今回の記事の重要ポイント(三点)
・米中間選挙で民主党が上下院の多数派を確保し、トランプ大統領は結果を受け入れる意向を示した。
・新議会は1月3日に始まり、議会の予算・人事・調査は民主党が主導し、政権との交渉力が強まる。
・大統領には拒否権と行政・外交の権限が残り、生活費と戦争への不満にどう応えるかは予算交渉が焦点になる。
民主党が上下院で多数派に、トランプ氏は結果受け入れを表明
11月3日に投票された米中間選挙で、民主党が上下院の多数派を確保した。AP通信によると、上院では共和党が持っていたカンザス、アイオワ、テキサス、オハイオ、メイン、ノースカロライナ、サウスカロライナの少なくとも7議席を奪った。
下院では20を超える選挙区で議席を奪い、APは4日早朝(米東部時間)までに過半数の獲得を判定した。11月4日19時53分(日本時間)の確認時点でも、ミシシッピとアラスカの上院選は未判定で、最終的な議席数は確定していない。両院の多数派の判定には影響しない。
テキサス州ではジェームズ・タラリコ氏がケン・パクストン州司法長官を、カンザス州ではアダム・ハミルトン氏が現職のロジャー・マーシャル氏を破った。
オハイオ州では、バンス氏の副大統領就任で空いた上院議席の補欠選挙で、民主党のシェロッド・ブラウン元上院議員が、任命で議席を引き継いだ共和党のジョン・ハステッド氏を破った。同州の知事選でも、民主党のエイミー・アクトン氏が共和党のビベック・ラマスワミ氏に勝った(ABCニュース)。
トランプ大統領は開票中、SNSに「自分が候補なら圧勝していた」と投稿した。その後、民主党について選挙戦で「よくやった」と述べ、結果を受け入れる意向と、協力する姿勢を示した。
開票後のFOXニュースのインタビューでは、イラン戦争が敗因の「一部」だったと認めた。民主党が「常軌を逸した」法案を送れば拒否権を使い、数か月たてば民主党から「どうすれば通せるか」と連絡が来るので、そこで一緒に取り組むと語った(ロイター通信)。
トランプ氏は投票日の朝、FOXの番組で、年約40億ドルの対イスラエル援助を2026年末で打ち切り、武器の購入は引き続き認めると述べていた。
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議会と大統領、それぞれの手段
共和党の地盤まで動いた背景
AP通信の有権者調査(AP VoterPoll)では、多くの有権者が高い生活費を政権の責任と見て、議会に大統領への歯止めを求めていました。2月末に始まったイラン戦争で燃料価格が上がり、投票日のガソリン価格は全米平均で1ガロン4.15ドルでした。
一方で、全国的な逆風と、各州の候補者の事情は分けて見る必要があります。テキサスで敗れたパクストン氏は、州司法長官として2023年に州下院から弾劾訴追を受けた経歴(州上院で無罪)を抱えて本選に臨んでいました。
新議会は1月3日から、それまでは今の議会
通常の改選で選ばれた議員が就任し、新しい議会が始まるのは2027年1月3日です(合衆国憲法修正第20条)。それまでは共和党が多数の今の議会が続き、引退や落選が決まった議員も採決に加わります。
こうした選挙後の会期はレームダック会期と呼ばれ、2027会計年度(2026年10月から)の政府予算の決着と、イラン戦争の追加予算はこの会期に持ち越されたと報じられています。
オハイオの補選は、バンス氏が残した任期を埋める選挙で、議席は2028年に改めて選挙にかけられます。補選の当選者は、1月3日を待たずに就任することもあります。
議会が持つ手段と、残る制約
選挙前は、上院100議席のうち共和党が53議席を持ち、下院も共和党がわずかに過半数を上回っていました。両院の多数派が持つ手段と、残る制約は次のとおりです。
| 手段 | 民主党ができること | 残る制約 |
|---|---|---|
| 法案・予算 | 新しい法律を止め、予算に条件を付ける | 大統領の拒否権を覆すには両院それぞれ3分の2 |
| 人事 | 上院が判事や閣僚の承認を遅らせ、否決する | 指名するのは大統領 |
| 調査 | 公聴会を開き、証言や資料を求める | 事実の解明と、法改正や処分は別の手続き |
| 弾劾 | 下院の過半数で訴追できる | 上院で有罪にするには出席議員の3分の2 |
通常の法案で議事妨害を打ち切るには、原則として100議席中60票が必要です。可決そのものに必要なのは過半数です。一方、判事や閣僚の人事は2013年と2017年の先例で過半数に改められているため、上院の多数派の意味は人事で最も大きくなります。
2018年の前例、下院を失った後のトランプ政権
トランプ氏が議会の多数を失うのは2度目です。1期目の2018年中間選挙で民主党が下院を取った直後の12月22日、国境の壁の予算を巡って政府の一部が閉鎖されました。閉鎖は2019年1月3日に民主党の新しい下院が発足した後も続き、1月25日、壁の予算を含まないつなぎ予算で終わりました。35日間で当時の最長でしたが、2025年秋の43日間がこれを上回っています。
