高市内閣の支持率が下落 中間層の冷却とイラン戦争インフレの影

今回の記事の重要ポイント(三点)

・高市政権の支持率は複数の世論調査で下落が確認されたが、依然として日本の歴代政権と比べれば高水準にある。全面的な政権離れというより、発足直後の期待先行の支持が落ち着き、実務評価の段階に入ったとみられる。

・支持率低下の主因は、強固な支持層の離反というより、中間層や無党派層の冷却にある。物価高への不満、減税や景気対策への疑問に加え、イラン戦争による原油高と円安がインフレ不安を強め、家計への懸念が政権評価を押し下げている。

・一方で、食料品減税や原油高対策など生活防衛に直結する政策には依然として支持が残っている。今後の焦点は、物価高対策で実感できる成果を出せるか、中東情勢や対米関係による生活不安の拡大を抑えられるかにある。


ニュース

複数の世論調査で、高市政権の支持率低下が確認された。FNNが3月14日から15日に実施した調査では、高市内閣の支持率は67.1%となり、2月の72.0%から4.9ポイント低下した。不支持率は28.5%で、前月から5.7ポイント上昇した。政権発足後、初めて60%台に入った。

選挙ドットコムとJX通信社の3月14日、15日調査でも、電話調査で56.1%、ネット調査で45.3%となり、いずれも前回より下落した。発足直後の期待感が薄れる一方、物価高への不満や、減税・景気対策の実効性への疑問が影響しているとみられる。

加えて、イラン戦争による原油高と円安進行がインフレ不安を強めている。ガソリン代や電気代、物流コストの上昇懸念が家計を圧迫し、政権への評価にも影を落としている。

一方で、FNN調査では飲食料品の消費税を2年間0%にする案に56.8%が賛成し、原油高対策としての補助金や備蓄石油放出には84.8%が評価を示した。政権全体の支持は下がっているが、生活防衛策への期待はなお残っている。


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補足説明

支持率低下の実態

今回の下落は、強い支持層が一気に離反したというより、もともとの反高市層が勢いづく材料が重なり、その空気が中間層や無党派層に広がったと見る方が実態に近いです。

高市政権の発足直後は、初の女性首相という象徴性や新鮮さもあって、期待がかなり先行していました。ですが、そうした上振れした支持は長くは続きません。時間がたつと、有権者の関心は物価、税負担、賃金、光熱費といった現実の暮らしに移ります。いま起きているのは、熱気が冷めて通常の評価局面に入ったということです。


中間層を冷やした要因

支持率を押し下げたのは、反対派そのものの拡大というより、期待していた中間層が少しずつ距離を取り始めたことです。解散総選挙の進め方への違和感、物価高対策への不満、減税や景気対策が本当に効くのかという疑問が重なり、様子見だった層が慎重になったと考えられます。

そこにイラン戦争による原油高と円安が加わりました。原油価格が上がり、さらに弱い円で輸入しなければならない状況では、ガソリン、電気、食品物流まで広く値上がり懸念が強まります。生活者にとっては、外交や戦争の話そのものより、また家計が苦しくなるのではないかという感覚の方が先に立ちやすいです。


まだ崩れたとは言えない局面

もっとも、数字だけを見れば下落は明確でも、なお高水準であることに変わりはありません。67.1%や56.1%という水準は、日本の歴代首相と比べてもまだ高い部類です。全面的な政権離れというより、期待先行だった支持が削られ、本当の評価が始まった段階といえます。

食料品減税や原油高対策への支持が残っていることも、そのことを示しています。政権全体には厳しい目が向き始めていても、生活防衛に直結する政策にはなお期待がある。高市政権にとって重要なのは、象徴性や勢いを維持することではなく、家計に効く成果を実際に示せるかどうかです。


今後の焦点

ここから先の焦点は分かりやすいです。物価高対策で実感できる成果を出せるか。減税や補助金が一時しのぎで終わらず、消費や景気の下支えにつながるか。中東情勢や対米関係で、さらに生活不安を強めるような事態を避けられるかです。

高市政権はいま、支持が崩れたというより、期待で乗っていた中間層をつなぎ止められるかどうかを試されている段階にあります。今後の支持率は、反対派の声の大きさよりも、暮らしの不安をどこまで和らげられるかで決まっていきそうです。


海外の反応

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。


いちばん驚くのは、そもそも最初が79.5%もあったことだよ。


初の女性首相だし、少なくとも建前の上では期待する人が多かったのは不思議じゃない。とはいえ79.5%はさすがに高すぎる気もする。


即時解散の選挙に勝ったあとでも56%なら、まだかなり健全な数字だよ。石破は74%から28%、岸田は50%台半ばから14%、菅も74%から30%まで落ちた。安倍ですら30%まで下がった。
日本の首相支持率って、だいたい最後はろくな終わり方をしないし、勢いが続く期間もかなり短い。


その党の首相が毎回不人気になるのに、なんで日本人はいつも同じ政党に投票し続けるんだ?


