ネパールでZ世代主導の抗議デモ拡大 SNS禁止から首相辞任へ

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ネパールでは、政府が26のソーシャルメディア・プラットフォームを禁止したことをきっかけに、大規模な抗議活動が勃発しました。政府は「偽IDやフェイクニュース、差別的発言の拡散を防ぐため」と説明しましたが、多くの若者はこれを言論の自由の侵害だと受け止め、首都カトマンズを中心に街頭へ繰り出しました。抗議は瞬く間に全国に拡大し、警察との衝突が激化。9月8日には国会周辺で大規模な衝突が起き、警察が発砲したことで少なくとも19人が死亡、多数が負傷しました。今回の運動は、単なるソーシャルメディア規制への反発にとどまらず、長年続く腐敗や縁故主義、若者の失業といった社会問題への不満が噴出したものとみられています。

出典:AP News


補足説明

今回の抗議を理解するには、ネパールの政治状況や関連する用語を押さえておく必要があります。ここでは基本的な背景を整理します。

ネパールの政治体制

ネパールは2008年に王制を廃止し、現在は共和制をとっています。しかし、政党の分裂や連立の不安定さから、ここ十数年で首相が頻繁に交代してきました。汚職や縁故主義(ネポティズム)が深刻な問題とされ、若者世代の不満が積み重なっていました。

Gen Z(Z世代)とは?

おおむね1990年代後半から2010年前後に生まれた世代を指します。インターネットやスマートフォンとともに育った世代で、政治や社会問題に対してSNSを通じて声を上げることが特徴とされます。ネパールでは人口の約半数がZ世代かそれ以下で、今回の抗議の中心となりました。

ネポキッズ(Nepo kids)

「Nepo」は「Nepotism(縁故主義)」の略で、政治家や実業家の子どもたちが親の地位やコネを利用して裕福な暮らしをしていることを揶揄する言葉です。ネパールの若者の間ではTikTokなどで「ネポキッズの豪遊動画」が広まり、腐敗への怒りを象徴する存在となりました。

ソーシャルメディア禁止

今回の抗議の直接の引き金は、政府がFacebook、YouTube、X(旧Twitter)など20以上のSNSを禁止したことでした。表現の自由の制限に加え、抗議活動の情報発信を封じる狙いがあったとみられます。逆にこの措置が若者の怒りに火をつけ、大規模なデモに発展しました。

歴史的背景

ネパールは2006年の内戦終結後も政治的に不安定で、マオイスト(毛沢東主義派)出身の政治家が政権を担ってきました。今回の抗議で辞任に追い込まれたオリ首相も含め、政権を握ってきた指導者たちは汚職や権力維持の姿勢を批判され続けてきました。


海外の反応

ネパールは近年頻繁に抗議を経験してきたが、若者が加わっていることは不満の高まりを示している。こうした出来事は政治的安定に深刻な影響を与えかねない。


SNSを全部閉鎖して、そのうえ平和的抗議者を撃ち殺せば、こうなるのは当然だ。


平和的な抗議は権力を得ようとする勢力に乗っ取られてしまった。元マオイストで首相のプラチャンダ(内戦で1万7千人を殺した人物)は姿を隠し、暴力を煽ってライバルを排除していると疑われている。ラビ・ラミチャンネを含む全国の数千人の犯罪者や被告が釈放され、重要な書類が燃やされている。皆が混乱に乗じて自分の推す候補を立てようとし、役所や公共物は焼かれ、警察は制御を失って盗賊が略奪している。まさに「火の中に飛び込む」状況だが、ネパールがこの混乱を乗り越えてより強く立ち上がれることを願う。


普段は年寄りが抗議に行くってこと?


SNSを全部止めようとした時点で、いずれこうなることは分かっていたはずだ。


議会が燃えてる今、「影響を与えかねない」という表現でいいのか疑問だな。


ネパールが「世界一幸せな国」として理想郷のように語られていたのをまだ覚えている。


それってブータンじゃなかった?


ブータンの王室はこれをどう見ているんだろう。中国はチベットの件でどう考えているのか、そしてインドの反応も気になる。


この抗議、いや革命から出てきた写真や動画は本当に恐ろしい。路上にバラバラの遺体が転がっている。死者数は分からないが、公式発表は間違いなく過小評価だ。ネパール人はこの政権を打倒しなければ血は流れ続ける。バングラデシュの再来だが、今回はさらに酷い。

政府が辞任したってことは、この政権を追い出せたってことじゃないの?


