
『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』
高市早苗 編著(産経新聞出版/2024年8月刊)
ニュースとの関連
高市早苗首相が就任し、日本初の女性リーダーによる新政権が発足しました。本書は、その高市氏が政治家として長年掲げてきた「強く、豊かな日本」へのビジョンを体系的にまとめた一冊です。外交、防衛、経済、安全保障といった政策の基盤がここにあり、今回の高市内閣が掲げる「国力強化」の理念を理解する上でも重要な資料となります。
特に注目すべきは、本書が単なる個人の主張ではなく、元大使や安全保障専門家、経済学者など10名の専門家との質疑応答を通じて構成されている点です。実際の政策議論の土台となる内容が多く、高市政権の方向性を読み解く鍵となります。
書籍の概要
「国の力をどう取り戻すか」をテーマに、外交力・情報力・防衛力・経済力・技術力・宇宙政策という6つの柱から日本の進むべき道を描く政策論集。
前駐中国大使・垂秀夫氏、元国家安全保障局次長・兼原信克氏、経済学者・若田部昌澄氏らが登場し、現実的な安全保障と経済戦略を語ります。
また、高市首相自身が書き下ろした「総合的な国力強化の方向性」や「宇宙政策論」では、次世代に向けた産業育成・人材育成へのビジョンが語られており、政治家としての国家観を最も端的に示す内容となっています。
印象に残ったポイント
- 外交・情報・防衛・経済・技術を「国力の五本柱」として統合的に描いている
- 「スパイ防止法」「宇宙産業」「防衛装備輸出」など、今後の政策に直結するテーマを扱う
- 一方的な主張ではなく、専門家とのリアルな質疑応答が収録されている
- 高市氏自身による「人材力の強化」論が、教育政策の基盤にもつながる
せかはんの考察
本書を読むと、高市氏が単に「保守政治家」という枠に収まらないことがよく分かります。外交や安全保障を語る一方で、経済・技術・宇宙といった分野を「国力」という軸で横断的に結びつけている点が特徴的です。今回の内閣構想における経済安全保障や宇宙開発重視の姿勢も、この思想の延長線上にあると見られます。
「防衛」や「自立」という言葉が強調されがちですが、本書の本質はむしろ「人材力」や「科学技術の社会実装」にあります。経済成長と安全保障を両輪で回すために、教育・研究・民間投資の連携を訴える高市氏の姿勢は、これまでの政治家とは一線を画しています。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。