トランプ氏は2月15日、国境の非常事態を宣言しました。議会は宣言を取り消す決議を可決し、上院でも共和党から12人が賛成しました。トランプ氏は3月15日に拒否権を使い、下院の再可決は248対181で3分の2に届きませんでした。
2019年2月の歳出法で、議会は政権が求めた57億ドルに対し、国境柵の建設費13.75億ドルを認めていました。9月3日には国防長官が、非常事態下の軍事建設権限を使い、軍の施設建設費36億ドルを国境の壁に振り向けることを決めました。
政権は議会が認めた額に加え、既存法に基づく別の財源を探しました。議会の取消決議には拒否権を使い、非常事態宣言を維持しました。当時と違うのは、今回は上院も民主党が握る点です。
対イスラエル援助の仕組み
米国の対イスラエル軍事援助は、10年ごとの了解覚書(MOU)で枠を決めています。現行のMOUは2016年に結ばれ、2019〜2028会計年度の10年で総額380億ドルです。米議会調査局(CRS)によると、MOUは条約のような法的拘束力を持たず、実際の資金は毎年、議会が歳出法で計上します。
2026年1月には、ネタニヤフ首相自身が、援助を10年かけて減らしていく構想を示していました。6月5日には、イスラエル国防省が、2028年に満了する現行のMOUに代わる枠組みについて米国との正式な協議を始めたと発表しました。研究開発や共同生産への共同投資を広げ、援助から相互の協力へ段階的に移す構想です。この発表は協議開始を伝えたもので、新たな合意の成立や負担額は示していません。
共同の事業はすでにあります。米議会調査局によると、現行MOUの中には年5億ドルのミサイル防衛の共同事業があり、2026会計年度にはMOUの外の共同防衛事業にも2億200万ドルが計上されています。
海外の反応
米国の掲示板 r/politics では、共和党の地盤だったテキサスでの民主党候補の勝利に、「州が変わり始めた」という期待と、「トランプ氏への反発や候補者の事情による例外だ」という慎重な見方が交わされました。r/politics はトランプ政権に批判的な声が多い場です。
テキサスの勝利は州の変化か、今回だけの例外か
開票が進んだ夜、タラリコ氏の勝利を伝える記事が共有されました。主要メディアの判定が出る前後の書き込みが混ざっています。
以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。
歴史的なのはその通り。でも、いまのジョージアやネバダ、ノースカロライナ、ミシガンのような、あるいは「かつての」フロリダやオハイオのような意味で、テキサスが恒常的な紫の州になったとは思わない。今回は例外だよ。みんながトランプにうんざりしているうえに、パクストンがひどすぎた。
ちょっと大げさだったかもね。それでも、これは何かの始まりだよ。タラリコだけじゃない、ジーナ(知事選の民主党候補ヒノホサ氏)もリードしてる。
(「今回は例外」という意見への別の返信)
でも、ジョージアだってついこの前までは盤石の赤い州だと思われてたんだよ。いったん瓶から魔神が出てしまえば、つまり自分の一票に意味があると気づいて、声が届いたという手応えを一度味わえば、人は毎回投票に来るようになると思う。テキサスは赤い州なんじゃなくて「投票しない州」なんだ、という話を読んだことがある。今夜、その無関心がついに破られて、その余波がこれからも続くかもしれない。
それはあり得るね。でも、今回のような例外を別にすれば、少なくとも大統領選の2回くらいは赤のままだと思う。ジョージアが2020年に青になるまでも、ゆっくりした積み上げだった。2028年にバンスが候補になって、民主党がいい候補を立てればチャンスはあるかもしれない。ただ、ルビオのほうが人気が出るかもしれないけど。
(最初の「テキサスがまた紫に」への別の返信)
テキサスはしばらく前から紫だよ。ベト(2018年の上院選の民主党候補)もバイデンも接戦だった。ハリスのときは揺り戻したように見えたけど、テキサスは2018年からずっと紫。民主党が実際に勝ったのが今回初めてというだけさ。
イスラエル援助の打ち切り発言をどう見るか
一方、対イスラエル援助を打ち切るという発言を伝えたAP通信の記事には、その本気度を疑う声や、大統領がこの援助を自由に止められるのかという疑問が寄せられました。こちらは投票日の朝の発言を受け、開票が始まる前の投票時間中に書かれたコメントで、選挙結果への反応ではありません。
以下はスレッド内のユーザーコメントの抜粋・翻訳です。
選挙向けの印象操作だよ。
選挙が終われば、援助は再開するさ。