首相と一部閣僚の辞任じゃ不十分だ。党が別の人物を任命するだけだし、議会解散や総選挙の要求には応えていない。


ああ、政府が辞任しても自動的に総選挙になるわけじゃないのか?


辞任したのは政府全体じゃなくて、首相と一部閣僚だけだ。


実際は違う。2015年に憲法が制定されて以来、この10年で首相は3人しかいない。1人はマルクス主義者、1人はマオイスト、1人は社会民主主義者。最後の皇太子が王族ほぼ全員を殺して自殺して以来、ネパールはずっと混乱続きだ。


まだ確定していない。派閥は3つ…全部腐ってる。


首相の妻を生きたまま焼き殺し、辞任後に彼の家も焼いた。これは狂気にまでエスカレートしている。


辞任だけじゃ足りない。やつらは罪を償うべきだ。


抗議は数十年にわたる政府の腐敗に対するものだった。状況が悪化したのは、警察が「人群れ制御」と称して過剰な力を使い、昨日19人の若者を殺したときだ。


なんでどの報道も「Z世代の抗議者」って言ってるんだ? 彼ら自身がそう呼んでるのか? 大半がZ世代でも別に不思議じゃないけど、ここまで一貫してそうラベル付けされてるのが妙に感じる。


最初は汚職や最近の法案に反対する平和的な抗議だった。長年の不満が積もって、ついにZ世代が「黙ってはいない」と動き出した。数日前、大臣が車で少女をはねたのに首相が「大ごとにするな」と擁護したことも火に油を注いだ。暴力化したのは、警察が実弾を使って急所を狙い始めた時だ。制服姿の学生が頭を撃たれて死んだ。今では全世代が加わろうとしているが、火をつけたのはZ世代だった。


でもなんでわざわざZ世代って呼ぶんだ? 責任を押し付けてるみたいで不自然に感じる。


抗議はZ世代が始めた。TikTokで「ネポキッズ(縁故で特権を得た若者)」が汚職で得た金を贅沢に使う様子を暴き、腐敗への関心と認識が高まった。そして若者たちは9月8日に大規模抗議を行うことを決めた。若者がZ世代と呼ばれているから「Z世代の抗議」として知られるようになったんだ。


Z世代が自分たちの運動として始めたからだ。歴史には別の名前で残るかもしれないが、Z世代が動かなければ起きなかったのは事実。去年も抗議はあったが、今回は成果が出た。ネパールは安定した政府を持ったことがないが、これは20年で最大の抗議だ。最初は「一人の王」を倒したが、今回は「多くの王」を倒している。


抗議を動かしている要因は、制服姿のZ世代の子どもたちが治安部隊に撃たれたことだ。もともとは腐敗への抗議だったが、政府がSNSを止めて子どもたちが大量に参加し、その一部が路上で残酷に撃たれた。


なるほど。こっちではZ世代って何でも悪いことのせいにされるから、言葉自体がネガティブな意味でしか使われないんだ。


それは分かるけど、Z世代というより「若い世代」が常に責められるんだ。ここ20年間はミレニアル世代がスケープゴートだったけど、今は年を取ったから役割をZ世代が引き継いだ。


これは若い世代が主導する運動だ。


ネパールの人口の大半がZ世代かそれ以下だからだ。平均年齢は28歳前後で、Z世代は今年27歳になる。つまり国民の約半分がZ世代かα世代ということになる。南アジアの出生率は他より高いままだ。


信じられないよ。検閲の波が一夜にして世界中を襲ってる。イギリスにはOSA、ヨーロッパにはチャットコントロール、アメリカの一部の州も同じことをやろうとしている。ネパールでは20以上のSNSが禁止された。これは狂気だし、政府は気にしてすらいない。自然な現象じゃない。何か悪意ある力が動いている。


歴史を読んだ方がいい。検閲も人口管理も社会工学も新しいものじゃない。今それを耳にするのはテクノロジーがあるからで、だからこそ政府はデジタル検閲を必要としている。世界は数十年の平和と繁栄を享受してきたが、それは歴史的に見れば異常だ。良くなる前にもっと悪化するだろう。


でも俺たちはネパールの若者みたいに抗議しないだろう。少しずつ統制されていく。最良の情報統制は、大多数が気づかないか気にしない状態にすることだ。


抗議を減らす最善の方法は失業率だ。ネパールは全体で10%以上、25歳以下では20%以上。アメリカは5%未満。コロナの時は一時13%になり、大規模抗議が起きた。


カエルをゆっくり茹でるみたいに、人々が自分たちが煮殺されてることに気づかないようにしてる。


各国は権威主義国家がSNSを通じて民主主義を壊してきた事実に目覚めた。唯一の対抗策はネット封鎖だ。15年前からこうなるのを見ていた。自由な言論にはガードレールが必要だ。中国のファイアウォールは偽情報を防ぐためのもの。世界中が規制を強めているのは、情報戦が「心への攻撃」だと皆が気づいたからだ。


ネットを封鎖したら中国のようになる。政府が好きな虚偽を流しても確認できなくなる。それはもっと悪い。北朝鮮を見ろ。外の世界を遮断されているから9割の国の存在すら知らない。進歩にはもっと知的な人材が必要だ。オープンなネットはデマもあるが、命を救う情報もある。それを奪うのは良くない。


ああ、大半の人は愚かだから問題なんだ。放置してはいけない。ネット封鎖とは切断ではなく、ボットや外国の影響を止めることだ。国単位で偽情報キャンペーンをやってる。未来はブロックごとのネットになる。内部では「自由」、外部は遮断。匿名ネットは今のダークウェブみたいに残るだろう。


ネパール抗議デモの背景にある政治・経済・地政学的要因

腐敗と縁故主義がもたらした統治不信

ネパールは2008年に王制を廃止し共和制へ移行しましたが、その後も政治は安定せず、首相の交代は頻繁に起きています。政党間の分裂や派閥抗争が続く中で、汚職と縁故主義が深く根付き、国民の政治不信を招いてきました。議員や官僚、さらにはその家族が利権を享受する一方、一般国民は停滞する経済と限られた機会に直面しています。今回の抗議は、単なるSNS禁止への反発ではなく、こうした長年の不満の蓄積が爆発した結果だといえます。

若者世代の失望と「Z世代の反乱」

今回の抗議の特徴は、人口の半分近くを占めるZ世代(1990年代後半から2010年前後に生まれた世代)が中心となったことです。
彼らはインターネットとSNSとともに育ち、国際社会の価値観にも敏感ですが、国内には働く場が乏しく、失業率は20%を超える水準にあります。海外へ出稼ぎに出て家族に送金することが一つの「成功モデル」となっている現状は、若者に「自国では未来が築けない」という諦めを植え付けてきました。
TikTokなどで拡散された「ネポキッズ(特権層の子どもたち)の豪遊動画」は、格差と腐敗の象徴として怒りを広げ、抗議運動の火種となりました。

経済構造と社会的圧力

ネパール経済は出稼ぎ労働者からの送金に強く依存しており、GDPの約25%を占めるともいわれます。国内で若者が働ける産業基盤が弱いため、労働力が流出し、国内の発展をさらに阻害する悪循環が続いています。こうした構造的な問題は政治不信と結びつき、今回の抗議を「単発の暴動」ではなく「構造的な反乱」に変えました。

中国との比較:情報統制の成否

今回の政府の失策を際立たせるのが、中国との比較です。中国は早期にFacebookやYouTube、Xといった海外SNSを遮断し、WeChatやWeiboなど国内SNSだけを普及させてきました。その結果、若者の不満が大規模抗議に転じる前に吸収・分散される仕組みを築いています。
一方、ネパールは突然20以上のSNSを全面禁止するという強硬策を取ったため、情報発信の場を奪われた若者の怒りを一気に爆発させることになりました。「段階的な情報管理」と「拙速な遮断」の違いが、政権の安定性に直結することを今回の事例は示しています。

周辺国と国際社会の思惑

ネパールはインドと中国という二大国の間に位置する戦略的要衝です。インドは長年、経済・政治両面で強い影響力を持ち、中国は「一帯一路」を通じて存在感を高めています。今回の混乱を受けて「外部勢力の関与」を疑う声もありますが、根本的な原因は国内の腐敗と経済停滞です。
ただし、混乱が長期化すれば両国が「安定化支援」を名目に介入する可能性は十分にあります。さらに欧米諸国も「民主化運動」として注視しており、国際的な世論戦の舞台にもなっています。

