日銀ETF売却とバフェットのBYD撤退|日本市場と世界投資の転換点

ニュース①|日銀、ETF売却を発表

日本銀行(BOJ)は2025年9月19日、これまでに金融緩和の象徴とされてきたETF(上場投資信託)の保有を縮小する計画を正式に発表しました。保有残高は約37兆円(約2,500億ドル)に達しており、数十年にわたる緩和政策からの転換を意味する重要な一歩とみられています。

今回の政策決定では、短期金利を現行の0.5%に据え置く一方で、ETF売却を開始することを明確にしました。売却ペースは年間約6,200億円(市場価値ベースで約42億ドル相当)、帳簿価値ベースでは約3,300億円とされ、市場全体の日々の取引量の0.05%未満にとどまる規模で進められる予定です。これにより急激なショックを避けつつ、段階的に保有を減らしていく狙いがあるとみられます。

発表直後、日経225は一時2%近く下落しましたが、その後持ち直し終値は約0.6%安で取引を終えました。為替市場では円が対ドルで急騰し、一時1ドル=147.20円まで円高が進みました。植田和男総裁は、「保有をただ凍結するわけにはいかない」と強調し、現在の売却ペースを維持すれば「解消には100年単位の年月が必要になる」と述べ、市場への影響を抑えながらも正常化に踏み出す姿勢を示しました。


ニュース②|バフェット、BYD株から完全撤退

米著名投資家ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、長年保有してきた中国の電気自動車大手 BYD(比亜迪) の株式をすべて売却したことを明らかにしました。9月22日に香港証券取引所に提出された公開書類によれば、バークシャーは2008年に約2億3,000万ドルを投じてBYD株2億2,500万株を取得し、当時で約10%の持分を保有していました。

その後、BYD株は20倍以上に値上がりしましたが、バークシャーは2022年から段階的に売却を開始し、2025年3月末の四半期報告ではすでに保有株式の価値を「ゼロ」と記載。今回の完全撤退は、17年間続いた投資の幕引きを意味します。報道直後、BYDの香港市場での株価は一時3.4%下落しました。BYDは声明で「バークシャーの長年の支援に感謝する」と述べ、今回の売却は通常の株式取引の一環と説明しました。


出典:
Wealthari Bank of Japan Announces Plans to Sell Massive ETF Holdings
Reuters Warren Buffett’s Berkshire Hathaway exits China’s BYD, filing shows


補足説明|日銀のETF売却とバフェットの動きを理解するために

なぜ日銀は長期にわたり異次元緩和を続けてきたのか

日本は1990年代のバブル崩壊以降、デフレ(物価下落)と低成長に長く苦しんできました。物価が下がると「将来の方が安く買える」と考え、人々や企業が消費や投資を控えるため、景気はさらに停滞します。この悪循環を断ち切るため、2013年に黒田東彦総裁が導入したのが「異次元緩和」です。日銀は国債だけでなくETF(株価指数に連動する投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)といったリスク資産まで大量に買い入れ、市場に資金を供給しました。目標は物価上昇率を2%に安定させることでした。

結果として日銀は日本株市場の“最大株主”の一角となり、ETF保有残高は約37兆円に達しました。ただし、

  • 株価指数連動銘柄への資金集中による市場の歪み
  • 日銀が大株主化することによる企業統治への影響
  • 売却時の市場混乱リスク(出口戦略の難しさ)
    といった副作用も積み重なりました。

今回の決定の位置づけ

2024年には約20年ぶりに利上げを実施し、2025年も短期金利を0.5%に据え置きながら、日銀は「超緩和からの正常化」へと舵を切りつつあります。今回のETF売却開始はその一環であり、バランスシートを少しずつ縮小していく意思を示すものです。ただし、売却ペースは緩やかで、すべてを処分し終えるには100年近くかかる計算とされています。保有の多くはTOPIX連動型ETFが占めています。

