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ロイター通信などによると、日本の石破茂首相が与党・自民党の選挙での不振を受けて辞任を表明したことを受け、次期総裁を決める選挙が 2025年10月4日 に実施される予定です。総裁選は国会議員と全国の党員による投票で行われ、事実上、次の首相を選ぶ重要な局面となります。
最初に立候補を表明したのは茂木敏充氏(元外務大臣)で、党再建を掲げ、日本銀行の金融政策の段階的な正常化を支持するほか、地方自治体を支援する基金創設や、企業の内部留保を投資へ振り向ける施策などを打ち出しています。
その後、小林鷹之氏(前経済安全保障担当大臣)も立候補を表明しました。小林氏は現役世代への負担軽減として一時的な減税を訴えるとともに、移民規制や外国資本による企業・土地買収への制限を強化する方針を示しています。
このほか、林芳正前外相や小泉進次郎農相、高市早苗経済安保相らの立候補も取り沙汰されており、総裁選は多様な政策課題をめぐって激しい争いとなる見通しです。
補足説明
今回取り上げているのは「自民党総裁選」です。自民党(自由民主党)は戦後ほとんどの期間、日本の与党として政権を担ってきた最大与党です。その党首=総裁に選ばれた人物は、ほぼ自動的に内閣総理大臣となる仕組みになっています。つまり「自民党総裁選=次の首相を決める選挙」と言えます。
投票は国会議員(衆参両院の自民党所属議員)と、全国の自民党員・党友によって行われます。議員票と党員票を合わせて過半数を獲得した人が総裁=首相となります。
候補者プロフィールと主な政策
茂木敏充(もてぎ としみつ)
- 経歴:元外務大臣、元経済産業大臣。自民党幹事長も務めた党内実力者。ハーバード大ケネディスクール出身。
- 主張・政策:
- 日本銀行の金融緩和を段階的に正常化
- 地方自治体を支援するための新基金の設立
- 企業の内部留保を減らし、投資や賃上げを促進
- 「創立以来の危機にある自民党を立て直す」と強調
小林鷹之(こばやし たかゆき・通称コバホーク)
- 経歴:元経済安全保障担当大臣。防衛・外交、安全保障分野を中心に活動。
- 主張・政策:
- 一時的な定率減税で現役世代の家計負担を軽減
- 移民規制の強化
- 外国資本による企業・土地買収の制限
- 経済安保分野で「日本の主権と独立性確保」を最重視
- 最近の発言として、無秩序な太陽光発電の拡大には反対し、「推進一辺倒ではなく見直しが必要」と主張
林芳正(はやし よしまさ)
- 経歴:元外務大臣、元防衛大臣。農林水産や文部科学省でも閣僚を経験。
- 現在の立場:岸田内閣、続く石破内閣で 2期連続の官房長官 を務めており、政権の要として安定感を発揮している。
- 主張・政策:穏健な外交姿勢と調整型の政治手腕で「安定候補」とみられているが、総裁選に向けた具体的公約はこれからとされる。
小泉進次郎(こいずみ しんじろう)
- 経歴:農林水産大臣。父は小泉純一郎元首相。若手のホープとして国民的知名度が高い。
- 主張・政策:
- 環境政策への積極的な取り組み
- 同性婚や結婚後の選択的夫婦別姓に賛成
- 発信力が強く、若い層や都市部で人気
- 直近の話題として、「令和のコメ騒動」(コメの価格下落と需給問題をめぐる農政対応)で発言や姿勢が注目を集め、評価と批判が交錯している
高市早苗(たかいち さなえ)
- 経歴:経済安全保障担当大臣、総務大臣などを歴任。
- 主張・政策:
- 憲法改正に積極的
- 靖国神社参拝を公言するなど保守色が強い
- 同性婚や夫婦別姓に否定的
- 安全保障政策ではタカ派的立場
- 経済政策では積極財政派であり、大規模な財政出動や公共投資に前向き
- 2024年の総裁選では石破茂氏と最後まで争い、決選投票で敗北した
海外の反応
河野はいないの? じゃあ結局いつも通りってことだな。
高市以外なら誰でもいい!