「再開」? 本人は2027年からの話だと言ってるんだ。再開するも何も、そもそも止まらない。適当なことを言ってるだけだよ。
アメリカ人ではない自分からすると、なぜ大統領がこれほどの額を自分の裁量で動かせるのか分からない。自分の国なら、この規模の支出は議会の承認があって初めて認められるし、議員による監査も入る。
MAGA(トランプ支持派)は、この国の仕組みの大きな欠陥を突くやり方を見つけたんだよ。三権がきちんと機能していて、当事者がかなりの良識をもって振る舞うことを前提にした仕組みのね。
(同じ質問への別の返信)
大統領にはできない。議会の承認が要る。まあ、議会もたぶん賛成するだろうけど。
6年もあったのに。
いや、やらないね。票が欲しいだけだよ。
民主党がその法案を大統領のところに送ってみればいい。本気かどうか分かる。
後継者に誰を指名するにしても、2028年の争点にすればいいんだ。
世界でも指折りの豊かな国が、なんでアメリカから軍事援助を受けてるの?
アメリカの援助は、実質的にはアメリカ製の軍事装備や兵器を買うためのクーポンだからだよ。40億ドルを現金で渡しているわけじゃない。アイアンドームを動かし続けるための弾薬に20億ドルかそこら、レーザー誘導のスマート兵器に数億ドル、ほかの何かに数億ドル、という感じだ。
だからイスラエルは軍事費を抑えられる(イスラエルの年間軍事予算は614億ドルなので、年40億ドルは6.5%にあたる)。アメリカにとっては軍需産業を回し続けられて、お金も国内にとどまるという利点がある。軍需はこの国で最大級の産業のひとつだからね(調べずに言うけど、医療、金融、小売、テック、メディア・エンタメと並んで上位5つには入ると思う)。
はは、でたらめだね。イスラエル崇拝に居心地の悪さを感じている人たちを、1日だけ自分たちの側に引き戻そうとしているだけだ。
もし彼らが権力を保てたら、あの援助はどこにも行かない。なくなりはしないよ。
下院と上院がひっくり返ったら、軍事援助は危うくなると思う?
公の場で厳しく検証されるようになると思う。そうなれば、もう起きているように、時間をかけて勢いがついていくかもしれない。
ただ、たとえ民主党が大勝しても、援助を止めるだけの票があるかは分からない。古参の議員や、AIPAC(米国の親イスラエル・ロビー団体)寄りの民主党議員が多すぎる。
新しい議会とトランプ政権の関係はどう変わるか
生活費と戦争の不満は、予算の場に持ち込まれる
歳出法案やつなぎ予算の法案も、大統領の拒否権の対象です。期限までに成立しなければ、資金が切れた政府機関の一部業務が停止します(利用できる資金が残る業務や、人命・財産を守るための例外的な業務などは続きます)。
2018〜19年の閉鎖では、壁の予算という条件に固執したトランプ氏の側が、条件を取れないまま閉鎖を終えました。対立するにせよ歩み寄るにせよ、両党が向き合う主な舞台は歳出法案と戦費の追加予算です。
上院の60票の壁があるため、少数派だった民主党も選挙前から歳出法案を阻止できました。7月にイラン戦争の追加予算が60票に届かなかったのはその例です。多数派になって新しく加わるのは、下院で予算案を書き、どの法案を採決にかけるかを決める力と、上院で人事の審議を握る力です。
関税は予算の問題ではありません。議会が政権の方針に反して立法で変えようとすれば、拒否権を覆すのに両院の3分の2が要ります。一方で、301条の関税はUSTR(米通商代表部)が大統領の指示のもと、法定の条件と手続きの範囲内で変更・終了でき、232条の自動車関税も2025年に日米合意を受けた大統領令で税率が変わっており、政権自身の判断や交渉で動くこともあります。
生活費の不満のうち燃料高は戦争と結びついているため、議会は戦費に付ける条件を通じて触れることができます。
戦争そのものを止める戦争権限法に基づく決議は、イラン戦争をめぐって下院を通り、上院で僅差で否決されていました。上院の多数が入れ替われば両院で通る可能性がありますが、大統領が拒否権を使えば、ここでも両院の3分の2が要ります。
民主党が多数派として手にしたのは、予算を中心に、人事や調査も通じて政権と条件を交渉する力です。超党派で合意できる分野なら、法律を通す道も残ります。
上院人事と調査は、残り2年の政権運営に影響する
判事は終身の任期で、承認された人事は政権が終わった後も残ります。新議会では民主党の上院が審議を遅らせ、否決できるため、共和党は年内の旧議会で承認を急ぐ可能性があります。最高裁に欠員が出れば、後任の承認は民主党の上院の判断にかかります。
調査では、下院と上院の委員会が戦争の根拠や関税の運用を公聴会で問い、記録に残せます。そのまま法改正にはなりませんが、2028年の選挙で有権者が判断する材料にはなります。
議会を通さずにできること