バフェットのBYD売却と日本株投資

一方、海外の長期投資家であるウォーレン・バフェットは、中国EV大手BYD株から完全撤退しました。2008年以来の投資で大きな利益を得たうえでの判断であり、地政学リスクや市場の割高感を背景に資産の組み換えを進めています。そして同時に、伊藤忠商事や三菱商事など日本の大手商社株を積極的に買い増しており、日本市場への長期投資姿勢を鮮明にしています。


日銀のETF売却に対する海外の反応

ほとんど問題にならない。5370億ドルを年間42億ドルのペースで売るだけで、日々の取引量の0.05%にも満たない。
恐ろしいのは、過去15年間で日経225の時価総額の約10%を買い集めて、必死に円を経済に注入しようとしていたことだ。


大量購入から今度は売却に転じたなら、たとえ微々たる売却でも供給ショックや流動性不足につながるんじゃないか?それって“問題なし”どころか逆だろ?


もし15年間で市場の50%を買ったなら年間3%分、時価総額5.5兆ドルだから年平均1650億ドルの計算になる。…GPTによれば年間3300億円で、ユーロ換算なら19億に過ぎない。


“大したことない”なんて言う人もいるけど、3%以上取り除くってのは十分重大じゃないか。俺は金融専門家じゃないけど。


3%の持分取得が今の3%の価値上昇と同じ意味なのかも理解できてない。まずは酒が抜けないと頭が回らん。


市場が上がってきたことを考慮してないよ。日経指数は過去15年で約5倍になった。


1985年以来で見れば上昇は250%程度にすぎない。今年やっと1990年のピークを回復したばかりだ。


え、株式市場の半分が事実上“作られた”ものだったのか。古い資産家や年金を支えるためで、そのツケは長時間働く日本国民に回ってきただけ。もし他国が自分たちの市場を組織的に空売りしてFRBに株式の半分を買わせてたら、それは戦争行為とみなすだろう。


つまり日銀の量的引き締め(QT)ってことだろ。これって円高と日経ETF価格の下落を招かないか?


自分も同じ結論に至った。資産の30%を円で持ってるから、やっと少しずつ戻ってきて嬉しいよ(笑)


QTは金利に比べて為替に効くまで時間がかかる。だから円がすぐに急騰することはない。昨年の利上げみたいにVIX(恐怖指数)が一晩で100近くまで跳ね上がるなんてことは、今回は期待できない。


売り終えるのに1世紀。これが途中で変わらない保証はゼロじゃないけどね。


国内株が中心なら、大半の投資家にとってはあまり意味がないんじゃないか。


ウォーレン・バフェットがヨダレ垂らしてるだろうな。


日銀が何兆円ものETFを処分しようとしてる?自国市場を崩壊させずに買い手を見つけるなんて無理ゲー。すぐに大混乱になりかねない。


紙幣を刷って民間を買い占め?マルクスなら拍手喝采するだろう。


つまり1989年の水準を超えるまで市場を膨らませて、また崩壊させるってことか?


逆に日経は上がるんじゃないかと思うけどね。


バフェットのBYD株売却に対する海外の反応


中国株はダメなのか、それともEVがダメなのか?ふむ。


自分も9か月前にBYD株を手仕舞ったよ。…自動車業界はとにかく競争が激しい。ちょっとした優位性なんてすぐ消えてしまうんだ。テスラとBYDも価格競争に突入して利益率を削っているし、政府の補助金も縮小されて需要が減りつつある。要するに業界全体が過酷な環境にあるんだ。


いや、おそらく地政学的リスクだよ。つまり米中関係の悪化だ。チャーリー・マンガーも数年前にアリババから撤退したしね。


それにバフェットは台湾セミコンダクターも地政学的リスクを理由に売却している。


その通り。地政学リスクは深刻だ。正直、Redditの人たちがあまりその点を考慮していないのは驚きだよ。


EVだと思うな。内燃機関車を全面的に置き換えるだけのインフラなんて整っていないと思う。


おそらく自動車産業の景気後退が始まる前に利益確定をしておきたいんだろう。


面白いな。バフェットはこれまでBYDを評価していたのに、なぜ撤退したんだろう?… とはいえ、バフェットが判断を誤ることもある。


彼らは前から「自動車戦争でどの企業が勝ち残るかは予測できない」と言っていた。そもそもBYD投資を強く推したのはチャーリーで、王伝福(BYD創業者)の技術者としての才能を評価したからであって、自動車事業そのものを支持したわけじゃないんだ。


