
今回の記事の重要ポイント(三点)
・2025年10月21日に発足した高市政権は1年で、皇室典範の改正と国家情報局の開設を実現し、初となる消費税減税は関連法案を閣議決定した実施前の段階にある。
・国内の制度を動かしたこの1年に、中国の対日措置やロシアが持ち出した米中露の3者会談、フランスの抗議の激化など、日本を取り巻く環境も大きく変わった。
・大国間の取引が進むなか、日本はカナダや豪州などミドルパワー(中堅国)と協力の経路を広げたが、自らに関わる決定に声を届けられるかは、その経路を続ける財源と国民の納得にかかる。
高市政権が発足1年、改正皇室典範は24日に施行へ
高市早苗首相の内閣は21日、発足から1年を迎えた。2025年10月、自民党と日本維新の会が連立で合意し、維新は閣僚を出さない閣外協力の形で政権が始まった。2026年2月8日の衆院選で自民党は316議席を得て、単独で定数の3分の2を超えた。維新は9月17日の内閣改造で初めて閣僚を出した。
7月に成立した改正皇室典範は、24日に施行される予定だ。政府は10月9日、2027年4月から2年間、食料品の消費税率を1%に下げる関連法案を閣議決定した。首相は19日の参院予算委員会で、減税の財源について税収の上振れや基金の返納などを例に挙げて対応できると説明する一方、国債の発行を否定するものではないと答弁したと報じられている。
改造で起用された簗和生農相は10月14日に辞任した。
直後の世論調査で内閣支持率は、日本テレビと読売新聞の16〜18日の調査で57%、共同通信の17〜18日の調査で49.1%だった。共同通信の調査で5割を下回ったのは、発足以来初めて。
国内で制度を動かしたこの1年に、日本を取り巻く大国の動きも変わった。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は19日、11月に中国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に合わせ、プーチン大統領、トランプ米大統領、習近平国家主席の3者会談が開かれる可能性があると述べた。具体的な提案や合意は誰からも出ておらず、議題も話し合っていないとしている。
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皇室典範の改正は、皇族の数を保つ二つの柱
改正皇室典範は7月17日に成立し、24日に公布されました。施行は公布から3か月後の10月24日で、この記事の時点ではまだ施行前です。衆議院では自民、中道改革連合、維新、国民民主、参政が賛成し、共産が反対しています。
柱は二つあります。一つは、女性皇族が皇族以外の男性と結婚しても皇族の身分を保てるようにすることです。現在の女性皇族は、本人の意思で結婚と同時に皇族を離れることもできます。配偶者や子は皇族になりません。
もう一つは、戦後に皇籍を離れた旧11宮家の男系の男子を、15歳以上で本人が望む場合に皇族の養子として迎える制度です。養子となった本人は皇位継承の資格を持ちません。皇位は男系の男子が継ぐという皇室典範第1条は、そのまま維持されています。
国家情報局は7月に開設
2026年7月31日、首相を議長とする国家情報会議と、官邸直属の情報機関である国家情報局が発足しています。各省に分かれていた情報を集めて分析し、政府の判断に生かす役割で、局長はそれまでの内閣情報官から格上げされています。
安全保障の面では、2022年に岸田政権が2027年度の達成を掲げた防衛費のGDP比2%も、2025年度の補正予算で前倒しされています(防衛相の会見時点の見込み)。
初となる消費税減税は、まだ実施前
食料品の消費税の減税は、所得に応じた新しい給付を始めるまでのつなぎとして、2027年4月から2年間行う計画です。法案は閣議決定され、国会での審議を経て成立する必要があります。家計に効果が出るのは、早くても2027年4月からです。
2年間で約10兆円とされる財源について、政府は特例公債(赤字国債)に頼らず、補助金や租税特別措置の見直し、基金の返納、外為特会などの税外収入の上積みで確保すると説明してきました。首相は10月5日の所信表明演説でも、財源は「特例公債に頼らずに確保」すると述べています。
どの財源からいくら充てるかは、まだ決まっていません。具体像は年末の予算編成で示すとしています。19日の答弁で例に挙がった税収の上振れは年ごとの実績で、これまでも補正予算の財源などに充てられてきました。物価が上がれば名目の税収は増えやすくなりますが、政府の公式な説明は、その増加分を減税の財源として数えるところまでは示していません。
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国内の制度を動かした1年、対外環境も変わった
