堀大輔氏「1日30分睡眠」の1週間ライブが終了 ショートスリーパーは訓練でなれるのか【海外の反応・解説】

「17年間1日30分睡眠」を検証する堀大輔氏の1週間ライブは、仮眠を取り入れながら終了。1週間続けたことと、その睡眠で足りていること、他人が訓練で同じになれることを分けて、遺伝子研究と睡眠制限実験から整理する。

今回の記事の重要ポイント(三点)

・堀大輔氏は「1日30分睡眠」を検証する1週間のライブ配信を完走し、映像の範囲では短い睡眠と仮眠だけで7日間を起きて過ごした。

・生まれつき短い睡眠で過ごせる人はいる。ただし、その研究は、訓練で誰でも必要な睡眠を減らせると示したものではない。

・起きて活動できたこと、その睡眠で足りていること、他人が同じ方法で同じ状態になれることは別の問いで、後の二つは配信の映像だけでは確かめられない。


堀大輔氏、仮眠を取り入れながら1週間のライブ配信を完走

「約17年間、1日30分睡眠」を公言してきた堀大輔氏の1週間ライブ配信が、9月16日夜に終了した。途中で仮眠を取り入れる方針に変わり、「30分睡眠」の看板は下げると説明したが、配信は最後まで続けた。終了時の総括と、配信中の睡眠記録の全体像は、16日夜の時点で報道では確認できていない。

一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会の代表理事を務める堀氏は、短時間睡眠の主張に対して元プロボクサーの細川バレンタイン氏らが検証を求めていたことを受け、9月9日20時に配信を始めた。睡眠を記録するスマートリングを着け、自身の生活を7日間24時間公開した。

2日目の10日、美容整体の施術を受ける場面で約27分間目を閉じ、いびきの音も配信に乗ったため、眠っていたのではないかという指摘が視聴者から相次いだ。堀氏は起きた後、「マイクロスリープが10回ぐらい入っていた」と説明し、リングの記録は睡眠ゼロだったと述べた。3日目以降もマッサージや脱毛の施術中に目を閉じる場面が続き、13日には施術中に顔が映らずミュートになった時間があったと報じられている。

13日昼には、ビデオ通話で参加した美容外科医の高須幹弥氏が、体調を案じて短い仮眠を挟むよう勧めた。5日目の14日、堀氏は残りの日程で仮眠を取ると表明し、自身の講座では仮眠を推奨しており「30分睡眠にこだわりすぎた」と語った。同日には、30分の睡眠に加えて15分の仮眠を取ったとも説明している。高須氏は14日に公開した自身の動画で、仮眠を取り入れることになった今回の企画は失敗だったとの見方を示した。

15日早朝には、これまでの睡眠は「20分のときもあれば30分のときもある」と述べ、配信が終わったら「30分」の看板は下げると表明した。同じ日の夜には母親を見送るとして約2時間、映像と音声を止め、戻った後にレシートや領収書を示したが移動履歴の公開には応じなかった。

14日に公開された配信前収録の番組『令和の虎』でも、10月ごろに「30分睡眠」を名乗るのをやめる意向と、自身をまねた「堀大輔チャレンジ」の流行は止めたいという考えを明かしている。


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ショートスリーパーは実在するのか、睡眠は何で測るのか

遺伝的に短い睡眠で足りる人は実在する

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、家族ぐるみで睡眠が短い人たちの遺伝子を調べ、一晩4〜6時間で生涯を過ごし、目覚めもよい「自然な短時間睡眠者」に関わる遺伝子の変異を2009年以降いくつか報告してきました。

同じ変異をマウスに入れると睡眠時間が短くなることも確かめられています。極めてまれな体質ですが、短時間睡眠を名乗る人が全員作り話をしているという整理は当たりません。

この研究が示しているのは体質の話です。訓練で必要な睡眠が減ると示した研究ではなく、4〜6時間という幅は「30分」からも遠い位置にあります。

2025年5月に発表された新しい変異の研究では、対象の女性が睡眠を1日約3時間と申告していた一方、手首の活動記録から推定された睡眠は一晩平均6.3時間でした。1人の事例ですが、「自分はこれだけしか寝ていない」という感覚と、記録から分かる睡眠時間が大きく違う場合があることを示しています。


「慣れた」と「影響がない」は別

睡眠を削っても平気だと感じる状態と、実際に頭が働いている状態は、必ずしも一致しません。

2003年に米ペンシルベニア大学のチームが発表した実験では、健康な成人を、寝床にいられる時間が一晩8時間・6時間・4時間の3つの組に分け、2週間続けてもらっています。