自分はBYDが生き残るのは確実だと思ってる。トップにはならなくてもね。


そうだが、成熟した自動車メーカーってどのくらい収益性があるんだ?長期的な成長余地は本当にあるのか?


会社に賭けるんじゃなく、経営者に賭けるんだよ。…創業者が変わっていないのに、なぜバフェットが急に怖気づいて撤退したのか理解できない。


BYDの車が「市販車として世界最速」と記録されて、ブガッティを抜いたばかりだぞ。


バークシャーがBYDに投資した当時、同社は小型電池を作ったりノキアの組み立てをしたりしていた。自動車は次の大きな成長分野だったが、それがすでに巨大化してしまった。これ以上の伸びしろはあまり残っていない。


中国国外の投資家は、中国EV市場の競争の激しさや消費者心理を完全に過小評価している。自分にとっては長期的にリスクが大きすぎる投資だ。


戦いが迫っている。人々は陣営を選び始めている。あのレイ・ダリオでさえ中国株を売って米国一辺倒になっているんだ。


BYD株は2008年にバフェットが買ってから3900%も上昇した。そして彼が22年に売り始めてから株価は70%下落した。予想外の出来事や乱高下に耐える理由はない。自分は今でもBYDがEV市場で最高の選択肢だと思うが、39倍の上昇と60%の急落を経験したウォーレンおじさんにはもう十分だろう。


70%の下落なんてなかったぞ。株式分割があったのを知らないのか?


みんなデタラメを繰り返すのが好きだな。仮に22年に売り始めたとしても、今の株価はその頃と同じくらいだ。むしろ今年付けた最高値から30%下がった程度だよ。実際にはバフェットが売った時期より高い水準が長く続いた。TSMCを地政学リスクで売ったことも思い出すべきだな。その結果を見てみろ。


兆候は出ていた。BYDは大きく値上がりしたが、補助金や支援を差し引けば本来のファンダメンタルズは大きく変わる。地政学リスクの悪化や消費減退の可能性を投資判断に組み込んでいるバークシャーにとって、今後数か月の買いは割に合わないと考えたのだろう。


BYDをめぐる「0km中古車」の話(ほぼ新車なのに中古として流通している件)が関係あるのかな?


彼らはアップル株もかなり売却している(まだ一部は保有しているが)。バフェット指数はしばらく前から市場過熱を示していたし、ボラティリティの大きいハイテク株を削るのは理にかなっている。


どこかの時点で利益を確定させなきゃならない。BYDには2008年か2009年から投資してるんだろ?おそらく30~50倍にはなってる。これ以上儲かるかどうかなんて気にしていない。彼らは完璧な価格で売ることなんてしないし、その必要もない。長期で株を保有するからこそだ。


自分の理解では、株価が上がりすぎてポートフォリオ全体に占める割合が大きくなりすぎたら、その時点で削るってことだ。


彼らはすべて売ったんだ。


日銀のETF売却とバフェットのBYD撤退は、一見別々の出来事のように見えますが、どちらも「長年市場を支えてきた存在が資産を縮小・再配分する局面」に入ったことを示しています。日銀は「公的資金による株価下支え」からの脱却を始め、バフェットは「中国リスクからの撤退」と「日本市場へのシフト」を進めています。

市場参加者の反応には不安もあれば楽観もありますが、共通しているのは「これまでの常識が通用しなくなる転換点にある」という認識です。今後の日本市場は、海外投資家にとってますます注目の舞台となりそうです。