なんで? どっちについてもあんまり詳しくないんだよね。
高市は右寄りすぎる。靖国神社に参拝して、ナショナリストの主張を繰り返してる。参政党に票を奪われるのを本気で恐れてるなら彼女を選ぶかもしれない。でも、公明党の高齢で宗教的な支持層は高市も参政党も嫌ってるし、参政党はむしろ若者寄りだから自民党の保守的なコア層を遠ざける。日本でここまで右寄りのリーダーになるのは久しぶりだと思う。
小泉はフラットボーイ(大学サークルノリ)って感じで、頭が切れるわけじゃないけどカリスマ性はあって、自民党の支持層にはそれなりに人気がある。基本的には現状維持路線だろうね。良し悪しあるけど、参政党みたいな新しい極右政党を支持してない限り、小泉の方がマシだと思う。
ありがとう 👍🏼
初の女性首相というのは歴史的だけど、高市がその「適任の女性」かというと違うと思う(右寄りすぎるからね)。小泉でも悪くはないけど、もっと良い選択肢もあるはず。
誰が選ばれるにせよ、権力維持のために右派ポピュリズムに迎合するのは日本が最も避けるべきことだよ。中道に立って協力し合うのが一番で、そうしないと日本もどんどん分断だらけの惨状に陥るだろう。
海外の反応の続きはnoteで読むことが出来ます。
高市氏への評価の落差
日本国内において、高市早苗氏は保守層を中心に一定の支持を集めています。憲法改正への積極姿勢や安全保障におけるタカ派的スタンスは、長年の自民党支持層や保守的な有権者に響いており、「初の女性首相候補」としての注目度も高まっています。世論調査でも「次の首相にふさわしい人物」として常に上位に入り、その存在感は大きなものとなっています。
一方、Redditのような海外SNS空間では、高市氏に対して否定的なコメントが目立ちます。たとえば「She’s far right」「Too conservative for Japan’s future」といった声があり、海外ユーザーの多くが彼女を「危うい右派政治家」とみなしていることが分かります。その背景にはいくつかの要因が考えられます。
1. 靖国神社参拝など象徴的な保守姿勢
高市氏は靖国神社への参拝を明言しており、国内の保守層からは「信念を貫く姿勢」と評価されています。しかし、海外では靖国は戦犯合祀をめぐる論争の象徴であり、参拝は戦争責任の正当化と受け止められやすい点が大きな反発につながっています。
2. 社会政策での保守性
同性婚や選択的夫婦別姓に否定的な立場は、欧米圏のリベラル層に強く反発されます。比較的若い層が多いRedditでは、自由主義的な価値観を前提にした議論が主流であるため、「高市=時代遅れの政治家」というイメージが広がりやすい状況です。
3. ポピュリズムとの距離感
海外ユーザーは「参政党」などの新興右派勢力との距離感にも敏感で、高市氏が保守票を取り込むために右寄りの姿勢を強めているのではないかと警戒しています。アメリカのMAGA運動や欧州の極右台頭と重ね合わせ、「日本でも同じ流れが起きるのでは」と危惧する声が目立ちます。
4. 海外と国内の視点の違い
国内での支持は「安保政策への期待」や「女性首相待望論」に基づいていますが、海外では「日本の政治が国際社会にどう映るか」が重視されます。そのため、強い保守色を持つ高市氏は「国際的イメージを損なうリスクがある人物」と見なされがちです。
5.積極財政派としての姿勢
さらに高市氏は積極財政派であり、大規模な財政出動や公共投資に前向きです。国内では生活支援につながるとして評価されやすい一方、海外からは「財政規律を軽視している」と受け取られることもあります。過度な財政拡張はインフレや金利上昇を招くリスクを伴い、イギリスで市場混乱を招いた「トラスショック」を想起させるという指摘も見られます。
内外から見た高市氏
高市氏は国内では「保守の旗手」であり「積極財政で生活を守る候補」として評価される一方、海外からは「極右的でポピュリズム的な危険人物」と映りやすい候補です。他の候補と比べても、国内人気と海外不人気の落差が最も大きい人物といえるでしょう。
