比例31減案で変わる各党の戦略 復活当選も争点に【海外の反応・解説】

自民党が示した衆院比例31減案を整理。配分は修正サンラグ式、比例復活の基準も見直す内容です。各党の戦略と有権者の選択肢はどう変わるのか、海外の反応とあわせて解説します。

現行465議席と提案434議席の比較。比例は176から145へ
図:せかはん作成。衆議院公式・ANN報道の数値を基に作成。協議中の案。

今回の記事の重要ポイント(三点)

・自民党は2026年10月22日の与野党協議で、衆院比例代表を31削減し、議席の配分方式の変更と比例復活の基準の厳格化を組み合わせた案を示した。

・国民民主党は一定の評価を示し、維新は45減へのこだわりを残し、公明党やチームみらいなどは比例だけを削る形に反対している。

・削減の幅、議席の配り方、落選候補の復活資格は党や候補者ごとに違う形で作用するため、この交渉は議員の数だけでなく、どの党のどんな支持が議席になるかを左右する。


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自民が比例31減の折衷案、復活当選の基準見直しも

自民党は22日、衆院の選挙制度を見直す与野党の実務者協議で、比例代表の定数を31削減する案を示した。自民党と日本維新の会が6月に提出した法案の45減から削減幅を縮めた折衷案で、31という数は2015年から2030年にかけての人口減少率6.7%をもとにしたとされる。

案には、比例の議席配分を現在のドント式から修正サンラグ式に変えることと、小選挙区で敗れた候補が比例で当選する「比例復活」の条件を厳しくすることも盛り込まれた。

国民民主党の古川元久氏は、党の主張を多く取り入れた案として一定の評価を示し、党内で検討する考えを示した。維新の金村龍那氏は、これまで比例45減を主張してきたとして、その主張と重ねて検討すると述べた。

公明党の中野洋昌政調会長は比例だけを減らせば制度のバランスが崩れると反対し、民主改革の会の落合貴之政調会長は抜本的な改革と一体で判断すべきだとした。チームみらいは、31をすべて比例から削る理由が見えないと応じた。

各党は案を持ち帰り、翌週の協議で態度を示す。協議は10月末までの結論を目指している。


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定数の内訳と、比例復活の仕組み

45から31へ、削減の数字が動いた経緯

議員定数の削減は、2025年10月に自民党と維新が連立で合意した政策の一つです。合意では衆院定数の1割削減を目標に掲げ、2026年6月には両党が比例だけを45減らす法案を提出しました。

この法案は、法律の施行後1年以内に与野党の協議で結論が出なければ、比例45減が自動的に実行される設計です。今回の協議が目指す10月末の結論とは、期限の起点が異なります。比例を中心に議席を持つ野党は強く反発し、法案は成立していません。今回の31減案は、その後の与野党協議の場で自民党が示した新しい案です。

自民党は比例だけを減らす理由について、小選挙区を削れば地方の議席がさらに減り、都市部の選挙区も一層細かく分かれると説明しています。選挙制度は民意の集約を重視すべきだという考え方も、6月の法案了承時に挙げています。

31という数字は、維新が10月7日の会見ですでに触れていたものです。人口が減った分だけ議員も減らすという考え方は国民民主党が主張してきたもので、自民党はこの物差しを使って国民民主党の賛成を得る狙いがあると報じられています。

2030年の人口は将来推計を含む数字で、6.7%は提案側が削減幅の根拠として使った計算です。人口から何人が適正かを導く方法は一つに定まっておらず、共産党は戦後の人口増に合わせて定数を増やしてこなかったことを挙げて、この比較そのものに反対しています。

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比例は11のブロックで配られる

衆院の定数465は、小選挙区289と比例代表176に分かれています。31をすべて比例から減らすと、総定数434のうち比例は145になります。

項目現行31減案(比例のみ削減の場合)
総定数465434
小選挙区289289
比例代表176145
議席に占める比例の割合約38%約33%

(衆議院の定数をもとに計算。全体では約6.7%、比例だけでは約17.6%の削減)

有権者は2票を持ちます。1票は地元の小選挙区で候補者に、もう1票は比例で政党に投じます。比例の議席は全国を一つにまとめて配るのではなく、全国11のブロックごとに配られ、各ブロックの定数は6から28です。