この1年、日本の外側では大国との関係が大きく動いています。米国とは、石破政権が2025年9月に合意した5500億ドルの対米投資を履行する段階に入り、2026年3月までの2回で全体の約2割に当たる案件が決まりました。案件は米側の委員会と大統領が選ぶ仕組みです。
中国とは、2025年11月に首相が国会で、台湾有事は存立危機事態になりうると答弁したことをきっかけに関係が冷え込んでいます。中国は訪日自粛の呼びかけ、日本産水産物の輸入停止、2026年1月からのレアアースなどの対日輸出規制の強化と、対抗措置を重ねています。
8月に日本を訪れた中国人は、前年の約6割減でした。共同通信は5月の時点で閣僚級の対話がない膠着状態と報じ、10月に中国が経団連の視察団の受け入れ枠を広げた際も、政府間の対話は停滞していると伝えています。
こうしたなかで日本は、3月にカナダ、4月にフランス、5月にオーストラリア、7月にインドと首脳会談を重ね、経済安全保障を柱とする文書を交わしています。4か国との文書にはどれも、レアアースなど重要鉱物の調達先を広げることと、輸出規制を使った圧力(経済的威圧)への懸念が入っています。フランスとの間では、外務・防衛の閣僚協議(2+2)も開かれています。
大国だけで決める構想と、揺れる欧州
3者会談の構想は、ロシアが持ち出したものです。プーチン氏はウクライナ戦争の終わり方を話し合う3者会談を、ウクライナ抜きの形で提案したと米紙が報じ、米政府高官はトランプ氏は合意していないと説明しています。開催は決まっていません。ウクライナのシビハ外相は、プーチン氏に戦争を続けさせるだけだと批判しています。
米国と並ぶ西側の柱である欧州は、内政の揺れを抱えています。フランスでは9月に高校の学校封鎖から始まった抗議が、10月に入って物価や燃料価格への不満と結びつき、17日には内務省の発表で全国約55万人がデモに参加しました。一部は放火や略奪に発展し、拘束者は2,400人規模に上っています。
マクロン大統領は18日の演説で、平和的な参加者と暴力をふるう者を分け、首相に被害の支援と、政党・労組などとの協議を指示しました。議会で過半数を持たない政権は、11月に採決を控える来年度予算案の審議と事態の収拾を同時に抱え、財政の余地は限られています。英国では7月に首相が交代し、ドイツでも10月に連立政権の閣僚が辞任しています。
こうしたなかで目立つのが、ミドルパワー(中堅国)という考え方です。超大国ではないものの、経済力や外交力で影響を持つ国を指します。カナダのカーニー首相は1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)で、大国が対立する中でも中堅国は組んで別の道を作れると訴えました。
カーニー氏は3月にはオーストラリアで、欧州・カナダ・オーストラリア・日本・韓国の経済規模を合わせると米国を上回ると述べたと報じられ、その足で来日しています。日本を含めた正式な枠組みは、まだありません。
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海外の反応
カナダの英字紙グローブ・アンド・メールは10月19日、東京大学の鈴木一人教授が、カナダの中堅国外交はアジアに目を向けるべきだと語ったと報じました。欧州に近づくカナダに、エネルギー輸出などで成長するアジアとの関わりを強めるよう促す内容です。
カナダの話題を扱う掲示板 r/canada では、民主主義の中堅国が組むことへの期待から始まり、日本や韓国も結局は米国頼みではないか、という応酬に進みました。
以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。
カナダが組むべきなのは、民主主義の中堅国「すべて」だと思う。日本、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、それにヨーロッパ、メキシコ。民主主義の価値観を共有していて、好戦的な軍事大国に自分から昼飯代を差し出したくないと思っている国なら、どこでもいい。
そう、どちらか一方なんて話じゃない。それは偽りの二択で、こういう記事はそれ自体が一種の不安をあおる言説だと思う。カナダにとっていちばん得なのは、ヨーロッパともアジアとも、中堅国や民主主義国全般とも利害をそろえていくことだ。
それに、気に食わない相手も含めて勢力の均衡を取るのは、何世紀も前から賢い外交の基本中の基本で、中国だって技術と製造業の力で均衡の一角になれる。遠く離れているし、今世紀に戦争を始めてもいないし、関心は貿易にある。カーニーがカナダの対外関係を多角化しているのは賢いやり方で、まさにやるべきことをやっている。
問題は、ヨーロッパがいまだにアメリカの属国でいたがるような妙な立ち位置にいることだ。中堅国らしく振る舞っているのはアジアの国だけだよ。
