経営管理ビザ厳格化で揺れる外国人経営者 インド料理店主の不許可が示した制度の課題【海外の反応・解説】

今回の記事の重要ポイント(三点)

・埼玉県で18年間インド料理店を営んできたインド人経営者の在留資格更新が不許可となり、外国人経営者の在留制度をめぐる議論が広がっている。

・「経営・管理」在留資格の厳格化には、実体の乏しい会社を使った制度悪用を防ぐ合理性がある一方、小規模な既存事業者には重い負担となる。

・焦点は「外国人を受け入れるかどうか」だけではなく、長年日本で事業を続けてきた人が将来を見通せる制度設計をどう作るかにある。


ニュース

埼玉県でインド料理店を営むインド人経営者の在留資格更新が不許可となり、長年日本で事業を続けてきた外国人経営者の扱いをめぐって議論が広がっている。

OurPlanet-TVの報道によると、この経営者は埼玉県内で18年間インドカレー店を営んできた。これまで「経営・管理」の在留資格で日本に滞在していたが、更新申請は認められなかった。

その後、料理人として別の在留資格への変更を試みたものの、日本人経営者の不在時に本人が実質的に経営する疑いがあるとして、変更も不許可となったと報じられている。

制度面では、2025年10月に「経営・管理」在留資格の基準が厳格化されており、今回のケースもその影響を受ける事例として注目されている。新基準では、法人の場合、資本金または出資総額3000万円以上、1人以上の常勤職員、経営者または常勤職員の日本語能力、経営者の経歴・学歴、事業計画書の専門家確認などが求められるようになった。

今回のケースは、制度悪用対策としての在留資格厳格化と、長年日本で実体ある事業を続けてきた外国人経営者への配慮をどう両立するのかという問題を浮かび上がらせている。


補足説明

在留資格は活動内容で決まる

日本の在留資格は、その人が日本で何をするのかに応じて決まります。

同じ飲食店に関わる場合でも、店を経営する人と、料理人として働く人では制度上の扱いが異なります。経営者として店を運営するなら「経営・管理」、専門的な料理人として雇われるなら「技能」など、活動内容に合った在留資格が必要になります。

今回のケースでは、「経営・管理」の更新が認められなかった後、料理人として別の在留資格への変更も認められなかったと報じられています。焦点になったのは、本人が料理をするかどうかだけでなく、在留資格を変えた後も実質的に店の経営を続けるのではないかという点です。


経営・管理ビザの厳格化

経営・管理ビザは、日本で会社や店舗を経営したり、事業の管理に携わったりする外国人向けの在留資格です。

2025年10月の省令改正で、この基準は大きく厳格化されました。法人の場合は、資本金または出資総額3000万円以上、申請者が営む会社などで一定の在留資格を持つ人や日本人などを常勤職員として1人以上雇用すること、経営者または常勤職員の日本語能力、経営者の経歴・学歴、事業計画書の専門家確認などが求められるようになっています。

3000万円は国に支払う金ではなく、法人の資本金または出資総額として確認される事業規模の基準です。報道では「3000万円を用意できなければ日本に残れない」という印象を受けやすいものの、制度上は納付金ではありません。

一方で、小規模な飲食店や家族経営に近い会社にとって、資本金3000万円や常勤職員の要件は重いハードルです。長年営業してきた店でも、新基準を短期間で満たせるとは限りません。


経過措置と更新審査

既に「経営・管理」で在留している人については、2028年10月16日までの更新申請で、改正後の基準に適合していない場合でも、経営状況や新基準への適合見込みなどを踏まえて判断されます。

これは既存事業者への一定の配慮です。更新審査では、事業の継続性、安定性、活動実態、税金や社会保険料など公租公課の履行状況、今後の基準適合見込みなどが確認されます。

今回の不許可理由が3000万円要件だけだったのか、従来からの事業実態の判断も含まれていたのかは、外部から断定しにくい部分があります。ただ、小規模事業者にとって、将来の在留が不安定になったと受け止められやすい制度変更であることは確かです。