もっとも、イタリアのメローニ首相が就任後に財政や外交で現実路線へ修正したように、高市氏も実際に政権を担えば積極財政から一定の修正を行う可能性があります。その意味では、現時点での海外からの警戒感と、実際の政権運営における姿勢には差が出る余地があると考えられます。
『日本を守る 強く豊かに』 高市早苗 著
2024年刊行。日本の安全保障・経済政策を一体として考え、「強さ」と「豊かさ」をどう両立させるかを論じた一冊です。防衛力強化やエネルギー政策の見直しなど、現実的な課題に踏み込んでおり、総裁選候補としての高市氏の思想を理解するうえで欠かせない内容となっています。
『日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律』 高市早苗 著
2024年刊行。経済安全保障担当大臣としての知見をもとに、日本が直面するサプライチェーンリスクや技術覇権争いへの対応を詳しく解説。外交・経済・防衛を横断的に扱い、「国家と国民をどう守るか」という視点から政策を提示しています。米中対立やエネルギー問題など、国際社会の中で日本がどのような戦略を取るべきかを理解するのに役立つ一冊です。
茂木敏充氏 ― 実務型の強みと官僚泣かせの厳格さ
茂木敏充氏は、外相時代にトランプ大統領との貿易交渉を担ったことで知られ、国際舞台での交渉力には定評があります。また「一度見た資料をすべて覚えている」と言われるほどの記憶力を誇り、官僚や記者の間でも恐れられる存在です。実際、霞が関では「対茂木マニュアル」が作られるほど、細部に厳格で要求水準の高い政治家として知られています。
国内では「実務型の安定候補」として評価される一方、Redditなど海外の目線では「無難すぎるベテラン」であり、新鮮味やカリスマ性に欠ける点が弱みと見られています。
小林鷹之(コバホーク)氏 ― 右派と若手の狭間で
小林氏は経済安全保障担当大臣を務めた経験を持ち、移民規制や外国資本規制の強化を掲げるなど、政策的には高市氏に近い右派的立場を取っています。同時に若手議員として世代交代の象徴でもあり、この点では小泉進次郎氏と重なります。
つまり右派としては高市氏、若手としては小泉氏と支持層が競合する形になっており、自身の独自性をどこまで打ち出せるかが課題です。海外では「新鮮だが極右寄り」という相反する評価を受けやすく、右派票の分断要因ともなりかねません。
考察と分析|林芳正氏 ― 消去法の安定感と責任問題
林氏は岸田内閣、石破内閣で連続して官房長官を務め、外交・防衛・農政など幅広い経験を積んだ安定感のある政治家です。党内では「他候補よりは安心」という消去法的な理由で支持が集まりやすい存在といえます。
しかし、石破政権下の2025年参院選で自民党が歴史的敗北を喫した際、政権の要である官房長官として関与していたにもかかわらず、十分に責任を取ったとは言い難い面があります。海外からは「安定はするがカリスマ性を欠く候補」と受け止められやすく、大きな突破力に欠ける点が弱点です。
小泉進次郎氏 ― 人気と軽さの狭間で
小泉氏は国民的な知名度と発信力を武器にする一方、政策の軽さや「セクシー発言」などで批判を浴びやすい候補です。しかし、石破政権の終盤では菅義偉氏と共に、石破首相が解散総選挙を検討した際にこれを止めさせ、結果的に石破氏が退陣を決断する大きな要因となりました。この動きは、小泉氏が単なる「人気政治家」にとどまらず、党内権力闘争で直接的な影響力を持つ存在であることを示しています。
海外では「カリスマ性と若さは魅力的だが、中身が伴わない」との評価が根強く、Redditでも「若いリーダーが必要」と期待する声と「ネポベイビー」と揶揄する声が入り混じっています。
自民党総裁選2025 候補者比較表
| 候補者 | 国内での評価 | 海外での評価 | 強み | 課題 |
|---|---|---|---|---|
