トランプ大統領のグリーンランド強硬発言 北極圏戦略と同盟秩序への波紋

ニュース

2026年1月12日現在、アメリカの ドナルド・トランプ 大統領が、デンマーク自治領グリーンランドの取得をめぐり、軍事行動の可能性を排除しない姿勢を示したことで、欧州諸国との緊張が高まっている。

ロイターによると、トランプ大統領は1月9日、グリーンランドについて「取引による解決ができない場合、他の手段を取らざるを得ない」と発言し、ロシアや中国の北極圏進出を防ぐため「国家安全保障上不可欠だ」と主張した。ホワイトハウスも、軍事的選択肢を含め「あらゆるオプションが検討対象にある」と説明している。

一方、国務長官の マルコ・ルビオ 氏は、議会向け説明の中で「差し迫った軍事侵攻を意味するものではない」と述べ、政権としては交渉による取得を望んでいるとの立場を示した。

これに対し、グリーンランドおよび デンマーク 政府は「グリーンランドは売り物ではない」と強く反発している。欧州のNATO加盟国からも、軍事行動は同盟関係に深刻な影響を及ぼすとの懸念が相次いでいる。

出典:Reuters


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海外の反応

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。


この件について「彼は冗談を言ってるだけだ勢」が何て言い出すのか、早く聞きたいね。


保守派は、これを「トランプ流の話し方」とか「ディールを仕掛けてるだけ」って呼んでるよ。


本家じゃBANされた連中が集まる欧州系スレッドですら、「彼は交渉してるだけだ!」って話を繰り返してる。
「これは欧州に中国の脅威を意識させるために、わざとやってるだけ。本気じゃない」なんて言ってる奴まで見た。
こいつらが投票できなかったら笑い話で済むんだけどな。


右派系スレッドは、ボットや外国の扇動者で相当埋まってるとしか思えない。


仮にそうだとしても、ああいう振る舞いをする本物のアメリカ人が多すぎるのも事実だけどね。


コメントどころか、「植民地主義ってそんなに悪くない。みんなやってきたし、今の世界を形作った。50年後には、今のデンマーク領グリーンランドみたいに歴史的出来事になる」って投稿まで見た。
昔やってたから、今やってもいい理由になると思ってるのが信じられない。


同盟国への侵攻計画を軍上層部に立てさせる。これが即弾劾じゃない理由、誰か説明できる?


共和党が露骨に腐敗してて、上院で有罪を阻止できるだけの議席を持ってるからだ。


アメリカでは、もう弾劾って実質何の意味もないからさ。


2014年、トランプ本人が自分の気質についてこう言ってた。
「小学1年の自分と今の自分を比べても、基本的に同じ。気質はあまり変わってない」


それを賢い発言だと思ってたのが、また笑えるよな。


彼一人だけ送り込んで、グリーンランドを征服させればいい。


いいじゃないか。せっかくだから少し競争性を持たせよう。
デンマーク国王とトランプを、最低限のサバイバル装備だけ持たせて氷上に放り出す。24時間。どっちが生き残るか見てみよう。


フレデリック国王は元特殊部隊員で、グリーンランド遠征の経験もある。トランプに勝ち目はない。


議会がこれに何もしないなら、議会も彼と同じく暴走していると見なすべきだ。職務怠慢として全員追放されるべき。彼は永遠に権力の座にいるわけじゃない。


アメリカ軍は今、グリーンランドの「客」として駐留している。
そのホストに侵攻するなんて、バルバロッサ作戦を超える裏切りだ。

※バルバロッサ作戦:第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが不可侵条約を破って同盟国ソ連に侵攻した大規模作戦


正直に言って、アメリカが同盟国であるグリーンランドを侵攻したら、アメリカにとって破滅的という表現ですら生ぬるい。
起こり得る結果はこうだ。
各国が、アメリカの基地をリスク要因として追い出し始める。
世界規模の経済制裁。景気後退なんて可愛く見えるレベル。
他国は「敵対国家となったアメリカ」から身を守るため、新たな軍事同盟を構築する。
同盟国が、自国防衛のためにアメリカへミサイルを向け始める。
世界的な完全孤立国家になる。
渡航禁止措置すら現実になるかもしれない。 外交的にも経済的にも終末レベルだ。しかも、何十年も採算が取れない資源のためだけに。
正気の沙汰じゃない。


軍事アクセスを受けている相手を攻撃するってのは、確かに一つの選択だな。
他の国々がアメリカに基地を貸すのを再考するには、十分すぎる理由になる。


グリーンランドを攻撃すれば、アメリカは欧州中の基地を失う可能性があると言われている。それくらいは最低限だ。


はっきり言おう。グリーンランドを掌握するのは戦争行為だ。


本当に狂ってる。こんなことが「起こり得る」と真剣に議論されてる時点で異常だ。


考察・分析

グリーンランド問題は「領土」ではなく「北極圏の秩序」をめぐる争いである

今回の一連の発言は、単なる領土取得や不動産的な買収話として捉えると、本質を見誤ります。
争点となっているのは、北極圏における軍事バランス、資源、航路、同盟秩序、そしてグリーンランド自身の自己決定権です。
これらが同時に絡み合っている点に、この問題の難しさがあります。


北極圏の戦略価値が急速に高まっている背景

グリーンランドが注目される最大の理由は、その地理的位置です。
北極圏のほぼ中央に位置し、北米と欧州、さらにはロシアを結ぶ軍事・監視上の要衝にあたります。

近年、ここに新たな要素として加わっているのが、地球温暖化による北極海の海氷減少です。
科学的な観測でも、北極圏の海氷は長期的に減少傾向にあり、夏季を中心に航行可能な期間が延びています。