技能ビザへの変更で問われる実態

料理人として「技能」の在留資格に変更する場合、本人の活動は原則として料理人としての職務に収まる必要があります。

売上管理、仕入れ、人事、価格設定、契約、資金繰り、店の方針決定などを本人が担う場合、外形上は料理人でも、実態としては経営者と見られやすくなります。

日本人経営者を立てたとしても、その人が名義上の経営者にとどまり、実際の運営判断を本人が続けるなら、在留資格と実際の活動がズレる可能性があります。

小さな飲食店では、料理人と経営者の役割が一体化しやすくなります。報道によると、今回のケースでも、この境界が審査上の論点になったとされています。


永住権を取ればよかった論の難しさ

長年日本に住んでいたなら永住権を取ればよかった、という見方もあります。

永住許可では、在留年数だけでなく、素行、安定した生計、納税、公的年金、医療保険、現在与えられている在留期間などが審査されます。特に、現在持っている在留資格について、最長の在留期間で在留しているかどうかも重要な要素になります。

経営・管理ビザで1年更新が続いていた場合、永住許可で求められる在留期間の要件を満たしにくくなる可能性があります。長く日本で暮らしてきたことだけで、自動的に永住へ近づくわけではありません。

一方で、高度人材ポイント制では、学歴、職歴、年収、専門性などが評価され、短期間で永住許可の特例対象になる場合があります。地域で長年店を営んできた小規模経営者より、短期間滞在の高度人材の方が制度上は永住に近づきやすい場合もあります。


制度悪用対策と既存事業者への配慮

経営・管理ビザの厳格化には、実体の乏しい会社やペーパーカンパニーを使った在留資格取得を防ぐ目的があります。

この目的自体には一定の合理性があります。日本で事業を行う在留資格である以上、事業の実体や継続性を確認することは必要です。

一方で、長年日本で営業し、地域に根づいてきた小規模事業者まで急に不安定な立場に置かれると、制度への信頼は揺らぎます。

今回の件は、外国人経営者を受け入れる制度において、悪用対策と既存事業者への予見可能性をどう両立するのかを考える事例になっています。


海外の反応

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。


これは本当にひどい。
なぜ彼らが永住権を持っていないのかは分からないけど、こういう状況では何らかの猶予があっていいと思う。
彼らはものすごく長く日本にいる。
税金を払って、やるべきことをきちんとやってきたのなら、国外退去にする理由なんてない。


その人は30年間、経営管理ビザでいて、永住権の申請をしていなかったんだよ。


簡単に言うと、日本は経営管理ビザの人たちにかなり厳しい扱いをしている。


永住権や帰化を申請するには、少なくとも3年から5年の有効なビザが必要だ。
彼らは1年以上の有効期間があるビザを得る機会すらなかったのかもしれない。
私自身も5年以上住んでいるけど、更新のたびに1年を超える就労ビザをもらえたことがない。
だから、なぜ彼らが永住権や帰化を申請しなかったのかについて、あまり早く判断しない方がいい。


外国人の事業主は、日本にとって有益ではない存在と見なされてきた。
だから経営管理ビザは、日本人従業員を雇っていない限り1年に制限されていて、永住権申請の条件を満たせない。
何十年も1年の経営管理ビザを更新し続ける人もいる。
たとえいつか3年の経営管理ビザを取れて永住権を申請しても、かなりの確率で却下される。
経営管理ビザ自体が、ある種の悪い印のように扱われるからだ。


正直、政府職員が曖昧で偏った理由で永住権申請を却下できるようにすべきじゃないと思う。
理想を言えば、こういう申請は感情的な偏見を一切入れず、客観的に扱われるべきだ。


永住権申請が却下された場合、法律の説明だけが書かれた定型文の通知が送られてくるようだ。
そこには、申請者個別の事情への言及はない。
ただし、審査担当者との面談を求めることはできる。
審査期間が数年に及ぶこともあるので、多くの人はそこまでやる気力を失ってしまうようだけど。


却下理由を聞く権利は1回だけだ。
私が却下されて理由を尋ねたとき、面談を担当したのは、私の申請書類を一度も見たことのない職員だった。
なぜ却下されたのか、詳細も何も知らなかった。
実質的に、彼らは説明する気がなかった。


このルールの論理が理解できない。
私は日本で働き始めて1年後に、100点以上あったから永住権を取れた。
私は日本語はうまく話せない。基本的なことだけ。
給料の大半はヨーロッパに送って、向こうの不動産に投資している。
そして日本では最低限のことだけをしている。

