『世界史講師が語る「保守」って何?』書評と要点整理|せかはんのブックレビュー

世界史講師が語る「保守」って何? 出典:Amazon.co.jp(出版社提供画像)
出典:Amazon.co.jp(出版社提供画像)

ニュースとの関連

2025年秋、日本の政治は「保守再編」の時代に突入しました。
高市早苗首相の誕生、そして自民・維新による新たな連携、
いわゆる「自維新体制」は、戦後日本の保守政治のあり方を問い直す出来事となっています。

そんな中で改めて注目されているのが、「保守とは何か」という根源的な問いです。
本書『世界史講師が語る「保守」って何?』は、まさにそのテーマに正面から取り組む一冊。

戦後日本の政治史を踏まえつつ、世界史的な文脈から“保守思想”の本質を明快に解き明かしています。


書籍の概要

著者は駿台予備学校・ZEN Study(旧N予備校)の人気講師であり、YouTube「もぎせかチャンネル」でも知られる茂木誠氏。
本書は、「保守思想の世界史」と「戦後日本の保守政治史」という二部構成で展開されます。

前半では、イギリスのバークやドイツのヘーゲルといった思想家を軸に、ヨーロッパにおける“保守”の系譜をたどり、後半では、戦後日本における自民党政権の歩みを通して、“日本的保守”がどのように形づくられてきたかを丁寧に検証しています。

政治思想の専門書のようでいて、語り口は非常にわかりやすく、歴史や社会の流れを整理しながら「なぜ今、保守が問われるのか」を理解できる内容です。


印象に残ったポイント

特に印象的なのは、「日本近代の復古と保守」という章。
西欧の思想を取り入れつつ、明治維新を通じて日本独自の近代国家を築いた経緯を「復古と革新の両立」として読み解く視点は、現代の日本政治にも通じるテーマです。

また、戦後の保守政治史では、吉田茂・岸信介・中曽根康弘といった歴代首相の思想的立場を“保守の系譜”として分析しており、単なる政治史ではなく「思想の流れとしての戦後史」として読むことができます。

Amazonレビューでも「現代の日本人に必要な教養が詰まっている」「保守とは何かを再認識させてくれる」と高く評価されており、学生から社会人まで幅広くおすすめできる内容です。


せかはんの考察

近年の日本政治では、「保守」「リベラル」という言葉があまりにも表層的に使われがちです。
しかし、本書が示すように“保守”とは、単に現状維持を意味するものではなく、「伝統を守りながら変化に対応する柔軟さ」のこと。

高市政権下での「保守再編」も、その本質を問う出来事として位置づけられるでしょう。
茂木氏の解説を通じて、私たちは「保守」という言葉の奥にある哲学と歴史を改めて考えることができます。

政治を学ぶ第一歩としてだけでなく、“時代をどう生きるか”を考えるヒントにもなる一冊です。


それではまた、次回の記事でお会いしましょう。

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