ブロックの定数が小さいほど、議席1つを取るのに必要な得票の割合は大きくなります。31をどのブロックから減らすかでも、各党が最後の1議席に届く難しさは変わります。全国の得票を合計して145議席に当てはめるだけでは、どの党がいくつ増減するかは分かりません。


ドント式とサンラグ式、修正型の違い

ドント式は、各党の得票を1、2、3…と順に割り、その答え(商)の大きい順に議席を配る方法です。サンラグ式は割る数を1、3、5…の奇数にします。2つ目以降の議席が取りにくくなるため、大きな党に議席が集まりにくくなります。

架空の例で比べます。定数5のブロックで、A党61票、B党25票、C党14票だったとします。

方式A党B党C党
ドント式(1、2、3…で割る)410
サンラグ式(1、3、5…で割る)311

(筆者作成の架空例。端数の扱いの違いを示すもので、日本案の試算ではない)

修正サンラグ式は、最初に割る数を1より大きくします。国立国会図書館の資料では、スウェーデンが初項を1.4としていた例と、2014年に1.2へ改めた例が紹介されています。最初の1議席のハードルを通常のサンラグ式より高くし、ごく小さな党が議席を得にくくする仕組みです。

今回の日本案で初項をいくつにするかは、報道からは確認できていません。みらいが以前から提案してきたのは、初項を1とする通常のサンラグ式です。

衆院は、小選挙区と比例を別々に選んで足し合わせる並立制です。比例の配り方を変えても、その効果は比例の議席の中にとどまり、小選挙区で生じた得票と議席のずれまでは補正しません。


落選した候補が比例で戻る「比例復活」

衆院選では、同じ候補者が小選挙区と比例の名簿の両方に名前を載せる「重複立候補」ができます。小選挙区で敗れても、党が比例で取った議席の範囲で当選する道が残り、これが比例復活です。

当選が決まる順序は三段階です。まず党の比例の得票で、ブロックで何議席取るかが決まります。次に名簿の順位に沿って当選者が決まります。名簿で同じ順位に並んだ重複立候補者の間では、惜敗率の高い順に当選します。

惜敗率は、候補者の小選挙区の得票を、その選挙区で最も多く得票した候補の票で割った割合です。同じ順位に並んだ候補同士を比べるための数字で、全国の候補を一列に並べる物差しとは違います。

復活には、もう一つ資格の条件があります。現行の公職選挙法では、小選挙区で有効投票総数の10分の1に届かなかった候補は、比例名簿に載っていないものとみなされます。供託金が没収される基準と同じ数字です。

自民党の長谷川淳二氏は20日、この基準を少なくとも6分の1に見直すべきだと主張しました。6分の1は、小選挙区で当選するために最低限必要な得票(法定得票数)と同じ割合です。

有効投票10万票の選挙区で1万2千票を得た候補は、現行の基準1万票を満たします。基準が6分の1になれば約1万6667票が必要になり、資格を失います。資格を満たしたあとも、党の議席数と名簿の順位という条件が残ります。名簿に比例だけで載る「比例単独」の候補には、この小選挙区の基準はかかりません。


海外の反応

2023年10月、選挙制度を論じる掲示板 r/EndFPTP(小選挙区制の見直しを議論する場)で、「なぜサンラグ式が使われるのか」という質問が立ちました。日本の31減案より前の、配分方式そのものをめぐる議論です。

投稿主の問いに、2議席の例で端数の扱いを説明するコメントが付き、別の返信では、サンラグ式は小さな党に有利な方式なのか、偏りのない方式なのかをめぐって応酬が続きました。

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。


(投稿主)

1. 理論的に、サンラグ式はなぜドント式より良いのか。大政党への偏りが小さいとよく読むけど、それを正確に説明できる人はいる?