30年も日本にいて、完全に溶け込んでいるような人たちの方が、私よりずっと永住権に値する。
でも私は、会社の弁護士に「申請してみたら?」と言われたから申請しただけだ。


2001年から日本に住んでいて、合計で17年になる。
でも、更新が不許可になった話や、永住権申請の審査がかなり厳しくなっている話をいくつも見て、経営管理ビザを諦めて会社を閉じることにした。

この4年間で、私の事業は20社以上の日本の新規事業立ち上げを助言・支援してきた。
事業自体は伸びていたけど、今年の新要件をすぐ満たせる段階ではないし、2028年までに満たせるかも分からない。
1年更新が続く不安定さと、永住権審査の厳しさを考えた結果、日本を諦めることにした。


これで、自分が経営管理ビザのまま日本に残り、永住権を得るために彼らの課す面倒な条件をくぐり抜けようとするのは無駄な努力だ、という疑いが確信に変わった。
会社を閉じて日本を離れるという自分の選択が正しいと安心できた。


こんにちは、同じ事業主仲間。
私もだよ。私も同じ。


逆側からもこう言えるかもしれないね。
外国人:「日本は排外的? まあ、自分だけは例外だろう。みんな自分のことは好きだし」
そして外国人:「結局、自分もただの外国人だった」
日本のこの対応が正しいと言っているわけじゃない。
ただ、日本に移住する人は、自分が何に飛び込むのか知っておくべきだと思う。


白川郷を訪れたとき、フィリピン出身の両親を持つ若い10代の男の子に会った。
でも彼は英語もタガログ語も話せず、日本語しか話せなかった。
小さなレストランで接客の仕事をしていた。
たぶん彼もこういう問題に巻き込まれるんだろうね。
関係するすべての人に幸運を祈るよ。


保育園の先生、看護師、近所の人、医者が、家庭の言語を使うのをやめろと言ってくる。
私はインターナショナルスクールを運営しているけど、こういう話はしょっちゅう聞く。
「日本語だけで話すべきです。そうしないと、この国でうまくやっていけません」と言われるんだ。
私は日本に20年いて、子どもたちはまず英語を覚え、その後6歳から日本語をきちんと身につけた。
本当の意味では受け入れる気のない国に、言語で人質にされるつもりはない。


どちらにせよ賢い選択だよ。
英語をうまく話せないと、多くのキャリアは限られる。
英語が共通語でなくなる時代が来れば変わるだろうし、そういうものは常に変化していく。
でも今のところは事実だ。


私はずっと、これはリスクヘッジだと思っていた。
英語があれば、住む場所の選択肢が十分にある。
その中から、自分に合う場所を見つけられる可能性がある。
日本語だけだと、日本しか選べない。


日本:「うわああ、出生率が低すぎる。でもこれを解決する方法なんて何もない」


移民はその解決策じゃない。
いつだってそう。


社会によっては、そして西側世界では、さまざまな隣人との間で摩擦が強まり、人々が神経質になっているという点には同意できる。
でも日本の移民人口は、ほとんどどの国の基準で見ても、かなり少ない。
それで自分たちの問題を移民のせいにするのは、比較するとかなり無理がある。


考察・分析

制度悪用対策としての合理性

経営・管理ビザの厳格化には、実体の乏しい会社や名義だけの会社を使った在留資格取得を防ぐ目的があります。日本で事業を行うための在留資格である以上、事業の実体、資金力、継続性、雇用、納税状況などを確認することには一定の合理性があります。

会社を設立した形だけを整え、実際には事業活動が乏しいまま在留資格を得るようなケースが増えれば、制度そのものへの信頼が損なわれます。入管側が資本金、常勤職員、事業計画、経営者としての活動実態を重視するのは、制度の目的から見れば自然な流れです。

海外の起業家・投資家向け制度を見ても、単に「会社を作った」「資金を入れた」というだけで安定的な在留を認める国は多くありません。米国のE-2投資家ビザでは、固定の最低投資額は置かれていない一方、事業を実際に運営するために十分な投資であることが求められます。英国やカナダの起業家向け制度でも、事業の実現性や成長性、第三者による支援・確認が重視されます。