6時間と4時間の組では、注意力や計算の成績が日を追うごとに下がり続け、2週間後には、最大で2晩徹夜したのに近い水準まで落ちました。それでいて本人たちの眠気の申告は「少し眠い」程度にとどまり、成績の低下をほとんど自覚していません。

この実験は寝床の時間を制限したもので、堀氏個人の状態を判定する材料にはなりません。それでも、「慣れた」「元気だ」という感覚だけでは足りているかどうか判断できないことは、健康な成人でも起こります。


仮眠もマイクロスリープも、眠った時間に入る

配信で争点になったマイクロスリープは、米国の労働安全衛生研究所(NIOSH)が、睡眠不足の人に生じる数秒間の不随意な睡眠として説明しています。目が開いたままでも生じ、本人は気づかないことが多いとされています。

仮眠も睡眠です。NIOSHは、短い仮眠が一時的に覚醒度を高める一方で、夜の十分な睡眠の代わりにはならないとしています。夜の睡眠と仮眠を合わせた時間が、その人が実際に眠った時間です。

本人が気づかない短い睡眠もあるため、映像や自己申告だけでは、その合計を正確に把握できません。睡眠検査では、脳波などを記録して眠っている状態を調べます。指輪型や腕時計型の機器は体の動きや心拍からの推定で、脳の状態は見ていません。

厚生労働省の睡眠ガイドは、成人はおおむね6〜8時間を目安としつつ、必要な睡眠時間には個人差があると明記しています。個人差として想定されているのは、6時間未満で足りる人がいるという程度の幅です。


海外の反応

同じ投稿者が9月12日に、r/videosとr/skepticへ堀氏の配信を紹介するスレッドを立てました。コメントはr/videosが212件、r/skepticが51件です。

論調は「30分で足りている」という主張と、短時間睡眠を講座で教えることへの疑問が大半です。一方で、短い睡眠で過ごす知人の体験談や、本人が実際にライブ配信を続けている点に目を向けるコメントもあります。

以下に訳したコメントはすべて、堀氏が9月14日に仮眠を取ると表明する前に書かれた配信途中の反応で、終了後の評価ではありません。

以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。


この人については読んだことがある。記者だったか誰かが日常に密着して、本当に30分しか眠らずにそのまま1日を過ごすのを見届けたらしい。


一度も寝ないと言い張る同僚がいた。とにかく選民意識がすごかった。そのくせ客先の打ち合わせで何度も寝落ちして、正直うっとうしかった。


自分は寝ないと言う男に会ったことがある。話が進むと今度は、明晰夢(夢を見ながら自分が夢だと自覚している状態)を使って眠っている間に自分の事業の仕事をしていると言い出した。さっき寝ないと言っていたよねと指摘したら、慌てて2つの話を1つにまとめようとしていた。


彼は配信中の整体で寝てなどいない。マイクロスリープ(数秒から数十秒、本人の自覚なしに脳が落ちる状態)が10回続いただけらしい。


「何日も寝ていない」という話のほとんどはそれだ。脳が数分単位で落ちているのに、眠りと覚醒の切り替わりがないせいで本人の記憶に残らない。


FNSS(家族性自然短時間睡眠。遺伝子の変異で短い睡眠でも足りる体質)という極めてまれな体質があって、4〜5時間でも睡眠の効果をまるごと得られて、すっきり目覚められる。自分も調子が良くて走り込んでいる時期は、6〜7時間で最高の目覚めになる。でも30分というのは聞いたことがない。


それを聞いて、ますます作り話だと思った。

まれな遺伝的体質なら、この人みたいに講座や本にして売れるはずがない。


作り話だとしても、本人はそれをライブ配信でやっているわけだ。


こんな話を誰が信じるんだ。この人は何年も自分のやり方を売り込もうとしてきたけど、誰もその話を信じちゃいない。

もし本物なら、とっくに億万長者になっている。30分の睡眠で足りるように人を訓練できるなら、企業も軍も魂を売ってでも欲しがる。


自分は最大で、1日3時間睡眠のまま週7日働いたことがある。この人が本当にできるのなら大したものだ。ただ1つ言えるのは、3時間ではどう見ても生産的ではないし、自分にとっても周りにとっても危ないということ。