2. もしあるとすれば、ほかの配分方式と比べて、どんな意味で優れているのか。


定数2の選挙区があるとする。A党が70%、B党が30%の票を取った。A党が2議席取るべきか、それとも1議席ずつ分けるべきか。

一つの考え方。もしA党が二つに割れて、A1が35%、A2が35%、Bが30%になったなら、当然A1とA2が議席を取るはず。だからA党は2議席取るべき、となる。

もう一つの考え方。定数が2なら、50%の票につき1議席であるべき。理想はA党1.4議席、B党0.6議席で、丸めるしかないから1議席ずつになる。

ドント式が前者で、サンラグ式がだいたい後者。個人的にはドント派で、名簿式よりSTV(候補者に順位を付けて投票する比例制)が好みだ。ただ、本当に比例した結果を望むなら大事なのは、定数の小さい選挙区を避けるか、せめて全国単位の調整議席を置くこと。そうしないと、ドント式でもサンラグ式でも、こうした端数の誤差が積み重なって、全国の結果が釣り合わなくなる。


サンラグ式は、議席を多く持つほどドント式より大きなペナルティを科す。だから自然と、大きな党より小さな党に有利になる。


(投稿主)

たしかに。

質問の仕方を変えるべきだったかも。なぜドント式は「大政党寄り」で、サンラグ式は「ちょうどいい」とよく言われるんだろう?


この掲示板は小さな党びいきだからね。


違う。サンラグ式は、ほんのわずかに大政党に有利なんだ。

…本当に、ほんのわずかだけど。


全体として見ればサンラグ式のほうが比例に近いのは確か。でもこの掲示板があの方式を不釣り合いなほど(比例の話だけに、しゃれのつもりはない)好むのは、二大政党制で嫌な目にあってきて、小さな党に肩入れしているからだよ。


すでに説明した通り、サンラグ式は小さな党に有利ではない。

サンラグ式は、ほんのわずかに大政党に有利。

ドント式は、とんでもなく大政党に有利。

サンラグ式は、偏りがほとんどない。

偏りとは、一貫して比例からずれることで、「比例代表」の「比例」という言葉と矛盾する。

どんな大きさの党の組み合わせでも、票の過半数を得たなら議席の過半数を得るべきだ。

それを最もよく、ほぼ完璧に実現するのは、ドント式ではなくサンラグ式のほう。


31減は誰のための折衷案か

31は、維新と国民民主の両方に向けた数字

31減案には、維新との約束を残しながら、国民民主党の賛成を得る狙いがあると報じられています。定数削減は連立合意の柱の一つで、合意から1年たっても実現していません。

維新の藤田文武共同代表は21日、連立の政策の実現は「まだ3割程度」と述べ、45減の法案を審議して成立させるのが「王道」だとけん制しました。31減は総定数の約6.7%で、維新にとっては連立で掲げた1割削減から後退する形になります。

一方で、45減の法案のままでは野党の協力を得にくく、成立の見通しが立っていません。人口減少を物差しにすれば、削減の実績を残しつつ幅を縮める理由になり、国民民主党の主張にも重なります。31という数字は、維新の求める実績と、国民民主党が受け入れられる幅の両方を探った結果と読めます。

国民民主党は一定の評価を示した段階で、正式な賛否はこれからです。配分方式や復活の基準の中身によって、党内の判断は変わり得ます。


比例が中心の党でも、将来の描き方は違う

同じ比例中心の党でも、31減案の受け止め方はそれぞれ違います。衆院の会派名簿(9月28日現在)では、参政党15人、チームみらい11人、共産党4人の議員がいずれも全員比例で選ばれています。

共産党は、代表の数が減れば行政を監視する力も弱まるとして、削減そのものに反対しています。みらいは比例の削減に反対しながら、以前から通常のサンラグ式への変更を提案してきました。配り方の提案が一部取り入れられても、削減を含めた今回の一括案に賛成するかは別の判断です。

参政党は10月14日の公式報告で、人口当たりの議員数が少ないことや、比例が多様な民意を受け止めることを挙げて、慎重な議論を求めています。この報告は、31減案が示される前のものです。

当選者の地域にも差があります。みらいの11人は東京ブロックに4人、南関東ブロックに3人と首都圏に集まり、共産の4人は4つのブロックに1人ずつです。どのブロックの定数を減らすかで、最後の1議席の重みは党ごとに変わります。小選挙区で勝てる地域を育てるか、比例の議席を守るかでも、党の戦略は分かれます。

公明党と民主改革の会は、衆院で統一会派「中道」を組んでいます。公明党は10月11日、削減するなら小選挙区と比例を3対2のバランスで減らすよう求め、民主改革の会の階猛幹事長は13日、比例削減への対応で公明党と足並みをそろえると表明しました。小選挙区の議員を抱える民主改革の会と、比例で議席を積み上げてきた公明党では、制度のどこに重みがあるかが違います。