大統領は、既存の法律が認める範囲で多くを動かせます。移民の取り締まりの優先順位、規制の運用、関税がその例です。関税は、最高裁が2月に非常時の経済権限法(IEEPA)では課せないと判断した後、政権が通商法の別の条文(122条の一時的な関税を経て、7月24日から301条)に切り替えて続けています。外交でも、停戦交渉や軍の日々の運用の主導権は政権にあります。
歯止めになるのは、議会が予算に付ける条件と裁判所の判断ですが、どちらにも限界があります。議会が計上した予算の執行を大統領が止めることは、1974年の予算執行留保統制法で制限されていますが、2025年には会計検査院(GAO)が政権の執行停止を違反と判断する例が相次ぎました。
大統領の裁量を広く認める立場からは、議会が長年まとめられない課題を行政で進めるのは、選挙で得た権限の使い方だという考え方が出ます。議会の権限を重く見る立場からは、法律と予算を迂回した権限の拡大だという批判が出ます。
援助打ち切り発言が試す、両党それぞれの足並み
対イスラエル援助の打ち切り発言は投票日の朝のもので、選挙で敗れた後の譲歩ではありません。トランプ氏は、打ち切る援助の形や手続き、すでに計上された資金の扱いを示していません。
資金は議会が毎年計上するため、打ち切りを実際に形にするのは予算の場です。年末で打ち切れば、2028会計年度まで続く今のMOUの残りの年度分を払わないことになります。大統領は援助の要求をやめることはできても、議会が計上した資金の扱いまで一人で決められるわけではありません。
6月に始まった次の枠組みの協議は援助から共同事業への移行を目指すもので、年末での打ち切りの表明とどうつながるのかは示されていません。援助の名目が終わっても、共同事業や武器売却を通じた米国の関与や負担は残りえます。
民主党内には援助に条件を求める層と、維持を求める層がいます。共和党内にも、対外支出を疑う層と、強い支援を求める層がいます。米国民の58%が援助を減らすか打ち切るべきだと答えた世論調査(ABCニュースなど)もあり、両党の一部は「減らす」で一致しえます。
ただ、武器売却の条件や、イスラエルの軍事行動への関与まで一致するかは別の問題で、民主党が援助を減らす法案を送れば、大統領の本気度と民主党の結束の両方が試されます。
2028年に向けて両党が負う課題
トランプ氏は合衆国憲法修正第22条により、再び大統領に選ばれることはありません。共和党の次の候補には、トランプ氏の支持層をつなぎとめながら、生活費と戦争で離れた票を取り戻す課題があります。
オハイオでは、バンス副大統領が10月21日にハステッド氏とラマスワミ氏の応援に入っていましたが(CNN)、二人とも敗れました。バンス氏自身が候補だった選挙ではありませんが、地元の州の結果は、2028年に向けて共和党の集票力を考える材料の一つになります。
民主党は議会の多数を得たことで、2年後に結果責任も負います。政権との対立でも協力でも、有権者に成果を示せるかが問われます。
日本は関税と中東を分けて見る
ジェトロが8月にまとめた資料では、日本からの輸入品のうち301条の措置の対象品目は通常の関税と合わせて12.5%(通常の関税が12.5%以上なら上乗せなし)、232条の対象の自動車・同部品は通常の関税が15%未満なら合わせて15%(15%以上なら上乗せなし)でした。どちらも政権の措置なので、議会の多数が変わっただけでは変わりません。
中東では、援助の額より、イラン戦争と停戦交渉が原油と海上輸送にどう響くかが、日本の家計と企業に直接つながる経路です。米議会がイラン戦争の予算にどんな条件を付けるかは、日本の燃料価格の見通しにも関わってきます。
議会と政権は政策をどう動かすか
選挙が変えたのは、交渉の場所
民主党の勝利で、トランプ政権は新しい法律を通しにくくなりました。一方で、拒否権と、行政・外交の権限は残ります。生活費と戦争への不満が政策にどこまで届くかは、予算交渉を焦点に、上院の人事や調査、行政・外交の運用にも左右されます。
議会と大統領が互いに歯止めをかけ合いながら合意も探る状態は、米国の制度が想定してきた姿でもあります。問われるのは、両党が対立する点と歩み寄れる点をどう見極め、超党派で合意できる分野を広げられるかです。その結果を、有権者は2028年に評価することになります。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。
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関連書籍紹介
『アメリカ大統領制の現在 権限の弱さをどう乗り越えるか』
待鳥聡史著(NHK出版/2016年09月刊)
アメリカの大統領には、世界的な注目に見合うほど自由に政策を実現する権限が与えられていない、という問いから出発する本です。イギリスの植民地だった時代以来の歴史と国際比較から、大統領の権限が弱い理由を説明し、カーター、クリントン、オバマの各政権がこの制約にどう向き合ったかを分析しています。「議会多数党の交代は何をもたらすか」という章もあります。
