ニュース:メタプラネット株、6月高値から70%下落
東証スタンダード上場のメタプラネット(3350)の株価は、2025年6月の高値約1,900円から大きく下落し、9月12日時点でおよそ570円前後で推移しています。わずか数か月で約70%の下落となりました。
初心者向けの基礎知識と今回の下落要因
今回のメタプラネット株の急落には、暗号資産や株式市場に特有の仕組みが関わっています。ここでは投資初心者でも理解できるように、用語や背景を整理します。
- ビットコイントレジャリー企業とは?
自社の資産として大量のビットコインを購入・保有する企業のこと。アメリカのマイクロストラテジー社が代表例で、メタプラネットも同じ戦略をとっています。株価はビットコイン価格の影響を大きく受けます。 - 株価が上がる仕組み(スキーム)
メタプラネットは「新株発行で資金を調達 → その資金でビットコイン購入」というサイクルを繰り返してきました。
1. 新株を発行して資金を集める
2. 集めた資金でビットコインを購入
3. 保有ビットコインが増え、理論価値(mNAV)が上昇
4. 「ビットコインが上がれば株価も上がる」という期待で投資家が殺到
この期待が株価を短期間で押し上げました。 - なぜ直接ビットコインではなく株を買うのか?
1. 証券口座で手軽に取引できる
2. 株式は金融規制や制度が整っており安心感がある
3. ビットコインの値動きが企業の資産価値に反映されるため、株価がそれ以上に大きく動くことがある
4. 日本では暗号資産の利益が総合課税(最高55%)なのに対し、株式の譲渡益は一律約20%。税制面で株の方が有利になりやすい
5. 将来的に暗号資産の税制見直しが議論されており、環境が変われば直接保有もしやすくなる可能性がある - mNAV(修正純資産価値)とは?
会社が持つビットコインなどの資産を株数で割った「1株あたりの理論的な価値」を示す指標です。投資家は「株価がこの水準より高いか安いか」を判断材料にします。 - 希薄化(ダイリューション)とは?
新株を発行すると既存株主の持ち分が薄まり、1株あたりの価値が下がること。資金調達の手段ですが、株価の下押し要因になります。 - 今回70%も下落した理由
1. 数ヶ月にわたり新株発行が続き、株価は希薄化懸念から下落トレンドにあった
2. そこへ9月に実施された海外公募増資で、市場価格より10〜20%安いディスカウント価格で新株が発行された
3. 既存株主にとっては「自分の株が割安で薄められる」ことを意味し、投資家心理が一気に冷え込んだ
4. 結果として需給バランスが崩れ、投げ売りが広がり、ピークから約70%もの急落につながった
海外の反応
How could Metaplanet stop the bleeding?
メタプラネットはどうやったらこの“出血”を止められるだろう?
Since we have a pretty good community, I was asking myself if smart / informed people could shed a light on what should happen so that Metaplanet stops its crazy bleeding.
このコミュニティには知識のある人が多いから聞きたいんだけど、株価のひどい下落を止めるには何が必要だと思う?
My expectation is that some stabilization should finally arrive between 15.09.2025 – 19.09.2025. I suspect the price should fluctuate between $3.4 and $3.61. The info is partly calculated based on news from 10.09.2025 on the Metaplanet website.
自分の予想では、9月15日から19日くらいの間にはようやく落ち着いて、株価は3.4ドルから3.61ドルの範囲で動くんじゃないかと思ってる。これは9月10日に公式サイトに出たニュースをもとに計算した部分もある。
PS: I would leave the pesimistic scenarioes out of this discussion as every crypto based stock is bound to crash violently due to its nature.
追記:悲観的なシナリオはここでは外しておきたい。なぜなら、暗号資産関連の株は本質的に激しく暴落するものだから。
We should wait for the quiet period to end so that Simon and Dylan can share their views on the situation. Then we can think what’s next.
まずは「クワイエットピリオド」が終わって、サイモンやディランが見解を示してからだな。それから次のことを考えよう。
didn’t they just do the most recent offering at a 20% discount to the market price? I mean that should give you an indication of where the stock is going to go in the short term.
直近の増資って、市場価格より20%引きでやったんじゃなかった?つまり短期的にどこへ向かうかのサインだよな。
yeah. They did. Strive (ASST) did one at a 75% discount. No idea why people own it.
ああ、そうだな。Strive(ASST)は75%ディスカウントでやった。なんで持ってる人がいるのか理解できない。
Next week will be a few good catalysators for reliev
来週にはいくつか良い材料が出てくるはずだ。
Massive BTC purchase + Quiet period over
大規模なビットコイン購入と、クワイエットピリオドの終了だな。
They could leave the MSW paused for a little bit to let the stock try to breathe and regain some higher prices.
MSW(株式発行プログラム)を少し止めて、株価に呼吸する余裕を与えて反発させる。
They could borrow some funds from Evo to buy bitcoin while the MSW program is paused, thus increasing bitcoin per share without dilution. Yes, they’ll later have to dilute to pay this back, but hopefully at a much higher mNAV by the time the MSW resumes.
