのではないか、という見方もありました。
しかし現実には、参政党は今回の衆院選で180人規模の候補者を擁立しています。
神谷代表は、選挙前の段階で
自民党に対抗馬を立てる理由として「自民の路線への問題提起」を語っていました。
ただし、実際に取られた行動は、単なる問題提起の域を明らかに超えています。
大量擁立は、圧力をかけるための象徴ではなく、選挙構造そのものに介入する行為です。
選挙制度が生むスポイラー効果
小選挙区比例代表並立制の下では、参政党の戦略は極めて現実的です。
多くの小選挙区で当選する必要はありません。
数千票
場合によっては数百票
これを自民党候補から削るだけで、結果は変わります。
特に接戦区では、保守票が分裂した結果、中道改革連合が漁夫の利を得る構図が生まれやすくなります。
参政党自身は、中道改革連合と思想的に相容れない部分が多く、
彼らが勝利することを本意としているとは考えにくい。
それでもこの戦略を選んだのは、短期的な勝敗よりも、政党としての存続と影響力を優先したからでしょう。
見据えられている連立とキャスティングボート
この動きの先に見えるのは、比例票の積み増しだけではありません。
参政党が狙っているのは、連立政権入り、あるいはキャスティングボートを握る立場だと考えられます。
与党単独で過半数が不安定になる局面では、
少数でも無視できない勢力の価値は一気に高まります。
参政党にとって重要なのは、
誰を勝たせるかではなく、
誰が政権を作る場合でも、自分たちを外せない状況を作ることです。
波及効果としての政治言説の変化
この構造がもたらす副作用は、議席配分だけにとどまりません。
保守票を巡る競争が激化すれば、各党はより分かりやすい不安や敵を強調する方向へ引きずられます。
海外の反応で見られる警戒感も、参政党単体への恐怖というより、
参政党の台頭をきっかけに、日本政治全体が排他的な言葉を強めていくことへの懸念と見るべきでしょう。
総括
今回の衆院選で問われているのは、参政党が何議席取るかではありません。
参政党が保守票をどこまで分断し、その結果として誰が得をし、どのような政権構成が現実味を帯びるのかです。
政党DIY運動から始まった参政党は、
いまや選挙制度の隙間を利用し、交渉力を高める段階に入りました。
理念と戦略の間に矛盾を抱えたまま、
それでも現実の政治に食い込もうとする。
この構造が続く限り、
参政党が勝たなくても、選挙は動き続けます。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。
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関連書籍紹介
今回の記事では、「選挙制度の綾(スポイラー効果)」と「排外主義・ポピュリズムへの懸念」という二つの軸から、参政党の動きと衆院選全体の構造を整理してきました。
以下の2冊は、特定の政治的立場を支持・否定するための本ではありません。
なぜ、こうした現象が繰り返し起きてしまうのか。その構造を理解するための書籍として紹介します。
多数決を疑う――社会的選択理論とは何か
著者:坂井 豊貴(岩波新書)
本記事で解説した「スポイラー効果」、つまり保守票が割れた結果、第三者が漁夫の利を得る現象を、感情論ではなく数理・論理のレベルで理解したいなら、この一冊が最適です。
私たちはしばしば「選挙=民意の反映」だと考えがちですが、本書は小選挙区制が本質的に抱える歪みを、社会的選択理論の視点から丁寧に解き明かします。
参政党のような第三極が、当選しなくても選挙結果そのものに影響を与えられる理由。
それが個別の政党の問題ではなく、制度設計そのものに内在する性質であることが、非常にクリアに理解できます。
ポピュリズムとは何か
著者:ヤン=ヴェルナー・ミュラー(岩波書店)
海外の反応パートで繰り返し示されていた、排外主義的な空気への警戒感。
その正体を掴むための定番書が本書です。
著者は、ポピュリズムを単なる「大衆迎合」や「過激な主張」として扱いません。
その本質を、反多元主義――自分たち以外を正当な国民として認めない態度として定義します。
なぜ、ある言説は熱狂的に支持され、同時に強い拒否反応も生むのか。
その断絶は政策の違いではなく、民主主義とは何かという定義をめぐる衝突であることが見えてきます。
2026年の日本政治を、感情ではなく構造として俯瞰するために、欠かせない視点を与えてくれる一冊です
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