『マルチクラウドセキュリティの教科書』書評と要点整理|せかはんのブックレビュー

マルチクラウドセキュリティの教科書 出典:Amazon.co.jp(出版社提供画像)
出典:Amazon.co.jp(出版社提供画像)

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世界的なクラウド障害が相次ぐなか、「複数のクラウドをどう安全に運用するか」という課題が注目されています。 『マルチクラウドセキュリティの教科書』は、AWS・Azure・Google Cloud・OCIといった主要クラウドを横断し、セキュリティ設計の原則から実践までを体系的に解説する、今の時代に欠かせない一冊です。


書籍の概要

著:大島悠司/垣見宥太/金光高宏/蒲晃平/工藤匡浩/小西陽平/白濱亮 ほか(翔泳社、2025年9月刊)

本書は、クラウド時代のセキュリティ設計を「単一ベンダー依存からの脱却」という観点で整理した専門書です。 AWS、Azure、Google Cloud、OCIといった4大クラウドを対象に、セキュリティの基本原則から、ゼロトラストモデル、アクセス管理(IAM)、データ保護、ネットワーク設計、運用監査までを幅広くカバーしています。

さらに、生成AIの利用に伴う新たなセキュリティリスクにも触れ、AIガードレール設計や最新の脅威動向にも対応。クラウド横断でセキュリティを考えるすべてのエンジニアにとって、実務と理論の両面を補完できる内容です。


印象に残ったポイント

本書の特徴は、単なる“設定ガイド”に留まらず、クラウドごとの「設計思想の違い」まで踏み込んで比較している点です。 たとえばGCPのIAM設計思想やOCIのテナント分離など、各サービスが採用するセキュリティの考え方を背景から整理し、「なぜこの仕組みが必要なのか」を理解できるよう構成されています。

レビューでは「セキュリティ設計の前提が整理され、視界がクリアになった」「思想の違いまで言語化されていて納得感がある」といった声があり、特定クラウド経験者の再学習にも最適です。 ゼロトラストや多層防御、コンプライアンス対応などの重要トピックも具体例と共に解説されています。


せかはんの考察

クラウド障害のたびに浮き彫りになるのは、「一社依存の脆さ」と「複雑化するセキュリティ対策」です。 この書籍は、その両方に向き合うための“新しいクラウド時代の安全保障論”と言えるでしょう。 AWSを中心にしてきた企業が、マルチクラウドへ踏み出す際の設計指針としても非常に有用です。

セキュリティエンジニアはもちろん、経営層やIT企画部門にも読んでほしい一冊です。 「セキュリティをどう守るか」だけでなく、「どう設計し、どう考えるか」を学べます。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。


書籍情報:
『マルチクラウドセキュリティの教科書 クラウド横断で実現する堅牢なセキュリティ基盤』
著:大島悠司・垣見宥太・金光高宏・蒲晃平・工藤匡浩・小西陽平・白濱亮 ほか
出版社:翔泳社(2025年9月16日発売)
ページ数:544ページ/定価:3,960円(税込)

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