韓国と日本については、そうとも言えない。どちらもトランプの機嫌を取るのに必死で、交渉のまずい「貿易協定」を結ばされている。それに、あの2国の最大の関心事は今でも中国だ。
いや、日本と韓国のことはちゃんと調べたほうがいい。どちらも中国とかなり密接なつながりがあるし、トランプに媚びているんじゃなくて、トランプと中国を天秤にかけることがよくある。目にするニュースの多くは、中韓のあいだで進んでいる数々の交渉や合意を取り上げていない。
(中略)
アジアの国々はずっと複雑で、向こうで起きたいざこざは欧米ではほとんど報じられないし、たいていの人は何が起きているのかすら知らない。
その大半はまったく意味がない。まず、こうした「中堅国」が力、つまり軍事力をどこから得ているのかから考えよう。大部分は中国から来ているわけじゃないだろ……
日本と韓国の場合、軍事力の多くは国産で、アメリカ頼みじゃない。たしかにアメリカの傘の下にはいるけど、仮にアメリカが去っても相当手ごわい戦力を持っているし、皮肉なことに、アメリカがいるから両国は核武装に踏み切らずにいる。
記憶が正しければ、日本の海上戦力はヨーロッパのほぼどの大国よりも強い。備えの面では、これらの国はヨーロッパとは段違いだ。
最初の返信も全部読んだよ。話の時系列があちこち飛んでいるし、「もし〜なら」だらけだ。それは別にいいけど、言いたいのは、東アジアの大半では、独立した中堅国でいられるのはまれだってこと。人手以外の経済的な強みがなければ、完全な独立はなかなか難しいと思う。
(中略)
日本だけは粘り強さを見せているけど、それでも資源のことで中国を含む近隣国と付き合わざるを得ない。ほかの人も言っていたとおり、日本と韓国にとっては、アメリカなんかより中国のほうが脅威なんだ。
同じ19日(米国時間)、プーチン大統領が3者会談を提案したという報道は、米国の掲示板 r/PoliticalOptimism にも投稿されました。政治の明るい材料を探すための場です。
出典スレッド:r/PoliticalOptimism(Reddit)
以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。
(投稿主)
このコミュニティはしばらく読むだけだった。トランプ、習近平、プーチンの3人の会談が提案されたらしいけど、すごく心配している。これが何か実のあるものになる可能性はどのくらいある?
世界がすでに三極になっているのは分かっている。でも、3人が話し合うとしたらおそらく、激しく対立する三つの勢力圏に世界を分ける話になる。その見通しはどう考えてもいいものに聞こえない。
この話が最初に報じられたのは、先週ロシアの特使が言及したのがきっかけだ。今日の報道を受けて、ロシア側は、最終的な和平合意にはウクライナの関与が必要になると改めて説明している。
それに、習近平は三者会談に慎重だという報道もある。中国はヨーロッパとの関係で足場を固めようとしていて、三者会談をやればヨーロッパを警戒させると考えているらしい。
そうそう、中国はこの件に一切関わりたくないんだよ。
(投稿主)
それは興味深いし、もっと希望が持てる話だね。その報道は見ていなかった。出典を貼ってもらえる?
ロイターの記事では、ペスコフ報道官(ロシア大統領府)が、アメリカは紛争解決の仲介を続けていてロシアはそれを評価している、最終的な和平合意にウクライナの関与が必要なのは明らかだ、と述べている。
ワシントン・ポストの記事には、ウクライナの最も強力な支援者の一つで、中国にとって重要な貿易相手でもあるEUを刺激しかねないことに、北京は慎重だと書かれている。
(投稿主)
なるほど、出典ありがとう。これはプーチンの利益になる話だというのは納得だ。中国がこういう会談で何を得るのかもよく分からないし。
3か国が世界を3分割しようとしている、と早合点していたかもしれない。それぞれ利害が違っていて、ぶつかることも多いんだから、それは難しいよな。
それに、この会談の場として考えられているのは中国が主催するサミットで、たしか経済のサミットだ。習近平はそこから注目をそらしたくないらしい。トランプとプーチンの話題でかすませたくないのは当然だろうね。
この件に関しては、中国が関わるのはむしろいいことだ。中国はほぼ最初からウクライナ戦争に反対してきたし、石油や天然ガスの輸入でロシア経済を支えてもいる。習近平と閣僚たちは、ウクライナでの戦争をやめるようプーチンに相当強く圧力をかけてきた。
(中略)
だからこの会談も、トランプがプーチンのエゴをさらにくすぐって、習近平が部屋の中で唯一まともな大人みたいに振る舞う、という以上のものにはならないと思う。
習近平がそんなにプーチンの戦争に反対なら、なんでロシア経済を支え続けてるんだ?