この点で、日本の3000万円要件は、国際的に見て「事業実体を確認するための基準」の一種と位置づけられます。ただし、金額が明確に置かれている分、小規模飲食店や家族経営に近い事業者には強い壁として映ります。米国のように事業規模に応じた「相当な投資」を見る制度と比べると、日本の基準は分かりやすい一方で、柔軟性に欠ける面があります。

技能ビザへの変更についても、同じ構造があります。料理人として働く在留資格に切り替える場合、本人の活動は料理人としての職務に収まる必要があります。日本人経営者を立てても、実際には本人が売上、仕入れ、人事、資金繰り、店の方針決定を続けるなら、実態は経営者と見られやすくなります。

小規模な飲食店では、料理人と経営者の役割が一体化しやすく、本人側に悪意がなくても疑義が生じやすい面があります。そのため、入管側が活動実態を慎重に見ることには、制度上の理由があります。


長期在留者が不安定化する構造

在留資格は、長く住んでいることだけで安定する仕組みではありません。日本での生活が長く、家族がいて、地域で事業を続けていても、現在の在留資格に求められる条件を満たせなければ、更新や変更は難しくなります。

本人が長年日本で暮らし、店を営み、家族の生活基盤も日本にある場合、生活実態としてはすでに日本に根づいているように見えます。一方で、制度上はあくまで「経営・管理」の要件を満たしているか、「技能」へ変更した後の活動が資格に合っているかが問われます。

日本側から見れば、これは在留資格制度の通常の運用です。一方で、合法的に長く暮らしてきた人の生活基盤が、制度変更や更新審査によって一気に揺らぐ構造は、不安を生みやすくなります。

事業の実体を確認する制度運用と、長期在留者が将来を見通せる安定性をどう両立するのか。今回の問題は、その難しさを浮かび上がらせています。


小規模事業者と高度人材の制度上の差

日本の在留制度は、高学歴、高収入、専門性、研究実績などを持つ高度人材を優遇する仕組みを持っています。高度人材ポイント制では、一定の条件を満たせば、比較的短い在留期間でも永住許可の特例対象になる場合があります。

一方で、地域で長年小さな店を営んできた外国人経営者は、資本規模、常勤職員、事業計画、更新期間などの面で不安定な立場に置かれやすくなります。地域に根づいていることや、生活実態として日本に定着していることは、制度上の評価軸としては見えにくい部分です。

制度が高度人材を重視すること自体には政策目的があります。国際競争力、専門性、税収、産業育成という観点では説明しやすい仕組みです。

ただ、社会感覚としては、短期間滞在の高度人材が永住に近づきやすく、長年地域で店を続けてきた小規模事業者が不安定なまま残ることに違和感が生まれます。制度が評価しやすい能力や資本規模と、地域社会で積み重ねてきた生活実態との間にズレがあるためです。


予見可能性が外国人経営者の信頼を左右する

外国人経営者にとって重要なのは、許可されるかどうかだけではありません。どの条件を満たせば安定して在留できるのか、どの段階でリスクが高まるのかを見通せることが、事業や生活の前提になります。

1年更新が続く場合、事業投資、従業員の雇用、子どもの教育、住宅、家族の将来設計が難しくなります。店を続けるにも、数年後に日本に残れるかどうかが分からなければ、大きな投資や雇用には踏み切りにくくなります。

各国の起業家・投資家向け制度も、事業の実体や成長性を重視する方向にあります。オーストラリアは従来の事業・投資家向け制度を2024年7月末で新規受付停止としており、受け入れ制度そのものを見直す動きも出ています。つまり、外国人事業者への審査を厳しくする流れ自体は、日本だけの特殊な動きではありません。

その中で日本に問われるのは、厳格化そのものの是非だけではありません。日本で実体ある事業を続けてきた人に対し、どの条件を満たせば安定して在留できるのかを示し、制度変更に対応する道筋をどこまで用意できるかです。

日本が起業促進、地方経済、人手不足への対応を重視するなら、外国人経営者を受け入れる制度にも安定性が求められます。悪用対策と、実体ある事業者が将来を見通せる制度運用をどう両立するかが、今回の件で浮かび上がった課題です。


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