専門家じゃないけど、自民党って西洋の政党というより、恒久的な「現状維持機関」みたいな作りなんだと思う。地方への浸透力もかなり深いし。
首相の人気が落ちたら、派閥が新しい顔を立てるだけ。
だから結局、多くの人が政治にしらけてるんじゃないかな。


すごく筋が通ってる話だね。自分の住んでるドイツと日本って、結局そんなに違わないのかも。いつも同じ政党に投票しておいて、何も変わらないって文句ばかり言うんだから。


今どき大半の人がTikTokで教育を受けてるような状態なんだから、別に不思議でもないでしょ。


ここまで長持ちしたことのほうが意外だよ……。


それでもまだかなり高い。今の時代の大半の政権じゃ、こんな数字は考えられない。


ハネムーン期間が終わったってことだろうね。


外国人嫌いじゃ、家族は食わせられないよ。


もし日本を戦争に巻き込んだら終わりだろうな……日本と右派はそういうところがあるし。


それは無理。
攻勢に出る形で軍を使うには、憲法改正が必要だから。


軍が出るような事態になるまで悪化してほしくはないよ。


人気が現実に負けたってことだね。世間の人気なんて気まぐれな生き物だよ。流行はすごい勢いで頂点に達して、すごい勢いで消える。
ギター侍風に言うなら、「残念!!」


56%ならまだかなり健全な数字だよ。


選挙公約が経済の現実にぶつかるまでには少し時間がかかるんだよ。日本はお金を刷れば豊かになれる、なんて国じゃない。


イギリス人がトラス首相のときにやったレタス・カウントダウン、同じことやるべきだったよね。絶好のネタを逃した。

レタスがトラス首相に勝利。英紙で「どっちが長持ちするか対決」 | ハフポスト WORLD


冗談で言ってるよね? トラスはそもそも選挙で勝ってないし、もともと支持率が落ちていた保守党政権を引き継いだだけ。次の総選挙で大敗すると思われてたし、本人も党内では危うい存在で、党員には人気でも世論調査では最初からかなり笑いものだった。
こっちは全然違う。高市は日本の選挙で大勝して、党内での地位も固めて、今もなお世論では異例に高い支持率を持ってる。私は別に支持してないけど、トラスのほうがどう見てもずっと不安定な立場だったよ。


どうやって選ばれたかを同列に見てたわけじゃなくて、経済センスの似てるところ、というか無さのほうを言いたかったんだよ。
サッチャー信奉を公言してるわりに、高市は実際にはトラスにかなり近い。だから去年11月以降、日本のニュースでも「トラスショック」って言葉が飛び交ってたわけで。


経済政策の方向性は、一部似てるところはあっても、実際はかなり違うよ。どちらも財政支出頼みという点では共通点があるかもしれないけど、トラスは富裕層や企業向けの財源なき減税で成長できると信じる、いわゆるトリクルダウン派だった。高市はその真逆で、むしろケインズ型の大きな政府の支出派に近い。


トラスは最初からかなり脆そうに見えたけど、高市はまだしばらく持つと思う。野党はかなり頼りないし、自民党内から本格的に挑戦が出るには、もっと支持率が落ちないと厳しい。
レタスのほうが先に腐ってるよ。


誰かほんとにやってくれないかな? できれば、もっと傷みやすい日本の食べ物とかで。


オバマ政権のときと少し似てる気がする。最初はすごく期待感があったけど、それが落ち着いて、以前からの問題がそのまま残ってると、人は我に返って「結局同じ仕組み、同じ政治じゃないか」と気づくんだよね。
高市の前には大きな問題が山積みだし、トランプとうまく奇跡みたいな取引でも成立して、戦争に引きずり込まれず、日本経済も傷まず、しかもトランプの機嫌も損ねない、みたいなことでも起きない限り、支持率はたぶんさらに下がる。
でもそんなの、ほぼ不可能だよ。


支持率を戻すために、次はどんな「税金を払う外国人」いじめ政策を出してくるのか見ものだね。


考察・分析

2月の熱狂から、なぜ3月に空気が変わったのか

2026年2月8日の衆院選で自民党は316議席を獲得し、高市政権は歴史的な大勝を収めました。10月の発足以来、高市首相は初の女性首相という象徴性に加え、積極財政や国家戦略を前面に出す明快な姿勢で注目を集め、政権発足から総選挙までは強い追い風の中にありました。

ところが3月に入ると、複数の世論調査で支持率は下落に転じます。水準そのものはなお高めでも、選挙まで続いていた上昇気流が明らかに弱まりました。ここで起きたのは、政権が突然何もできなくなったというより、それまでの期待や勢いで支えられていた評価が、物価、外交、国会運営といった現実的な基準でより厳しく見られ始めたことです。