Evoから資金を借りてビットコインを買い、その間は希薄化せずに1株あたりのビットコイン量を増やす。もちろん後で返済のために希薄化は避けられないけど、その頃にはもっと高いmNAVになっているはずだ。
They could modify the MSW plan so that it isn’t based on a 3 day average that gets telegraphed to the shorts, which then allows them to front run the Evo dilution plan.
MSW計画を見直して、空売り筋に先読みされる3日平均の仕組みをやめる。そうすればEvoの希薄化計画をフロントランされない。
They could get preferreds to market as soon as humanly possible to buy bitcoin without further dilution.
できるだけ早く優先株を市場に出して、追加の希薄化なしでビットコインを買う。
They could sell CSPs on bitcoin and use those proceeds to either reduce debt or buy more bitcoin if the preferreds haven’t been started yet.
ビットコインでCSP(カバード・ショート・ポジション)を売って、その収益で借金を減らすか、あるいは優先株がまだ始まっていなければビットコインをさらに買う。
The downward trajectory of Metaplanet’s stock is primarily driven by ongoing dilution. It is Metaplanet itself that holds the power to halt this decline. However, since the company’s only source of revenue—aside from a potential increase in Bitcoin’s value—is through issuing new shares, dilution is likely to continue. Only a sharp rise in Bitcoin could lead to a recovery in the stock price. Conversely, any consolidation or drop in Bitcoin’s value would likely result in significant losses for the stock.
メタプラネット株の下落基調は主に継続的な希薄化が原因だ。これを止められるのは会社自身しかいない。ただし、同社の収益源は(ビットコインの価値上昇を除けば)新株発行しかないから、希薄化は続くだろう。株価の回復はビットコインの急騰だけが頼みの綱だ。逆にビットコインが停滞または下落すれば、大きな損失につながる可能性が高い。
Once I read they sold shares with an over 10% discount I exited. It’s a dealbreaker for me. This is unfair for the existing shareholders.
10%以上のディスカウントで株を売ったと知った時点で撤退した。自分にとっては致命的な条件だ。既存株主にとって不公平だ。
I’ve lost a lot of money, unfortunately. Technically, it’s not lost until I sell, but I’m very much negative at the moment, and very much concerned about the future of this company.
残念ながら大きな損失を抱えている。厳密には売るまで確定ではないけど、今はかなりの含み損で、この会社の将来にとても不安を感じている。
Metaplanet is definitely at a very Bad Spot with a mNav of 1.3 or so. It can even go sub 1.
メタプラネットはいまmNAVが1.3程度で、かなり悪い状況だ。1を割る可能性さえある。
It feels like institutions are shorting the hell out of this stock so they can cover them at the lower price from paper handed retailers. There will come a time for a huge short squeeze so I will HODL💪
機関投資家がこの株を徹底的に空売りして、個人投資家から安値で買い戻そうとしている感じだな。いつか大規模なショートスクイーズが来ると信じてHOLDする💪
補足用語解説(Redditコメントに出てきた言葉)
- クワイエットピリオド
会社が増資や証券発行を行う際に、情報発信を制限される静かな期間。 - Strive(ASST)
アメリカの資産運用会社 Strive Asset Management のことを指していると思われます。ASST は同社のETF(上場投資信託)のティッカー。文脈では「Striveが過去に大幅なディスカウント増資をした例」として引き合いに出されています。 - Evo
メタプラネットが資金調達で関わっている金融機関やファンド(おそらく Evolution Partners などの略称)のこと。Evoから資金を借り入れ、それを元手にビットコインを買うスキームが議論されています。 - フロントラン(Front-run)
本来の意味は「他人の注文を先回りして取引すること」。ここでは「MSW計画(新株発行スキーム)の3日平均価格が事前に読まれて、空売り勢に先回りされる」というニュアンスで使われています。 - CSP(カバード・ショート・ポジション / Covered Short Position)
正確には「カバード・ショート・ポジション」という金融用語は一般的ではなく、文脈的に「カバード・ショート戦略(オプション取引に近い手法)」を指していると考えられます。
要するに「ビットコインを担保に空売り(あるいはオプション売り)を行い、その収益で資金を確保する」という戦略のことです。 - ショートスクイーズ(Short Squeeze)