ロシアに対する影響力を握っておくためだよ。
単純な話だよ。ロシアは自分のやったことでヨーロッパという最大の顧客を怖がらせたし、中国は代金を払える側として優位に立てる。
実現したとしても、みんな忘れたらしいアラスカ会談(2025年8月の米ロ首脳会談)みたいな終わり方をする気がする。プーチンの言葉を額面どおりに受け取る気はない。今の政権よりさらに信用できないし、それはよっぽどのことだ。
トランプは口が堅いタイプでもないから、本当に何か合意していたら、とっくにTruth Social(トランプ氏が使うSNS)で計画をぶちまけているはずだ。
選べる手段は増え、続ける力が問われる
国内で制度を動かした1年
高市政権は1年で、皇室典範の改正を与野党の多くの会派の賛成で成立させ、国家情報局を開設し、初となる消費税減税を法案の形にしました。発足から1年を経ても、内閣支持率は調査によって5割前後から6割近くを保っており、2月の衆院選の大勝と合わせて、政策を進める足場は保たれています。
課題も見えています。食料品減税は財源の候補が並ぶ段階で、どこからいくら充てるかは年末に持ち越され、そこへ利上げで国債の利払い費が膨らみます。来年度予算の要求では、国債費を見積もる金利が3.8%に引き上げられました。農相の辞任では、共同通信の調査で対応が遅すぎたという受け止めが多数を占めています。
国会で多数を持つ力と、費用や不利益まで含めて国民が納得する力は別のものです。皇室典範の改正で見せたような幅の広い合意を、負担を伴う減税の財源や外交でも作れるかが、2年目の課題になります。
期待は外から届き、実績は内で積む
国内の足場を保った1年は、日本がミドルパワーの一つとして、連携の相手に名前を挙げられる機会が増えた1年でもあります。カナダの首相の歴訪や、アジアを勧める研究者の発言はその例です。ただ、その多くは米国の振る舞いの変化と欧州の揺れが生んだ外からの期待で、政権が積んだ実績とは出どころが違います。
その欧州の揺れも、中身は国ごとに違います。フランスで起きているのは、街頭の抗議と議会の予算審議が重なった国内の政局と財政の問題です。市場ではフランス国債の金利がドイツ国債との差を再び広げ、フランスの財政への警戒が表れています。
生活費の不安そのものはフランスに限らず、マクロン氏も欧州の他の首都にもあると述べています。揺れが長引けば、欧州が外に向ける余力にも響く可能性があります。
欧州のシンクタンク、フレンズ・オブ・ヨーロッパの3月の論考は、衆院選の大勝を受けて、欧州は日本の予測しやすさを当然視できなくなったと書いています。
同じ論考は、供給網の代わりの相手としての日本の重みも認めています。期待と警戒は、同じ文章の中に並んでいます。
対外面で政権が積んだ実績は、4か国との文書と国家情報局の開設です。文書の中身はどれも重要鉱物と経済的威圧への備えで、中国の対日措置を受けた日本が、自分の必要から動いた結果でもあります。署名から、実際に調達先が増えて圧力に耐えられるようになるまでには、まだ距離があります。
同盟の外の連携は、米国の代わりにはならない
中堅国の結束に期待する声には、軍事力はどこから来るのかという問いがついて回ります。日本の安全保障の土台は日米同盟で、豪・仏・加・印との連携は、それと並ぶ補強として、調達先や技術、国際会議での味方を増やす働きを持ちます。
その同盟の側では、日本は負担を重ねています。対米投資は案件を米大統領が選ぶ仕組みで、防衛費も前倒しで積み増してきました。
同盟を重視する立場からは、ハドソン研究所のケネス・ワインスタイン氏のように、防衛費と情報機能の強化を高く評価する声があります。
一方、韓国の京郷新聞は、台湾答弁で日中関係が凍りつき、観光客の減少が経済の損失になったとして、熱狂から失望への1年と描きました。
3者会談の構想は、具体的な提案も議題もない段階です。米中露の利害はぶつかる部分が多く、すぐ形になるとは限りません。それでも、ウクライナ抜きで戦争の終わり方を話し合う案が報じられただけで、当事国の頭越しに物事が進むのではという不安が広がりました。大国間の取引が進む世界で、日本や中堅国が自分たちに関わる決定に加わるには、その話し合いの前後に考えを届ける経路を持っているかが問われます。
選べる手段という点では、中国との関係は逆の方向に動きました。答弁の是正を求める中国と、撤回しない日本の間で、政府間の対話は停滞していると報じられています。11月のAPECは、その中国が議長国です。大国が集まる場で日本の考えを届けるには、同盟の中での発言力に加えて、中国との対話の経路も手段の一つになります。