考察と分析|日銀ETF売却の意味と国際的文脈

株式市場の反応と日経平均の動き

今回の発表を受け、日経平均株価は一時2%近く下落しました。直前まで高値を更新していた市場にとって「日銀が最大の株主から売り手に転じる」というニュースは心理的インパクトが大きかったといえます。ただし、終値では下げ幅は0.6%程度にとどまり、年間売却額が日々の取引量の0.05%未満という規模感が、パニック的な売りを防いだと考えられます。

為替市場の動向

為替市場では円が一時147円台前半まで上昇しました。量的引き締め(QT)というメッセージが円買いを誘った格好ですが、米国との金利差は依然として大きく、円高が持続するかは不透明です。短期的には市場心理による上下動が主導し、中長期的なトレンド転換に至るかは慎重に見極める必要があります。

日銀の狙いと限界

植田総裁が述べたように、今回のペースでは「売り切るのに100年かかる」計算です。実質的な効果は限定的で、象徴的な意味合いが強いといえます。長年にわたりデフレ対策としてETF買い入れは市場安定に寄与しましたが、同時に「市場の歪み」「企業統治への懸念」「出口戦略の困難さ」といった副作用も積み重なってきました。今回の売却は、そうした副作用を整理する第一歩であり、「異次元緩和から正常化への転換」を国内外に示すことに重点が置かれています。

バフェットの動きと海外投資家の視線

象徴的なのは、米著名投資家ウォーレン・バフェットが中国EV大手BYD株を完全に売却した一方で、日本の大手商社株を積極的に買い増していることです。BYD投資は17年間で数十倍のリターンを生んだ成功例でしたが、地政学リスクや市場の競争激化を背景に手仕舞いを選びました。その資金の一部を日本市場に振り向けている点は、海外投資家が「中国から日本へ」と投資軸を移す流れを象徴しています。

日銀が“最大の買い手”としての存在感を弱めることで、市場はより本来の需給バランスに委ねられ、相対的に海外資本の影響力が増すと考えられます。バフェットの動きは、この変化を先取りする動きとも位置づけられ、日本市場にとって重要なシグナルとなっています。


総括|日銀ETF売却とバフェットの動きが示す日本市場の未来

日銀のETF売却は、短期的には市場に揺さぶりをかける要因となり得ます。しかし、その本質は「日本市場を本来の自律的な価格形成に戻す」方向への第一歩であり、長期的には健全化のサインとも受け止められます。

同時に、バフェットによるBYD株からの撤退と日本株へのシフトは、海外投資家の関心がどこに向かいつつあるのかを示しています。世界的な資金の流れが「中国から日本へ」と動き始める中で、日銀の政策変更はそうした潮流を後押しする要素にもなり得ます。

ただし、日本株が安定的に「選ばれる市場」となり続けるには、金融政策だけでは不十分です。規制緩和や税制改革、人口減少という根本的な課題への対応が不可欠であり、これらが前進するか否かが、今後の持続的な成長を左右することになるでしょう。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。



おすすめ書籍


『ゼロ金利との闘い 日銀の金融政策を総括する』 植田和男

現・日銀総裁の植田和男氏による、長期にわたる日本の金融政策を自ら総括した一冊です。デフレとの闘い、ゼロ金利政策、量的緩和の是非――日銀がどのように金融政策を組み立て、どのような課題に直面してきたのかを体系的に学べます。今回のETF売却発表を理解するうえで、まさに“必読”の背景知識となる本です。


『スノーボール ウォーレン・バフェット伝〈改訂新版 合本版〉』 アリス・シュローダー

世界で最も有名な投資家ウォーレン・バフェットの人生と投資哲学を克明に描いた伝記。幼少期から投資の世界に足を踏み入れ、バークシャー・ハサウェイを世界的な投資会社に育て上げた過程が詳細に記されています。BYD株への投資から日本の商社株へのシフトまで、彼の意思決定の背景を理解するのに絶好の一冊です。


参考リンク一覧

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA