ニュース
米半導体大手エヌビディアは19日、2025年第3四半期(8〜10月期)の決算を発表し、総収益が570億ドルに達したと明らかにした。
前年同期比で62%増となり、市場予想を大きく上回る結果となった。
主力であるデータセンター向け事業は堅調に推移し、生成AI向け半導体需要が依然として強いことが示された。
また、同社は2025年第4四半期の売上高見通しを650億ドルと提示しており、ウォール街予想を上回る水準を示した形となる。
決算説明の中で、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は「AIバブル」という市場の懸念に言及しつつ、「我々はそのようには見ていない」と述べ、事業の継続的な成長に自信を示した。
こうした発表を受け、株式市場ではAI関連銘柄への懸念が後退し、エヌビディア株は時間外取引で上昇した。
出典:Reuters
関連記事
海外の反応
以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。
彼らがハードウェアをもっと売ったからといって、どうしてそれでバブルが弾けていない証拠になるの?
大事なのは、そのハードウェアがどんな価値を生み出すかであって、インフラを盲目的に買い続ける人たちじゃない。もし価値がなければ将来の売上は崩れ落ち、大企業は数百億ドルを無駄にしたことになる。
「シャベル売って儲かってるからって、採掘する側も同じように儲かるわけじゃない」って話ね。
結局、ゴールドラッシュの比喩の問題点はそこなんだよ。価値があるのはシャベルじゃなくて“金”の方。今起きてるのは「誰かが金脈を当てるかもしれない」という期待でシャベルが飛ぶように売れてる状態。
でもSP493のパフォーマンスを見ると、あれは金じゃなく黄鉄鉱に見えるんだよね。
“金”って、要するに人件費を削減できることの方だよ。
海外の反応の続きはnoteで読むことが出来ます。
考察・分析
短期的には「需要の勢い」が維持された理由
今回のエヌビディア決算では、データセンター向けGPU需要が依然として強く、売上とガイダンスの双方が市場予想を上回りました。
主要クラウド事業者が生成AIモデルの大型化に伴い計算能力の拡張を急いでいることが背景にあり、投資スピードが落ちにくい構造となっています。
そのため、短期的にはGPU需要が堅調に見える状況が続いています。
中長期で懸念される「構造的リスク」
しかし、この決算がAI市場の長期的な健全性を保証したわけではありません。
自社設計チップ開発の加速、電力需要の逼迫、設備投資と収益の不均衡など、構造的リスクはむしろ明確になっています。
特に、AIデータセンターの増設が電力供給の制約に直面している点は、これまで以上に大きな問題として認識されつつあります。
さらに、アメリカの高金利環境も無視できない要因です。
AI関連企業の多くは設備投資を負債で賄っており、金利上昇が投資余力を制限する可能性があります。
ITバブルと異なり、今回は厳しい金融環境の中で投資が進んでいるため、資金循環はより繊細です。
ITバブルとの違いと、AI投資の「本当の課題」
2000年前後のITバブルと比べると、今回のブームには明確な違いがあります。
当時は収益モデルが曖昧な企業が評価されていましたが、エヌビディアは実際の利益とキャッシュフローを伴っています。
また、現在のAI投資を主導しているのは資金力のある巨大テック企業であり、財務基盤の弱い新興企業ではない点も対照的です。
一方で、「実際の価値がどこにあるのか」がまだ明確になっていない点は共通しています。
AIが社会にどれほどの実益をもたらし、企業が巨額の設備投資を回収できるのかは、今後数年から10年単位の検証を要する段階にあります。
総括
エヌビディアの好決算は、市場に広がっていたAIバブル懸念を一時的に和らげる結果となりましたが、これで楽観論に傾ける状況とは言えません。
自社チップの台頭、インフラの制約、金利環境、AIサービスの収益化の遅れなど、長期的課題はかえって存在感を増しています。
今回の決算が示したのは「短期的には崩れていない」という局面判断にすぎず、AI市場の持続性はなお検証段階にあります。
技術革新と利用実態がどのように進むか、そして企業が投資と収益のバランスを取れるかどうかが、AI投資ブームの本質的評価を左右することになります。
短期の勢いと長期の不確実性が混在する今の市場では、今回の決算は一つの節目でありながら、最終的な答えを出すものではありません。
評価はこれから数年をかけて形になっていくと考えられます。
それではまた、次の記事でお会いしましょう。
関連書籍紹介
アフターAI 世界の一流には見えている生成AIの未来地図
参考リンク
https://www.reuters.com/business/us-stock-futures-jump-nvidia-results-ease-ai-bubble-concerns-2025-11-20/
https://www.reuters.com/business/media-telecom/bubble-or-breakout-nvidia-earnings-put-ai-boom-under-microscope-2025-11-18/
https://www.reuters.com/world/china/global-markets-wrapup-1-pix-2025-11-20/
https://www.theguardian.com/technology/2025/nov/19/nvidia-earning-report
https://www.theguardian.com/australia-news/2025/nov/20/ai-bubble-asx-share-prices-rates-australian-market-impact-nvidia-tech-companies


