ガソリン暫定税率年内廃止へ 高市政権が動かした“止まっていた改革”

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日本政府と主要野党6党は、1970年代に導入された「ガソリン暫定税率(1リットルあたり25.1円)」を年内に廃止することで正式に合意した。
この税率は当初、道路整備のための一時的な措置として導入されたが、その後も延長が続き、半世紀以上にわたって維持されてきた。

政府は、11月中に法案を国会へ提出し、年末までに施行する方針を示している。廃止によりガソリン価格は下がる見通しだが、年間約1兆円の税収減が見込まれることから、代替財源の確保が今後の焦点となる。


出典:出典:The Japan Times(2025年10月30日)
「Japan’s ruling, opposition parties agree to scrap extra gasoline tax this year」


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補足説明

「暫定」なのに50年続いた税金

ガソリンの暫定税率は1970年代のオイルショック後、「道路整備のための一時的措置」として導入されました。
しかし延長が繰り返され、実質的には恒久税化。国民の間では「暫定の名ばかり」と批判されてきました。今回の廃止は、半世紀にわたる“延長の連鎖”にようやく終止符を打つものです。

「二重課税」との批判

ガソリン価格には、揮発油税などの諸税が含まれたうえでさらに消費税が課されます。
いわば「税に税をかける構造」で、制度上は合法ながら、長年「不公平な負担」として問題視されてきました。

家計と財政のはざまで

税が下がれば、通勤や物流コストが軽減し、物価全体を押し下げる効果が期待されます。
ただし国の税収は年間で約1兆円減る見通しで、歳出削減や代替財源の確保が不可避です。
家計支援と財政健全化をどう両立させるかが次の課題となります。

脱炭素との整合性

燃料課税は、排出量に“価格”をつける意味もあり、気候政策の一部を担ってきました。
税負担を軽くすれば一時的に家計は助かりますが、化石燃料への依存を高める懸念もあります。
その分を再エネや電動化投資で補うことが、今後の政策の要となります。


海外の反応

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。


ようやくか。もともと“暫定”のはずだったのに、永遠に延長され続けてきた税金だからな。


政党間では、減収分をどう補うか議論されるそうだ。
暫定税率を廃止すれば、ガソリンだけで年間1兆円、軽油を含めれば1.5兆円の歳入減になる。
最大の課題は、安定した代替財源をどう確保するか。
無償教育計画を含めれば総額2.4兆円に膨らむ。
……で、このツケを払わされる“哀れな人たち”は誰なんだろうな?


税金を廃止するより、まず円安をどうにかしろよ……さすがにもう笑えないレベルだ。


海外の反応の続きはnoteで読むことが出来ます。


考察・分析

「決められない政治」からの転換

ガソリン暫定税率の廃止は、長年「実現不可能」とされてきた政策がようやく動き出した象徴的な例です。
この構想を最初に掲げた国民民主党は、かねてから「生活コストを下げる現実的な減税」として与党と協議を重ねてきましたが、財源の問題から実現には至りませんでした。
しかし高市政権の誕生後、物価高と実質賃金の低下が続くなかで、首相が「国民生活の防衛」を掲げ、政治判断として一気に前進しました。

二本立てで進む政策転換

政府は税率を廃止する一方で、燃料価格の高止まりに対応するため、石油元売り会社への補助金を当面継続する方針を取っています。
税制改革と価格安定策を並行して進める“二本立て”の構成により、短期的な負担緩和と中期的な制度改革を両立させる狙いです。
この補助金制度が“つなぎ”の役割を果たしたことで、政治的にも現実的にも実行可能なタイミングを作り出したといえます。

今後の課題は財源と環境政策

ただし、暫定税率の廃止によって年間1兆円規模の税収が減る見通しであり、財政の健全化との両立は避けて通れません。
さらに、燃料税には“炭素に価格をつける”という環境政策上の意義もあるため、税を軽くするなら再生エネルギー投資や電動化支援など、脱炭素の方向性を明確に示す必要があります。


総括

ガソリン暫定税率の廃止は、政治が長年先送りしてきた課題にようやく区切りをつけた出来事です。
国民民主党の提案を土台に、高市政権が実行へ踏み切ったことで、日本の政治が「決める力」を取り戻したことを示しています。

一方で、財源の確保と環境政策の整合性はこれからが本番です。
生活支援の延長線上に、持続可能な税制とエネルギー構造をどう築くか。
その方向性こそが、これからの日本経済を左右する分かれ道になるでしょう。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。



関連書籍紹介

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玉木雄一郎 著/山田厚俊 編集(河出書房新社、2025年3月10日刊)

国民民主党・玉木雄一郎代表が、自身の歩みとともに「国民の手取りを増やす政治」を掲げた理由を語る一冊です。
ガソリン暫定税率の廃止や“年収の壁”の是正など、今回の記事でも触れたような政策の背景にある思想が、本人の言葉で丁寧に記されています。
難しい財政論ではなく、「どうすれば国民の暮らしが楽になるのか」という視点から書かれており、政治を身近に感じられる内容です。
今の日本の経済や政治の流れを理解したい方に、ちょうど良い一冊です。


参考リンク

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