これにより、北極海航路は将来構想ではなく、現実的な交易ルートとして各国の関心を集める段階に入りました。

ただし、航路の利用可能性と、軍事的脅威は同一ではありません。
商業航路、科学調査、資源探査、軍事プレゼンスは、それぞれ別の論点として切り分けて見る必要があります。


米軍拠点の本質は「基地」ではなく監視と警戒の要である

グリーンランドには、米軍の拠点が存在しています。
現在はピトゥフィク宇宙基地と呼ばれ、宇宙軍の管轄下で運用されています。

この拠点の重要性は、兵力の多さではありません。
北極圏経由で飛来する弾道ミサイルを早期に探知する監視機能にあります。

北極を通過するルートは、地理的に米本土への最短経路になり得ます。
そのため、この地域に監視の空白が生じることは、防衛体制に直接的な影響を与えます。

ここが、米国がこの地域に強い関心を持ち続ける構造的理由です。


レアアース問題の本質は「埋蔵量」ではなく政治と環境である

グリーンランド南部には、レアアースを含む鉱床が存在するとされています。
しかし、資源があることと、それを実際に利用できることの間には大きな隔たりがあります。

この鉱床はレアアースと同時にウランなどの放射性物質を含んでおり、
採掘に伴う環境汚染への懸念が極めて強い地域です。

その結果、グリーンランド議会はウラン採掘を禁じる法整備を行い、
鉱山開発は事実上、政治判断によって停止されています。

仮に政治的に解禁されたとしても、
環境対策、インフラ整備、精錬能力の確保、輸送網の構築には長い時間がかかります。
短期的な外交圧力と、資源開発の時間軸は本質的に噛み合いません。


デンマークとグリーンランドが抱える内部の複雑さ

デンマークにとってグリーンランドは、
北極圏における国家的プレゼンスを支える極めて重要な存在です。

一方で、グリーンランド内部では、
独立志向、資源開発への期待、環境保護への警戒が複雑に交錯しています。

島内の政治勢力も一枚岩ではなく、
資源開発を巡る賛否や、デンマークとの関係をどう位置付けるかで温度差があります。
この内部事情を無視した外部からの圧力は、必ず反発を生みます。


同盟秩序への衝撃がもたらす現実的制約

仮に武力による掌握が現実味を帯びた場合、
最大の問題は軍事行動そのものではありません。

同盟秩序が制度として崩れる点にあります。

グリーンランドはデンマークの自治領であり、デンマークはNATO加盟国です。
さらにEU加盟国同士には、NATOとは別に相互支援を定めた条項も存在します。

つまり、この問題は一国の判断で完結せず、制度が制度として反応する構造を持っています。

同盟国に対する強硬姿勢は、他の地域紛争にも悪い前例を残す可能性があります。


「侵攻計画」報道をどう読むべきか

軍事オプションが検討対象に含まれること自体は、国家運営として特異な話ではありません。
軍は常に最悪の事態を想定した計画を準備します。

しかし、同盟国を相手に「武力で取る可能性」を公に示唆すること自体が、秩序を揺さぶる行為です。
実行命令が出たかどうか以上に、
言葉が与える外交的・政治的衝撃こそが、海外の反応を過熱させています。


総括:問われているのは「誰が北極圏のルールを作るのか」

グリーンランドを巡る一連の動きは、領土の帰属を巡る単純な争いではありません。
北極圏という新たな戦略空間で、軍事、資源、環境、同盟、自己決定をどう調整するのかが問われています。

強硬な言葉がそのまま政策へ落ちるのか、それとも交渉圧力として消費されるのか。
そして最終的に、グリーンランド自身がどの道を選ぶのか。

この問題は、北極圏の未来だけでなく、同盟秩序そのものの行方を映し出しています。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。



関連書籍紹介

『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』

ジョン・ボルトン 著(朝日新聞出版/2020年10月7日刊)

今回のグリーンランドをめぐる強硬発言を、「また思いつきか」と受け止めた人ほど刺さる一冊です。
本書は、トランプ政権の中枢にいたボルトン氏が、政権内部の意思決定がどのように進み、側近がどんな対応を迫られたのかを具体的に描いた回顧録です。

ポイントは、政策が必ずしも制度や合意形成から積み上がるのではなく、トップの関心と勢いで急に動き出す場面があることです。
グリーンランド購入構想が政権内で議題になった経緯も、本気度や周囲の温度差を含めて読み取れるため、今回の騒動を「突発の炎上」ではなく「反復するテーマ」として捉える助けになります。

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『レアメタルの地政学 資源ナショナリズムのゆくえ』

ギヨーム・ピトロン 著(原書房)

記事で触れた「資源はあるのに掘れない」というジレンマを、構造から理解したい人向けの本です。
レアアースを含むレアメタルの供給網が、なぜ特定の国に偏りやすいのか。採掘や精錬が抱える環境負荷、コスト、政治リスクがどう絡むのかを、地政学の観点で整理しています。

この本が効くのは、資源問題を「埋蔵量の話」で終わらせず、現実には採算、環境、国内政治、技術、規制によって簡単に止まることを具体的に掘り下げている点です。
グリーンランドのように自然保護と開発が正面衝突しやすい地域ほど、まさにこの本が描く論点がそのまま当てはまります。

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