| 茂木敏充 | 実務型で安定感、交渉力に定評 | 無難すぎるベテラン、新鮮味に欠ける | 記憶力と実務力、対トランプ交渉の経験 | 柔軟さやカリスマ性に乏しい |
| 小林鷹之(コバホーク) | 若手の挑戦、安保専門家 | 「フレッシュだが極右寄り」と警戒 | 経済安保の知見、世代交代の象徴 | 高市・小泉と支持層が重なる |
| 林芳正 | 「消去法」で安心感、調整型 | 安定はするがカリスマ不足 | 官房長官経験、外交・防衛の実務力 | 参院選敗北の責任を十分に取らず |
| 小泉進次郎 | 人気と発信力、若者に浸透 | 「軽い」「ネポベイビー」と批判 | カリスマ性、政局での影響力 | 政策の実効性や経験不足 |
| 高市早苗 | 保守層の旗手、初の女性首相待望 | 極右的・ポピュリズム的と懸念 | 憲法改正や安保政策で明確な立場 | 海外評価とのギャップが最大、積極財政は市場不安も |
もっと自民党のことを知りたい方はこちら
『自民党の正体』 鈴木エイト 著
旧統一教会問題の追及で知られるジャーナリスト・鈴木エイト氏による渾身のルポ。長期政権を維持してきた自民党と宗教団体・政治団体との関係を徹底的に掘り下げ、その実態を明らかにしています。
総裁選をめぐる派閥抗争の裏側や、政治とカルトの結びつきが日本政治に及ぼす影響を知る上で重要な一冊。自民党政治の「表」と「裏」の両面を理解したい読者におすすめです。
『自民党―「一強」の実像』 中北浩爾 著
戦後日本政治を支配してきた自民党。その強さの源泉はどこにあるのか。本書では、派閥政治・選挙制度・官僚との関係など、多角的な視点から「自民党一強体制」の構造を解き明かします。
総裁選や政権運営の裏にある制度的メカニズムを理解するのに最適な入門書であり、ジャーナリスティックな告発とは異なる、学術的で冷静な分析が特徴です。自民党の実像を多面的に知りたい読者におすすめです。
まとめ
2025年の自民党総裁選は、候補者ごとに「国内の評価」と「海外からの見方」が大きく分かれる点が際立っています。
茂木氏は実務力と安定感で評価される一方、新鮮味を欠くことが課題です。
小林氏は若手らしい挑戦を掲げつつも、右派色の強さが懸念されます。
林氏は調整力と安定感で支持を集めやすいものの、党の低迷に対する責任を問われる立場でもあります。
小泉氏は国民的な人気と発信力を武器にしながらも、「軽さ」や「世襲批判」が海外評価を下げています。
そして高市氏は、国内での保守的支持と海外からの警戒の落差が最も顕著な候補です。
この総裁選は、日本がどの方向に進むのかを国内外に示す重要な選択となります。内政面では経済政策や世代交代の期待、外交面では国際社会との信頼関係が問われており、誰が新たなリーダーに選ばれるかによって、日本政治の今後のあり方が大きく左右されるでしょう。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。
参考リンク一覧
- Reuters|Japan’s Motegi says he will run in LDP leadership race (2025/09/08)
- Reuters|Japan PM hopeful Motegi endorses BOJ’s plan to gradually normalise monetary policy (2025/09/10)
- Reuters|Japan’s Koizumi, Hayashi to run for leadership of ruling party (2025/09/16)
- Tokyo Weekender|Japan’s Next Prime Minister? 2025 LDP Leadership Race Key Candidates Guide (2025/09/11)



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