今回の記事で扱った、議会の多数を失った大統領に何が残り、何ができなくなるのかを、制度の成り立ちから理解したい読者に向いています。2016年刊のため今回の選挙そのものは扱っていませんが、分割政府を読み解く土台になります。
『儲かる!米国政治学』
渡瀬裕哉著(PHP研究所/2022年03月刊)
民主党と共和党の違い、予算の決め方、政府高官の人事、産業政策や戦争への姿勢といった米国政治の仕組みを、投資家の目線から解説した新書です。刊行当時の2022年中間選挙と2024年大統領選挙の見通しも扱っています。
今回の記事で扱った、予算と人事を通じて議会が政権に条件を付ける仕組みを、ニュースや市場の動きと結び付けて見たい読者に向いています。2022年時点の本なので、最新の情勢ではなく、政治の動きを読むための考え方として読むとよい一冊です。
参考リンク
- The Latest: Voters give Democrats control of Congress in rebuke to Trump|AP News
- Trump acknowledges Iran played role in Republican midterm losses|Reuters(Yahoo News掲載)
- Trump says US annual military aid to Israel ends by close of year|Fox News
- Trump says $4 billion in Israel military aid will end this year, citing political reasons|ABC News
- U.S. Foreign Aid to Israel(RL33222)|Congressional Research Service(EveryCRSReport掲載)
- Possible Changes in U.S. Military Aid to Israel: Considerations for Congress(IN12695)|Congressional Research Service(EveryCRSReport掲載)
- US and Israel Move to Redefine Their Defense Partnership|イスラエル国防省
- Filibusters and Cloture in the Senate(RL30360)|Congressional Research Service(EveryCRSReport掲載)
- Government Shutdowns Q&A: Everything You Should Know|Committee for a Responsible Federal Budget
- Presidential Proclamation on Declaring a National Emergency Concerning the Southern Border|The White House(アーカイブ)
- House fails to override Trump’s veto of resolution ending his border emergency|Roll Call
- Impoundment Control Act|U.S. Government Accountability Office
- Military Funding for Southwest Border Barriers(R45937)|Congressional Research Service(EveryCRSReport掲載)
- Shutdowns and Lapses in Appropriations|米会計検査院
- About Voting|米上院
- 19 U.S.C. 2417 Modification and termination of actions|米下院 法律改訂顧問室
- Implementing the United States-Japan Agreement(大統領令14345)|The White House
- USTR Takes Action in Forced Labor Section 301 Investigations|USTR
- 2026年中間選挙の開票速報|CBS News
- Ohio 2026 live midterm election results|ABC News
- Inside Politics 2026年10月21日|CNN(番組書き起こし)



歴史の目撃者になった。テキサスがまた紫(接戦州)に戻ったんだ。