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手段を続けるのは、財源・人材・納得
同盟の外に連携を広げ、防衛費を増やし、消費税の減税も進める。どれも、続けるにはお金と国民の支持が要ります。国民の納得が細ると、外に約束した負担も続けにくくなります。
続けるには、お金のほかに人と作る力も要ります。防衛費を積んでも、装備を作り、隊員をそろえる力がなければ予算は形になりません。重要鉱物の調達先を広げる文書も、精錬や加工を担う産業が育ってはじめて供給網に変わります。
中国の対抗措置の負担は、観光地や水産業など、暮らしの側に出ています。外交の選択の費用は、家計や地域の財布から払われています。
内政と外交は別の通信簿ではない
選べる国であり続ける条件
高市政権の1年で、日本は皇室典範の改正と国家情報局の開設という制度を動かし、初となる消費税減税は財源の候補こそ挙がったものの、充てる額が決まらないまま実施前の段階にあります。対外面では、大国との関係が揺れるなかで、同盟の外の国々との文書によって協力の経路と選べる手段を広げました。
日本がミドルパワーの一つとして、広がった経路を圧力に耐える力や、大国の決定に声を届ける力に変えられるかは、2年目以降の段階です。外から寄せられる期待の大きさより、手にした手段を続けられるかが問われ、その土台になるのは財源の確かさ、装備や供給網を動かす人材と産業、そして負担の中身を知ったうえでの国民の納得です。
暮らしの通信簿と外交の通信簿は、同じ財布、同じ働き手、同じ有権者の上に立っています。2年目に問われるのは、新しく何を打ち出すかより、この1年で手にした手段の費用を誰がどう払うのかを示せるかどうかです。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。
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参考リンク
- 第104代 高市 早苗|首相官邸
- 衆院選2026 : 自民歴史的大勝で3分の2の議席確保、中道は自滅惨敗|nippon.com
- 農林水産大臣の交代についての会見|首相官邸
- 高市内閣の支持率57% 先月からほぼ横ばい【NNN・読売新聞 世論調査】|日テレNEWS NNN
- 皇室典範等の一部を改正する法律案 審議経過情報|衆議院
- 第221回国会 議院運営委員会 第34号(令和8年7月10日)|衆議院
- 防衛大臣記者会見(2025年11月28日)|防衛省
- 国家情報会議・国家情報局|内閣官房
- 対米投融資、第2弾は11兆円 次世代原発や天然ガス発電|秋田魁新報(共同通信)
- 日豪首脳会談及び署名式|外務省
- 日仏首脳会談及びワーキング・ディナー|外務省
- 高市首相、消費減税の財源「対応可能」 外為特会や税収上振れ例示|ニューズウィーク日本版(ロイター)
- Adresse aux Français.|Élysée(フランス大統領府)
- Kremlin says Putin, Trump and Xi could hold a three-way meeting in China next month|Reuters(AOL転載)
関連書籍紹介
『経済安全保障とは何か』
国際文化会館地経学研究所 編(東洋経済新報社/2024年5月)
米中関係からエネルギー、医療、生産・技術基盤まで、経済安全保障を分野ごとに整理した本です。国際関係だけでなく、産業や技術が安全保障をどう支えるかを扱っています。
今回の記事で扱った、重要鉱物の調達先を広げる協力や、外交を支える人材・産業の話を掘り下げたい方に向いています。
『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』
高市早苗 編著(産経新聞出版/2024年8月)
外交、情報、防衛、経済、技術、人材をテーマにした研究会の議論と、高市氏自身の国力強化に関する考えをまとめた本です。政権発足前に、どのような課題を掲げていたのかを読む材料になります。
今回の記事で扱った制度や外交の1年を、当人が以前から示していた構想と照らし合わせたい方に向いています。政権の成果を外から検証した本ではなく、政策を提案する側の視点として紹介します。
Amazonのアソシエイトとして、せかはんは適格販売により収入を得ています。