日本に住んでいたころ、夜は2〜3時間しか寝ていないと言ってくる人が本当に多かった。自分は普段8時間寝ていると話したら、寝すぎだと言われた。

ただ、日本人が別の種というわけではないと押さえておく必要がある。この手の途方もない申告が出てくるのは一種の謙遜まじりの自慢で、しっかり休めているように見えること自体が文化的に許されないからだ。彼らも実際には眠っている。

自分は病気で3日休んだことがあるが、そのあと1年にわたって遠回しに蒸し返された。

正直なところ、気の毒だと思う。


同じ投稿者はr/skepticにも同じ動画を出しています。こちらでは、講座として売ることと、何を睡眠と数えるのかに議論が寄りました。


男がすごいことをやってのけると宣言する

証拠は表面的なものしか出さない

「わずかな受講料」で他人に教えると言う

これはすごい。アンドリュー・テイトやトランプ大学(いずれも高額の講座商法として批判された例)や、中高年向けの「AI講座」なんて聞いたこともないしな。信用できそうだ。


何を睡眠と数えるかを定義し直せば可能だ。この人がやっているのはそれだろう。


一晩に2〜2.5時間しか眠らない友人がいた。自分はその夏ずっと夜勤だったので、彼がいてくれて助かった。彼の家に行って朝4時半までしゃべったり、何か観たりしていられた。記憶力もずば抜けていて、昔のアニメや映画やゲームの話を振ると、その場で細かいところまで語り出した。

ああいう人間がいるから、堀大輔のような人をすぐ嘘つきだと言い切る気にはなれない。

とはいえ、やり方を教えられると言っている以上、作り話の可能性は高いと思う。自分の知っていた彼はただそういう作りだっただけで、健康に良かったとはとても思えない。


短時間睡眠症候群という実在する体質はある。まれだし、地味に面倒でもある。自分は子どものころから最大でも4時間半しか眠れなくて、親はどこか悪いのかと心配していた。

しかも、思われているほど格好いいものでもない。世の中は夜型に冷たいので、増えた4時間は家でゲームをするか、ネットを見るか、本を読むかになるだけだ。


1週間の公開で確かめられたこと、確かめられないこと

1週間続けたことと、その睡眠で足りていることは別

今回の配信で残ったのは、堀氏が1週間の企画を最後まで続けた事実です。公開された映像では、短い睡眠や仮眠を挟みながら活動を続け、長く眠り込む場面は映っていません。当初の「30分睡眠」という説明とは別に、この1週間はそれ自体として記録に残ります。

映像が教えてくれるのは、起きて活動していた時間です。その睡眠で十分に休めていたかは、別の記録で確かめる問いになります。今回の手がかりはスマートリングの表示で、本人は睡眠欄が空欄なのは30分以下の睡眠を表示しない仕様だと説明しています。施術中の27分がどんな睡眠だったかを決めるには、脳波の記録が要ります。

本人が元気に見えるかどうかに加えて、注意力や判断力が保たれていたのか、長く続けても支障がないのかは、配信の外で測る問いです。今回の配信は前者の材料になり、後者はこれからの検証に残ります。


個人の体質と、講座として売る方法には別の証拠がいる

堀氏の1週間の評価と、講座の効果の評価は、それぞれ別の材料で決まります。本人が短い睡眠で活動を続けられたとして、それが訓練で得られたものか、受講者も同じ状態になれるのかは、今回の配信の外にある問いです。講座として問われるのは、教わった人にどのような結果が出たかです。

協会の公式サイトはトップページで、一律の睡眠時間は勧めず、睡眠を短くすること自体を成果としないと説明しています。眠気があるときは休息を優先し、運転や危険な作業の前には活動しないよう求める記述もあります。

同時に、生活や目標に合わせて「睡眠時間も自分でコントロールできる状態を目指します」とも書いており、短くしたい人への期待は残されています。

同じサイトの講師紹介のページには、堀氏自身が理論を確立してからおよそ2か月で1日45分以下の睡眠になったという経歴と、その方法で2,100人の卒業生を送り出してきたという説明が残っています。この2つの説明は同時に掲載されており、現在の講座が何を約束しているのかは、どちらのページを読むかで受け取りが変わります。

講座の効果を確かめる材料は、受講者全体の結果です。何人が短い睡眠に移り、何人が途中でやめ、不調が出た人はいたか、効果はどれくらい続いたか、そして一般的な睡眠習慣の改善で得られる変化と何が違うのか。