暴力化のリスクと民主化の岐路

抗議は当初、汚職追及や表現の自由を求める平和的な運動でした。しかし警察が実弾を使用し、制服姿の学生を含む若者が犠牲となったことで一気に激化。国会議事堂や官公庁が焼き討ちされ、一部では略奪も発生しました。こうした暴力化は運動の正当性を損なう危険があり、内戦的な状況へ発展するリスクを孕んでいます。
ネパールが「民主化の深化」と「暴力革命」の分岐点に立たされていることは明らかです。


ネパールの未来と若者リーダーの課題

他国の事例から学べること

  • バングラデシュ(2024年):若者主導で政権が崩れたが、その後は暫定政権と旧来勢力が再び主導権を握り、若者の理想は十分に実現しなかった。
  • チュニジア(アラブの春):独裁を倒したものの、民主化の定着には失敗し、政治混乱と失望を招いた。
  • ミャンマー(2021年以降):若者の抵抗運動が続くが、軍の弾圧と国際社会の限界で長期化している。

これらはいずれも「抗議の熱量」と「制度改革」の間に大きなギャップがあることを示しています。

ネパールの課題

仮に次のリーダーが若者世代から登場したとしても、国をまとめることは容易ではありません。ネパールは多民族・多言語・多宗教国家であり、利害の対立は複雑です。
新しい指導者が必要とされるのは、

  1. 透明性:汚職を徹底的に排除する姿勢
  2. 包摂性:多様な集団をまとめる調整力
  3. 経済改革:出稼ぎ依存からの脱却と国内産業の育成
    この3点を同時に成し遂げなければ、抗議は「失望の連鎖」に終わりかねません。

おすすめ書籍|ネパール情勢をもっと知るために

今回の記事で触れたネパールの抗議デモや社会背景をより深く理解するために、日本語で読めるおすすめ書籍を紹介します。抗議運動の根底にある「社会的排除」や「若者世代の不満」、そしてネパールを取り巻く地政学的環境を学ぶ助けになります。

『体制転換期ネパールにおける「包摂」の諸相――言説政治・社会実践・生活世界』

名和克郎 編
ネパール社会の大きな変動を「包摂(inclusion)」という視点から分析。民族・カースト・地域・ジェンダーにおける分断と統合の試みを取り上げ、抗議運動の背景にある「誰が排除され、誰が声を上げているのか」を理解するのに役立ちます。


『現代ネパールを知るための60章』

日本ネパール協会 編
マオイスト紛争から憲法制定まで、現代ネパールの歩みを多角的に解説。政治・文化・暮らしを横断的に知ることができ、今回のような若者主導のデモがどのような土壌で起きたのかをつかむ格好の入門書です。


『現代ネパールの政治と社会 民主化とマオイストの影響の拡大』

南真木人・石井溥 編著
王制から共和制への移行、そしてマオイスト(毛派)の台頭がもたらした政治的混乱までを詳細に分析した一冊。
民主化の理想と現実のギャップ、政党間抗争、汚職、そして社会の分断がどのように拡大していったのかを多角的に描き出しています。

今回のような「Z世代による抗議デモ」を理解するには、背景にあるマオイスト運動の影響や、民主化以降の権力構造の変遷を押さえておくことが不可欠です。本書はまさにその文脈を整理してくれる本格的な参考書です。


『ネパール人の暮らしと政治:風刺笑劇の世界から』

山本真弓 著
庶民や若者の目線から見た政治を、ユーモラスかつ批評的に描いた一冊。格差や汚職といった現実を、現地の人々がどう受け止めてきたのかを生き生きと伝えます。抗議デモの“生活者としての感覚”を知るのに最適です。


結論:世代の力を持続可能な改革へ

今回の抗議は、Z世代が旧来政治を揺さぶる大きな力を持つことを証明しました。しかし、それを持続的な制度改革へと転換できるかどうかは、これから登場するリーダーの力量と、国際社会のサポートにかかっています。
「怒りの爆発」から「制度的変革」へ進めるかどうか。ネパールの未来は、まさにいま試されているのです。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう。



参考リンク

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