支持率を押し下げたのは、反対派の拡大より中間層の冷却

今回の下落は、強固な支持層が一斉に離れたというより、もともとの反高市層が勢いづく材料が重なり、その空気に中間層や無党派層が引っ張られたと見る方が自然です。

高市政権の初期支持には、政策の細部への納得だけでなく、既存政治を動かしてくれそうだという期待がかなり含まれていました。だからこそ、選挙まではその期待が政権の勢いを支えましたが、3月に入って生活不安や外交リスクが前面に出ると、様子見だった層ほど慎重になりやすかったのです。

つまり、支持率低下の本質は、政権が急に弱くなったことではなく、期待で上振れしていた部分が、外部環境の悪化とともに少しずつ剥がれ始めたことにあります。


3月の最大要因は、イラン情勢の急変だった

3月の空気を変えた最大の要因は、やはりイラン情勢の急変です。2月末以降、中東情勢が一気に悪化し、原油高と円安が同時に進んだことで、日本では物価上昇への不安が急速に強まりました。

このタイミングが高市政権にとって厳しかったのは、ちょうど総選挙後の期待を政権運営の成果につなげたい時期だったからです。本来なら、選挙勝利の勢いを背景に本予算成立や政策実行へとつなげたい局面でしたが、そこへ外部ショックが直撃しました。ガソリン代、電気代、物流コスト、食料価格への懸念が強まれば、有権者の関心は国家戦略や成長投資より、まず目の前の生活防衛へ戻ります。

3月に起きたのは、安全保障や中東情勢が抽象的な外交問題ではなく、家計に直結する問題として受け止められたことでした。高市政権への支持が弱まったのは、政策思想そのものが突然否定されたからではなく、生活不安がそれを上回る優先課題になったからです。


本予算審議は、政権の調整力を映す場になった

イラン情勢が最大の外的要因だとすれば、国内政治でそれに重なったのが本予算審議です。衆議院では圧倒的多数を持っていても、参議院では与党が過半数を持たず、年度内の本予算成立には調整と妥協が必要になります。

ここで見えてきたのは、選挙に勝つ強さと、国会をまとめる強さは別だという現実です。選挙では突破力が魅力になりますが、予算審議では丁寧さや着地の巧さも問われます。支持率が下がった背景には、政権が何もしていないというより、選挙局面では見えにくかった統治の難しさが、3月に入って可視化されたことがあります。

本予算そのものが支持率下落の主因というより、イラン情勢によって高まった不安の中で、政権の調整力や実務能力までより厳しく見られるようになった、と捉える方が自然です。


サナエノミクスは「期待の物語」から「暮らしとの答え合わせ」へ移った

高市政権の経済路線は、積極財政と成長投資を通じて日本を立て直すという、比較的大きな国家戦略を持っています。10月の就任から2月の選挙までは、その構想自体が停滞打破への期待と結びつき、政権の追い風になっていました。

しかし3月に入ると、有権者の目線は変わります。理念が正しいかどうか以上に、物価高に対して実際に家計を守れるのか、外部ショックの中でも生活不安を抑えられるのかが問われ始めました。

これは、サナエノミクスが否定されたというより、構想として評価される段階から、暮らしとの答え合わせを求められる段階に移ったということです。3月の支持率低下は、この移行期の摩擦として見るのが最も実態に近いです。


2月下旬のカタログギフト問題が残した違和感

3月の空気を冷やした要因は、経済や外交だけではありません。前段階として、2月下旬に表面化したカタログギフト問題も、政権への違和感を残しました。

法的な問題があるかどうかとは別に、有権者が見たのは、物価高で苦しい空気の中でも、政治の側の感覚はあまり変わっていないのではないかという疑念です。これは単独で政権を揺るがす決定打ではありませんが、高市政権が「新しい顔」として期待を集めてきたからこそ、古い自民党的な体質を連想させる話題には弱い面があります。

3月の支持率低下は、大事件ひとつで起きたというより、2月下旬の段階で生まれていた小さな違和感の上に、3月のイラン情勢、物価不安、本予算審議の難しさが重なって広がったものと見るべきです。


総括

2月の衆院選まで絶好調だった高市政権が3月に入って支持率を落とした最大の理由は、イラン情勢の急変によって、政権を取り巻く空気が一気に「期待」から「生活不安」へ切り替わったことにあります。原油高と円安が家計を圧迫する懸念を強め、安全保障や外交の話がそのまま物価高の話として受け止められるようになりました。

そこに本予算審議をめぐる調整の難しさや、2月下旬に表面化したカタログギフト問題が残した違和感が重なり、中間層の期待が冷え始めたのです。今回の支持率低下は、政権が崩壊に向かっているというより、10月から積み上がってきた期待が、3月の外部ショックによって厳しく試され始めた結果と見るべきでしょう。

高市政権がこの失速を一時的な調整で終わらせられるかどうかは、理念を語ることより、物価高の不安をどこまで和らげられるかにかかっています。選挙で示した強さを、家計を守る実務へ変えられるかどうか。3月の支持率低下は、その本格的な試練の始まりとして見るのが適切です。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう。


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