衆院に議員が1人のいのちの党(旧れいわ新選組)や、衆院の議席がない社民党にとっては、比例は議席を保ち、あるいは衆院に戻るための入口になります。社民党は10月6日の談話で定数削減に反対しています。議席を減らされる党だけでなく、これから議席を取りに行く党の条件も変わります。

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削減と配り方の変更は、効果が重なる

修正サンラグ式への変更は中小政党に配慮した要素で、比例の議席が減る影響と同時に働きます。176から145に減ればブロックの定数も減り、1議席に必要な得票の割合は上がります。どちらの効果が大きいかは党やブロックで変わり、党ごとの差し引きはまだ検算できる段階にありません。

修正型は最初の1議席のハードルを通常のサンラグ式より高くするため、ごく小さな党にとっての効果は、初項の数字とブロックの定数しだいです。定数の小さいブロックでは、どの方式でも端数の切り捨てや繰り上げの影響が大きくなり、全国で見た得票と議席のずれが残りやすくなります。

しんぶん赤旗によると、自民党は協議で修正サンラグ式による議席の予測を示し、共産党の塩川鉄也氏はその予測で与党の議席の割合が上がると批判しました。予測の数字と計算の条件は報道では示されておらず、どの党がいくつ増減するかは、ブロック別の定数と初項がそろってから検証できる段階です。


比例復活を厳しくする是非

比例復活の基準を厳しくすべきだという側は、地元の選挙区で支持が広がらなかった候補が当選することへの納得感を問題にします。小選挙区で当選に必要な6分の1と基準をそろえれば、地域で支持を広げる責任もはっきりします。

慎重な側は、比例の票は党に投じられた別の意思だと考えます。1人しか当選しない小選挙区では、新人や専門家、小さな党の候補が勝つのは難しく、復活はそうした人を国会に送る道にもなっています。小選挙区で2位以下だった結果を、地元の有権者がその候補を拒んだことと同じに見るかどうかで、評価は分かれます。

基準の厳格化は、党の大小や新人かどうかを問わず、重複立候補するすべての候補にかかります。同じ党の中でも、地元の得票が厚い候補と薄い候補で影響が分かれます。比例単独の候補にはこの基準がかからないため、党が地元の基盤の弱い候補を比例単独の上位に置く判断が増えれば、名簿の順位を決める党執行部の力が強まることも考えられます。

地域で候補を育てたい党は重複立候補を軸にし、広い地域の支持を議席にしたい党は比例単独を使う、という形で擁立の判断が分かれる可能性があります。削減、配分方式、復活の基準は、同じ一括案の中で、党や候補者ごとに違う重さで作用します。


何人減らすかより、誰の票が議席になるか

31という数字の先にある、有権者の選択肢

31減案をめぐる交渉は、議員を何人減らすかの話に見えて、どの党のどんな支持が議席になり、誰が立候補しやすくなるかを決める話でもあります。自民党と維新は削減の実績を求め、国民民主党は人口という物差しで歩み寄りを探り、比例を基盤とする党は配り方と残る議席の数を見ています。

削減を支持する声には、国会の経費を抑え、政治家がまず身を切るべきだという考えがあります。一方で、国会の審議や行政の監視、地域からの要望を受け止める仕事の量は、人口と同じ割合で減るわけではありません。経費と仕事の量のどちらを重く見るかで、評価は分かれます。

選挙で選ばれる当事者が選挙の制度を決める以上、何を基準に数字を決め、どの党の意見を聞き、その理由をどう説明したかも、制度の妥当性を測る材料になります。

月末に向けた協議で、各党が人数の譲歩だけでなく、ブロックの定数、初項の数字、復活の基準をどう組み合わせるか。案がまとまって成立すれば、どの選挙から適用するかも含めて、その組み合わせが有権者の選べる候補者と政党の顔ぶれを形づくることになります。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう。

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国内外のニュースを「報道・海外の反応・背景解説」の三層で読み解く個人メディア『せかはん』運営者。2025年8月の開始から1年で300本以上を執筆し、noteフォロワーは2万人。特定の政党・組織に属さず、一次ソースの照合と左右両論の併記を編集の基本にしています。

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