空売り(株価が下がると利益が出る取引)をしていた投資家が、株価上昇で損失を防ぐために一斉に買い戻す現象。買い戻しが買いを呼び、株価が急騰するスパイラルになります。Redditなどではよく「いつかショートスクイーズが起きる」と語られます。
考察と分析|メタプラネット急落が示すリスクと教訓
1. 「ビットコイン連動株」の二面性
メタプラネットは「日本版マイクロストラテジー」とも呼ばれ、暗号資産を直接保有できない投資家にとっての代替手段として人気を集めました。
しかし今回のように、株価は ビットコインの値動き+企業の資金調達戦略(増資) によって二重に振り回されることが明らかになりました。つまり、単純なビットコイン価格以上にリスクが大きいのです。
2. 増資依存型ビジネスの限界
ビットコインを購入するために新株を発行し続ける手法は、短期的には「保有BTC量の増加 → 理論価値(mNAV)の上昇 → 株価の上昇期待」というサイクルを生みます。
しかし繰り返せば繰り返すほど 既存株主の価値が希薄化 し、最終的に株価を押し下げる要因となります。今回の70%下落は、この構造的なリスクが現実化したものと言えます。
3. 投資家心理と「お祭り相場」の反動
6月の急騰局面では「日本発のビットコイントレジャリー企業」という話題性で個人投資家が殺到しました。しかしブーム的に上がった株価は、材料が途切れると一気に反転します。
これは典型的な「お祭り銘柄」の動きであり、短期の熱狂に飛びつくことがいかに危ういかを示しています。
4. 歴史が繰り返すバブルの構造
今回の現象は新しいように見えて、過去の投機的バブルと多くの共通点を持っています。
- チューリップバブル(17世紀オランダ)
- 南海泡沫事件(18世紀イギリス)
- ITバブル(2000年代初頭)
いずれも「実態価値を大きく上回る期待で資金が流入 → バブル化 → 崩壊」という同じパターンをたどりました。メタプラネット株の急騰と急落も、この典型に重なります。
5. mNAVと今後の見通し
現在の株価は「mNAV(会社の理論価値)=1倍」に近づきつつあり、ここからさらに大暴落するシナリオはやや限定的とも考えられます。株価が理論値に収束したことで、過剰な割高感は薄れつつあるためです。
一方で、メタプラネットの株価は最終的にはビットコイン価格に強く依存しています。もしビットコインが急落すれば、mNAVそのものが下がり、株価も再び下落する可能性があります。
6. ビットコイン自体の長期的可能性
公平に見れば、ビットコインは過去10年以上の歴史の中で価格を大きく上昇させてきました。世界的な需要拡大や金融システムへの組み込みが進めば、長期的には価格がさらに上がる可能性もあります。
ただし、その道のりは決して一本調子ではなく、何度も暴落と回復を繰り返してきました。投資家は「長期的な成長性」と「短期的な暴落リスク」の両方を冷静に受け止める必要があります。
初心者投資家への教訓
メタプラネット株の急落は、「暗号資産を保有する企業株に投資する」という新しいスタイルが持つ魅力と同時に、増資依存・需給崩壊・ビットコイン連動リスク という脆さをも浮き彫りにしました。
mNAVに近づいたことで一定の下支えは意識されますが、最終的にはビットコインの行方に強く左右されることに変わりはありません。
投資初心者にとって大切なのは、
- ブームに乗って飛びつかないこと
- 企業の収益構造や株式の仕組みを理解すること
- 「値動きの大きさ=儲けやすさ」ではなく「リスクの裏返し」と考えること
今回のケースを「バブルの構造」と重ね合わせながら学ぶことが、同じ過ちを繰り返さないための最大の教訓となるでしょう。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。
本記事は投資助言ではなく、情報提供・啓蒙を目的としています。投資判断はご自身の責任でお願いします。
資産形成を始めるための準備
今回のようなお祭り的な相場に振り回されないためには、基礎からの学びが欠かせません。
もしこれから投資を始めるなら、まずは以下のような本で土台を固めておくことをおすすめします。
『お金の大学』(両学長 リベ大)
投資初心者に最もおすすめされる入門書の一つ。お金の「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」という5つの力を、イラストや図解を交えて分かりやすく解説しています。難しい専門用語を使わず、実生活に直結する内容が多いため、投資未経験の人でもスラスラ読み進められるのが特徴です。
『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス)
投資の世界的名著で、機関投資家からも長年読み継がれている1冊。「短期売買で勝ち続けるのは難しい」「長期的に勝つにはインデックス投資が有効」というメッセージを、豊富なデータと事例をもとに伝えています。投資で失敗しやすいパターンを理解できるため、「なぜ市場に振り回されない投資が大切なのか」を学ぶのに最適です。
『ウォール街のランダム・ウォーカー』(バートン・マルキール)
「効率的市場仮説」を一般向けに分かりやすく紹介した名著。株価はランダムに動くため、専門家でさえ市場を安定的に打ち負かすのは難しい、という視点を提示しています。そのうえで、長期・分散・低コストのインデックス投資の有効性を解説。市場の仕組みや投資理論を体系的に学びたい人におすすめです。
DMM.com証券
DMM.com証券は、初心者から経験者まで幅広い投資家に利用されている大手ネット証券です。
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特に「まずは株式投資を低コストで始めてみたい」という初心者にとって、入り口として最適な証券口座のひとつです。
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参考リンク一覧
- JinaCoin|メタプラネット株価が70%下落──mNAVが示す下落要因と今後の展望
- Crypto Times|メタプラネット株が続落、600円割れ目前に
- Crypto Times|メタプラネット株がストップ高、前日比16%上昇
- CoinDesk Japan|メタプラネット、約2,041億円の増資を発表 調達資金でビットコイン購入へ
- COKI|株主阿鼻叫喚、メタプラネットの公募増資で株価急落
- Reddit|Metaplanet continues to fall, I hope after a while it will stop.
- Reddit|How could Metaplanet stop the bleeding?