確認した紹介ページに、この種のデータは見当たりません。細川氏が受講者に中止と返金を呼びかけた投稿が250万回以上表示され、弁護士が景品表示法などに触れる可能性を指摘したとまとめる投稿も広まりました

受講するかどうかを判断する材料は、本人の1週間より、教わった人の結果にあります。本人の1週間を認めることと、講座にこの確認を求めることは両立します。


起きている時間は、そのまま使える時間ではない

睡眠を減らす方法に魅力を感じる背景には、仕事、育児、勉強、副業などに使う時間を増やしたいという期待があります。1週間のライブが同時接続で数万人規模を集め、切り抜きが200万回以上表示された理由の一つも、その期待にあります。

睡眠を削って起きている時間が増えても、注意力や作業の正確さが落ちれば、その時間の中身は目減りします。2週間の睡眠制限の実験でも、本人が感じる眠気以上に、課題の成績が悪化していました。

問いは、何時間起きていられたかに加えて、増えた時間をどのような状態で過ごせていたかにあります。短時間睡眠の価値は、そこまで含めて決まります。


「本当に寝ていないのか」から「足りていると確かめたのか」へ

1週間の記録と、その先に残った問い

堀氏は、途中から仮眠を取り入れながら、1週間の配信を最後まで続けました。眠気があるときは休息を優先するというのは協会のサイトにも書かれている方針で、5日目の判断はそれに沿っています。

残ったのは、1週間の記録と、その先の問いです。活動を続けられたこと、その睡眠で休めていたこと、他人も訓練で同じようになれることは、それぞれ別の材料で決まります。今回の配信が答えたのは最初の一つで、残りの二つは、睡眠の記録と受講者の結果を待つ段階にあります。

睡眠を削ったときの注意力の低下は本人が気づきにくく、運転や作業の事故という形で表に出ます。1週間の映像は、見て楽しむ記録として残ります。同じことを自分で試すかどうかは、その検証が済んでから決める話です。

この配信が残した問いは、「本当に寝ていないのか」の一段先にあります。本当に、その睡眠で足りていると確かめたのか。確かめたなら、何で測ったのか。

同じ問いは、自分の睡眠にも当てはまります。必要な時間を確保したうえで、休めた感覚や日中の調子を合わせて見る、というのが厚生労働省のガイドの考え方です。眠気や不調が続くときは、医療機関に相談する道があります。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう。

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関連書籍紹介

『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』

柳沢正史 監修(朝日新聞出版/2024年08月刊)

眠りの仕組み、睡眠不足がたまるとどうなるか、環境の整え方までを図解で並べた入門書です。監修は、覚醒を保つ神経ペプチドのオレキシンを発見した筑波大学の睡眠研究者で、必要な睡眠時間には個人差があるという前提から解説が組み立てられています。

今回の記事で扱った「必要な睡眠時間は自分で決められるものなのか」「慣れた感覚は足りている証拠になるのか」という論点を、研究の側から順に確かめられます。短時間睡眠の話題をきっかけに、まず睡眠の基本を押さえたい方に向きます。


『スタンフォード式 最高の睡眠』

西野精治(サンマーク出版/2017年03月刊)

スタンフォード大学の睡眠研究所長が、眠り始めの時間帯の重要性、日中の眠気への対処、睡眠負債という捉え方を一般向けにまとめた一冊です。睡眠を時間の長さだけで語らず、質と時間帯の両面から扱う構成になっています。

今回の記事で扱った「短くした分は後でどうなるのか」という見方は、この本の睡眠負債の考え方と重なります。仮眠の使いどころも扱っているので、短時間睡眠の議論を自分の生活の側から読み直したい方に向きます。


『睡眠こそ最強の解決策である』

マシュー・ウォーカー/桜田直美 訳(SBクリエイティブ/2018年05月刊)

睡眠研究者が、睡眠と夢について分かっていることを研究の積み重ねから一般向けに書いた大部の本です。睡眠不足が注意力や健康に与える影響を、実験と統計の記述を重ねて説明していきます。

今回の記事で扱った「慣れた感覚と、実際に頭が働いている状態は別」という論点を、もっと長い射程で追える本です。睡眠を削ることの代償を、体感ではなくデータの側から知りたい方に向きます。


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国内外のニュースを「報道・海外の反応・背景解説」の三層で読み解く個人メディア『せかはん』運営者。2025年8月の開始から1年で300本以上を執筆し、noteフォロワーは2万人。特定の政党・組織に属さず、一次ソースの照合と左右両論の併記を編集の基本にしています。

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