
『40代政党COO 日本大改革に挑む』
藤田文武 著(ワニブックス/2023年9月刊)
ニュースとの関連
高市早苗首相の誕生によって、自民と維新の「政策協力」が現実味を帯びる中、維新側のキーパーソンとして注目を集めているのが藤田文武氏です。
本書は、その藤田氏が「政党を経営する」という新しい発想で、政治の在り方を再構築しようとする挑戦をまとめたものです。
40歳で維新の幹事長(現・共同代表)に就任した藤田氏は、ビジネス出身の政治家として、企業経営と政党運営を重ね合わせながら「日本大改革プラン」を提唱。本書は、彼の思想と手腕の原点を知る上で格好の一冊となっています。
書籍の概要
藤田氏は本書で「政党も企業と同じく、理念・戦略・実行のサイクルがなければ成長しない」と説きます。
第二創業期を迎えた日本維新の会を「経営」しながら、民間的な発想で政治を動かす手法を提示。
政治に興味のない層にも届くよう、経営や組織づくりの視点から分かりやすく書かれています。
また、巻頭では維新のビジョンを図解した12ページのグラフィックレコーディングを掲載。
「中期経営計画」や「ベーシックインカム導入構想」など、政策を“企業の事業計画”のように説明しているのも特徴です。
印象に残ったポイント
- 「政党を経営する」というコンセプトで政治を再定義
- 維新の政策運営を「日本大改革プラン」として体系化
- グラフィックレコーディングでビジョンを可視化
- 起業家から政治家への転身に込められた現場感と説得力
せかはんの考察
藤田氏の政治観は、既存の政治家像とは明らかに異なります。
「会社経営のように政党を運営する」という考え方は、閉塞した永田町に新風を吹き込む試みであり、現代的な政治マネジメント論とも言えます。
また、維新の政策形成が「民間の論理」に基づいている点も印象的です。効率化・透明化を重視する一方で、地方分権や教育支援などの社会的テーマにも踏み込む姿勢は、既存政党には見られない柔軟さを感じさせます。
今回の高市政権での“自維協力”という新しい枠組みを読み解く上でも、本書はその背景思想を知る貴重な資料です。政治を遠い存在ではなく、「経営」や「実務」として捉え直す一冊としておすすめできます。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。


